《努力を極めた最強はボッチだから転生して一から人生をやり直す》ふむ。パーティーか

「ふむ。そんな決まりが有ったのか」

「うむ。そうである。我等は名によって縛られている。故に、我等、己が意思で定めた存在理由を覆す事は出來ないのである」

「であれば、ループ。お前は、を教える事しか出來ないと考えて良いのか?」

「厳に言ってしまえば、我が出來るのは知識を與える事だけである。それ以外の事をすれば、我が存在は名の盟約によって消滅するのである」

「ふむ。それは困ったな…」

「うむ。困ったのである…」

本日は休日と言う事もあり、オレが未だに泊まっている宿でループと共に教育方針についての話をしていたのだが、その最中で重大な問題に直面してしまったのだ。

話が行き詰まってしまった理由でもある。

「やはり、新たに分を創るか?」

「それを行う場合、永遠の歯車エターナル・ギアの稼働率を上げなければならないのである。稼働率上昇に伴い、魔力濃度が増加。周囲20kmに生息する生命が死滅する確率が50%を超えるのである」

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「それはどの程度だ?」

「この學院に住まう者達の全滅である」

「ふむ…。それはダメだな」

「である…」

オレ個人で分を出しても良いのだが、それを行ってしまうとオレ自が大幅に弱化する。それに、今のオレよりも弱い分が出來上がってしまう。

それでは全く意味をさないのだ。

クラスメイトにを教えるに當たって、指導する者が弱くては話にならないのだ。

ループ一人いれば、ある程度の事は知る事が可能だ。しかし、ループはを教える事は出來なかった。

知識として教える事は出來るが、そこまでだったのだ。

オレの記憶からは完全に消えてしまっているようだったが、名の盟約と言うものがあるらしく、新たな名を得た際に決めた存在理由から逸した行は取れないらしい。

全校集會の時の戦闘時にループは何やら違和じ、その後に過去を覗き見て知ったのだそうだ。

なぜ、オレの記憶は曖昧で、不完全なのかは分からないままだがな。

「ふーむ…」

「うーむ…」

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二人の知恵を持ってしても良い解決方法が見つからず、思考の渦へとハマってしまった。

「やっほー!師匠ーっ!って、ループさんも居たんだねっ!」

「「む?」」

ふむ。メーテルか。

「うむ。メーテルであるか」

何しに來たのだ?

「何の用であるか?」

……ふむ。ループよ。盡くオレが言おうとした言葉を奪い取るな。

それと、メーテルよ。なぜ窓からってくるのだ?宿の前で小一時間もウロウロするくらいならば、普通にってこれば良いだろうに。

まぁ、いつもの事だ。言っても仕方ないか。

「いやぁ、用って言う用はないんたけどーー」

「ならば、帰るのである」

そう言うと共に、ループは《魔力撃》放ち、メーテルを窓から放り出した。

《魔力撃》とは、純粋な魔力を不可視の弾として打ち出す簡単な魔法だ。當たると痛い。

「ぐえっ!」

オレが泊まっている部屋は3階にある。そこから突き落とされたメーテルは小さな悲鳴を上げて地面に落ちたようだ。

ここまで聲が聴こえてきた。

「もうっ!用がないって言ったけど、突き落とすなんて酷いよっ!」

だが、間を空けずしてメーテルは再びプンスカと怒りながら窓から這い上がってきた。

「うむ。ならば、そう始めに言えば良いではないか」

「ふむ。そうだな。落とされたのは己の責だ。他人を責めるべきではない」

「そうなのかな?」

「うむ。そうである」

「ふむ。そうだ」

「…って!そんな訳ないよっ!もうっ!そもそも、用がないからって突き落とさなくてもいいよねっ!?」

「それを言うなら、メーテル。お前も、宿の前でウロウロとするぐらいならば、普通にってこれば良い筈だが?」

「だって、コッチの方が面白いじゃん?」

笑みを深め、コクリと首を傾げたメーテル。すかさず、ループが《魔力撃》を放ってメーテルを窓から放り出した。

ついでに、窓を閉じて鍵を閉めると言う徹底振りだ。

おそらく、堪にったのだろう。

オレも僅かながらイラっとした。

だが、程なくして廊下からドタドタと激しい足音が聞こえ、バンッと扉が勢い良く開かれた。

「窓に鍵を閉めるなんて酷いよっ!」

「ならば、窓からってくるな」

「うむ。その通りである。また放り出されたくなければ、潔く扉からってくるのである」

「うーっ!折角の僕の登場なのにーっ!」

何を言いたいのかサッパリだ。

しかし…確か、メーテルの年齢は1000を超えていた筈だ。にも関わらず、言が丸っきり子供だな。

それで良いのか?

「ふむ。折角來たのだ。茶でも出そう」

ループが《イベントリ》から取り出したし灑落た椅子にメーテルに勧めるのを橫目に、オレも《イベントリ》からティーカップとティーポットを取り出す。

「好きに飲むと良い」

「淹れてくれないんだね。まぁ、良いけど」

ブツクサと文句を言いつつ、椅子に座ったメーテルはティーポットを傾けてティーカップに湯気が立ち上るき通った茶のを注ぎーー。

「あれ?」

疑問を発した。

メーテルは首を傾げつつ、ティーカップにったを一口飲みーー。

「ん?」

またもや疑問を発した。

しかし、メーテルは一言も喋る事なく、ティーカップのを全て飲み干し、オレへと視線を向けた。

「師匠。これって、アップルティーなのかな?」

「ふむ。オレに聞くな。それは、む飲みを出す魔道だ」

「…え?……えぇっ!?何それ!?何それっ!?そんなのあるのっ!?」

何を驚く?

一家に一臺はある筈だ。

「え?ちょっと待って!何?そのバカにしたような顔。僕がおかしいの!?ねぇ!?僕がおかしいのっ!?」

「うむ。貴様がおかしいのである」

「ド直球だねっ!」

騒がしい奴だ。

「『願の急須』。それが、この魔道の名だ。聴いたことぐらいはあるだろ?」

「ないっ!って言うか、頂戴!」

「ふむ。一つぐらいならば良いだろう」

まだまだ在庫はあるので、あげても問題はない。

ただ、簡単に作れるではないので、幾つも渡す事は出來ぬ。

「えっ!?良いのっ!?後で返してとか言っても、返さないよ?」

「要らぬのか?」

「要るっ!」

バッと『願の急須』を奪い取って抱き締めるメーテル。その勢いのまま頬りまでし始めた。

さすがに、そこまでされたのを返せとは言いわないな。

「して、話があるのだろ?」

「あ、そうだった」

『願の急須』を傾け、ティーカップに薄赤いを注ぎ、一呼吸置いてから話し始める。

「イクス君。君にパーティーを組んでしい子が居るんだ」

ーーー

時計塔の下。メーテル學院長が言っていた集合場所です。

私達4人は、昨日帰り際に學院長からここに集まるように言われました。

「パーティーって、なーに?」

またサリアさんですか…。

そんな事も知らないのに、よく特待生で、それも、學試験で満點以上を連続で通過してきましたよね。

まぁ、良いです。バカと天才は紙一重とも言います。この子はそう言う子だと思えば納得がいきます。

えっとですね。パーティー。それは、最大6人で構される…所謂、仲間です。

え?私?私にも居ましたよ。

冒険者ランクがHの、雑用係とか荷持ちとかさせられていた時だけですけどね。

「自慢話かしら?學年3位のアーテルさん」

「今、説明中なんでし靜かにして下さい。學年4位のミラルさん」

「…あなた…わたくしと再戦したいようですわね…」

「いえ、結構です。サリアさん。今説明した中で分からない所はありますか?」

「んーー、全部わかんないー!」

「無視…わたくしを無視するなんて…」

あ、そうですか。

全部分からなかったのですか…。

「…仲間と一緒に戦う。それが、パーティー」

「わかったー!」

そんな説明で良かったんですか!?

それにしても、リリルさんって、いつも澄まし顔で何を考えてるか良く分からない人ですけど、ちゃんと會話できる人だったんですね。

これからはパーティーを組むんだし、ちゃんと話かけよう。うん。そうしよう。

きっと、リリルさんも答えてくれる…よね?

ーーっ!?

「や、やぁ…。取り敢えず、武を下ろしてくれないかな…?」

突然、背後に気配が現れたものだから、咄嗟に刀を橫一線に振るって一撃目を空振り。二撃目を地面に倒れ伏す者ーー學院長の首元ギリギリで止めました。

學年4位のミラルさんが私達の背後に立った學院長を躊躇なく地面に叩きつけたようで、私の斬撃が空振りしたのです。

リリルさんは魔法を発寸前で宙に留め、サリアさんは…何もしてなかったみたいです。

「す、すみませんっ!」

「あら、つい手が出てしまいましたわ」

「…ん」

「イッくんの匂いがするっ!」

私は學院長の聲にすぐさま武を仕舞い、謝罪しました。リリルさんも魔法を消していました。

サリアさんだけ鼻をクンクンとさせて、イッくんさん?を捜しているようです。

「今日は散々な日だね…。まぁ、その分以上の収穫があったから良いけどっ」

ピョンッと軽なきで起き上がった學院長は、私達を一人一人と視線を合わせてからニコリと笑いました。

「呼び出しといて、ごめんね。斷られちゃった」

テヘッと効果音が付きそうな、なんだかイラっとくる笑みを浮かべた學院長。

斬って良いかな?

「まぁ、まぁ。そう怒らないで。僕の部屋で君達を呼び出した理由を話すから」

ミラルさんとリリルさんが帰り始めましたね。

じゃあ、私もーー。

味しいお茶とお菓子も出すよ?」

…仕方ないですね。

べ、別にお菓子に吊られたわけではないですよ?

あ、二人も戻って來た。

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