《事故死したので異世界行ってきます》第46話 躍進⑥

砲撃の音、舞い上がる土埃、剣がを斬りを啜る生々しい音。そんな地獄とも言える戦場に3つのが國民を照らし敵兵の命を狩りとっている。

「キャァァァァアアアッッ!!!」

悲鳴をあげるの聲、そこには剣を振り上げ今にも振り下ろそうとしている敵兵の姿があった。

「うわぁッッ!!!」

そのの反対側からは男の悲鳴が聞こえてくる。

スピードのステータスが尋常じゃなく高い俺でさえ、2人を救う事は不可能だ。どちらを救えば良いか考えている際にも剣は民に向けて振り下ろされる。

「剣技【スティリアラート】 國王様はあちらのをッ!!!!!」

その聲が耳にる前にはもうに向けて剣を振り下ろそうとしていた兵士を回し蹴りで吹き飛ばしていた。

「助かったよ!リリシューラ!」

「いえ、しかし流石ですね……武も無しにこのようなところに來られるとは……」

まぁ、単に武がないだけなんだけどね……

「オーディアとか他の人たちはどこにいるんだ??」

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「それでしたら彼らも國の民を守るため闘しているかと思われます」

「それはありがたい。俺は敵の親玉を討ち取ってくる。ここを任せても良いか?」

意ッ!!!」

俺はリリシューラに國民の保護を任せ壁の向こうにいる敵の親玉を討ち取りに向かった。

「國王様は戦闘中になると、人が変わるのだろうか……」

カルダド王國國外周辺

【飛翔フライ】を使い周囲を確認すると、大量の軍勢が土の簡易的な城のようなものを囲っているのが見えた。恐らく土魔法で作られた拠點のようなものだろう。

近くで見ればそれなりに大きく見えるのだろうが周りにいる兵士の量が尋常ではない為拠點がみすぼらしく小さく見える。

「さぁ……いこうか」

俺は【飛翔フライ】を使ったまま拠點の上空まで移し一気に急降下した。

地面を砕く音と土埃をたてながら拠點のり口付近に著地した。

「な、何事だっ!! 六闘神、我を守れっ!!」

土埃で前が見えないが恐らく親玉だろう。こんなベタな敵マンガくらいでしか見たことない。

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「ふぅ〜……貴方がゼルゲドル國の國王ですか?」

「貴様は何者だっ!」

ここでようやく土埃が晴れる、目の前にいたのは中中背の膨よかなお腹をお持ちのおっさんだった。

「これは失禮。俺はカルダド王國國王スズキユウスケと申します」

「國王だと?貴様が黒き闘神にして最後の闘神かっ!」

「いえ、俺はもう黒き闘神ではありません」

「噓をつくな、貴様が闘神であると言う報はもう握っているのだ。 仮に貴様が闘神でなくとも國王である貴様を捉えればそれと引き換えに闘神を我が手中に収めるまでだ!」

「そんなことよりも、俺の國を荒らしたことに対して謝罪してください」

「何を言っているのだ貴様、自分の立場がわかっていないのか?敵陣にたった1人乗り込んで何ができるというのだ?」

「はぁ……謦咳に接する死の囁き 屆かざる生の一聲 沈み砕かれ淀み屈せよ 古代魔法【黒轟】」

黒い音の波は拠點と六闘神を含み周囲にいた大軍勢達をも飲み込んだ。

そして、これを持って呆気なく戦いの幕を閉じられる。

ただひたすらに広い高原に無數の死が転がりそこに1人ポツンと俺が立ち盡くしている。耳にるのは風の音、それからなびく草木の音だけだった。

「……なんでっ!!!???!」

あまりの衝撃に反応が遅れてしまう俺。これは後から確認してわかったことなんだけど、どうやら【黒轟】は即死系の魔法であってデバフをかけるための魔法ではなかったようだ。そして、これも後から聞いた話だが、どうやら今のところ位の高い魔族にはデバフ系の魔法等は一切効かないようだ。このことから【黒轟】の強さがわかっていただけるだろう。

そして戦いの幕はそんな超強力な魔法【黒轟】によって閉じ、一瞬にして平和なカルダド王國へと戻った。

◇◇◇◇◇◇

ゼルゲドル國の襲撃から15年が経ち世界はゆっくりとではあるが大きく変わろうとしていたのであった。古代魔道書を奪った魔王城を俺と學校の教員と生徒で攻め落とし古代魔法を記された魔道書を取り戻した。特にこの時に活躍したのはメリィだった。彼は常に魔法での績では卒業するまでの10年間校1位を誇っており卒業後は教員として働くこととなった。この魔王城を落としたという事例が周囲の國に広がっていき、ほぼすべての國で學校は取りれられ國の勢力拡大を擔う重要な機関となった。そして、カルダド王國は人間領で言えば最大の戦力を保持する國となり貿易にもかなり強くなったと言って問題無いだろう。カルダド王國はもちろんのこと他の國もユウスケが提案した學校を通じて國として大きな躍進を遂げた。

そして、何よりもの変化といえばユウスケとリリカの間に子供が生まれたと言うことである。その子の名前は……

「こらっ!シン!大人しくしなさい!」

リリカの聲が家中に響き渡る。

「はーい」

シンはふてくされた聲でそう答えた。

「はい。でしょ!」

「はいはい」

「はい は一回!」

「んだよめんどくせぇな!」

シンは絶賛反抗期なのである。だがそんな景を見て俺は微笑ましく思っている。この生活が永遠に続けば良いのにな、とさえ思ってしまう。続く訳がないと分かっているのにだ。なぜそんなことがわかるのか、それはもうすぐ魔神が復活するという報が流れ始めたからだ。各地で七つの大罪が出現しているという噂も絶えない。

「シン、しだけ俺の話を聞いてくれるか?」

「なんだよ」

「お父さんは暫く帰ってこれない。その間ちゃんとお母さんの言うことを聞くんだぞ?」

「なんだよそんなことかよ。オヤジは家にいる方が珍しいくらいだからな。そんなことでいちいち呼ばないでくれよ」

パシンっ!!シンの頬にリリカのてが打ち付けられる音が響く。

「何よその口の利き方っ!!お父さんは、ユウスケさんは國の……」

「おいッ!」

「國なんだってんだよ!國の恥さらしとでもいうのかよ!?家にはいねぇしよ、かと言って仕事をしてるかと思えばそういうわけでもねぇんだろ?」

俺はシンに自信が國王であることを伝えていない。家も小さくて小汚い、國王が住むにはあまりにも場違いな家に住んでいる。なぜこんなことをするのか、それは邪神関係者が唯一の天敵と認めている俺の子供を狙って來る可能が有ると示唆されたからだ。

「ははは!そうだな!俺は國の恥さらしだ、だから絶対に俺みたいにならないようにお母さんの話を聞くんだぞ?分かったな?」

「んだよ……プライドってもんがねぇのかよ……」

「いいかシン。男にはなそんなものより大切なモンが有るんだよ。それを守るためにならプライドなんてくだらないものいくらでも捨ててやるさ」

「わっけわかんねぇ」

「そのうちわかる時がくるさ。 リリカ、後は頼んだ。何かあったらアイツを頼ってくれ」

アイツ、とはラギナのことである。この狀況下において最も頼れるのはリベリアルとラギナ。そしてリベリアルは俺と共に魔神の封印に同行する為、最も頼れるのはラギナという訳になる。

「うん…… いってらっしゃい」

深淵・ベルサヘイム 魔神の祭壇

混沌。そう表現するのが1番正しいのではないかと思うほどに気の悪いをした空間に、ポツリポツリと島國のように何かの力で持って浮遊しているかのような巖巖が無數に存在する。そこには2人の人間と一の大罪者が居た。

「フハハ!素晴らしい!まさか人間がここまでやるとはな!」

「はぁ……はぁ……リベリアルまだいけるか……?」

「問題ない……」

「問題ないか……それはし強がり過ぎなのではないか?リベリアルよ」

「黙れ、私を陥れた憎きルシファー、貴様に敗れるわけにはいかない……」

「墮ちろ【ヒルザデルゼ】」

ルシファーは指をリベリアルの方に向けてそう唱えた、その瞬間ルシファーの指先からは漆黒の線が放たれた。

「【霧幻雷斬ファントム・ライジスト】」

その線がリベリアルに直撃する瞬間【霧幻雷斬ファントム・ライジスト】を間一髪のところで使用しなんとか致命傷を免れる。

「またその技か。貴様は同じ技しか使えないのかつまらん男だな」

「なんっ!」

「明らかな挑発だ、あんな奴の言葉に乗るな」

リベリアルを抑制する。

「まぁ、挑発に乗ろうが乗らまいが貴様らの敗北に変わりはないがな」

ルシファーは鼻で笑いながらそう言う。

「リベリアル、そろそろ覚悟を決めよう。次の一撃で全てを終わらせる」

「承知した。【闘神】」

リベリアルのから強烈なまでの威圧が黒のオーラとなって滲み出す。

「ほほぅ?それが貴様らの切り札か?」

「まだだ、【黃昏】」

ユウスケのからは純白のオーラが薄っすらと流れて始めた。

「ふむ。もう準備はできたか?」

超絶怒濤の急展開で申し訳ないです!

後數話でおそらく終わりを迎えると思います!

作者がこれ以上話を膨らませられないと判斷したので急な展開ではありますが最終章へと向かわせていただきます。

次回更新は3/30です。

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