《事故死したので異世界行ってきます》#番外編 クリスマス
雪が降り、あたり一帯は白で埋め盡くされている。
「はぁ〜、はぁ〜」
口から出る行きは白く、もくもくと煙のように空に向かっては消えていく。
寒さが際立つ、そんな季節。
男は1人、王國のとある店の前で自分の息だけを頼りに暖を取ろうとしていた。
「しっかし冷えるな……つか、いつになったら戻ってくるだ……」
ガチャ──
店の扉が開くと同時に、1人のと、1人の年が出てきた。
「ありがとうございました!」
そんな店員の聲に笑顔で頷き答えるは──
「リリカ!ちょっと遅くねぇか!!??俺、死んじまうぞ!」
「何を冗談言ってるの?そんな程度で死なないでしょユウスケさんは」
そう、外で1人待たされていたのは元勇者兼元國王。
そんな人を待たせていたのは、ユウスケの妻リリカだった。
「ま、まぁいいや……ところでアレは買えたのか??」
その問いに対して、年シンは親指をぐっと立てて応えた。
「よし!じゃあ帰るぞ!」
「ええ!」
Advertisement
「うん!」
ユウスケは、シンとリリカが持っていた紙袋を持ち家へと帰った。
「よし……食うぞ!」
ユウスケは食卓に並べられた豪勢な鶏とケーキを前にそう言った。
「「「いただきます!!」」」
3人は息をそろえてそう言った後、その言葉よりも大きな聲で『メリークリスマス』と言う聲が家の玄関から聞こえてきた。
3人は玄関に目を向ける、そこにはまさしくサンタクロースと言えるほどの立派なヒゲと赤い服に赤い帽子を被った男が立っていた。
「ラギ……「オホホ!サンタがシン君にプレゼントを渡しにきたぞ〜?」
ユウスケの言葉を遮るようにサンタ、否、現國王ラギナはそう言った。
「えぇ!!!やったぁ!!」
サンタの格好をしたラギナの言葉に年らしい喜び方をしたシン。
「オホホッ!コレを君にあげよう!」
そう言ってラギナは肩にかけた白い袋の中からラッピングされた大きな箱をシンに手渡した。
「これは??」
「オホホ!開けてからのお楽しみじゃ!それではまた來年會おう!それまで良い子にしておるのじゃぞ?でなければサンタはもう來ないからの〜!」
そう言ってラギナは家から出て行った。
「お父さん!開けても良い?」
キラキラと輝く年の目は、ユウスケのハートを抜く。
「あ、あぁ。勿論だ」
その言葉を聞くなり、シンはがむしゃらにラッピングを引き剝がす。
ラッピングを剝がした中には黒く、長い箱がっていた。
「なんだこれ?」
ユウスケは思わず心の聲が出る。
そんな言葉をそっちのけにシンはおもむろに箱を開ける。
「わぁぁ!!」
「ブッ!!??」
「まぁ……」
三者はそれぞれ違うリアクションを取る。
1人は喜び、1人は驚き、もう1人は呆れだった。
箱の中は自分の顔が映って見えるほど綺麗仕立てあげられた剣だった。
柄の部分は黃金でできており、わずかながら刀からは魔力をじる。
いわゆる魔剣である、だがその辺に転がっている魔剣とはわけが違う──
「こりゃ、國寶級の……「すごく綺麗な剣ね、でもその剣お父さん以外には使っちゃだめよ?」
「うん!」
「まてぃ、『うん』じゃ無い!バカか!」
「え?だってこんなんじゃお父さん死なないでしょ?」
無邪気にそう言う息子に、父親は優しくこう言う。
「死ぬ死なないじゃ無いんだ、シンに武を向けられるだけで神的にはもう死んでるんだぞ」
「ん?よくわかんないけどまた勝負してね!コレつかうから!」
無邪気すぎる年には父親の言葉は通じなかったようだ。
「あ、はい」
「冷めてしまうよ、早く食べましょ?」
リリカのその言葉で3人は食卓に戻り食事を始めた。
翌日──
「ラギナぁぁあ!!」
ユウスケは朝イチで王國の國王室に足を運んだ。
「ん?」
すっとぼけた表でそう返すラギナ。
「何だそのアホみたいな顔、つかよくもあんな、息子に渡してくれたな……」
「何の話だ?」
ラギナはまるで見覚えのない表でそう返す。
「何の話って、昨日俺の家に來てサンタの格好でシンに國寶級の魔剣渡したろ!」
聲を上げるユウスケに対してラギナは深く考え込む。
「はて……昨日はずっと激務に追われていてこの部屋から一歩も出て無いんだがな……」
ユウスケは〈心眼〉を使用したがラギナその言葉に噓はなかった。
「なんだと……じゃあ昨日きたのは本當のか?」
「何を言っているのかよくわからんが、そうなんじゃないか?」
「そうか、朝からすまなかったな」
「うむ、構わん」
ユウスケは靜かに國王室を後にして、王宮を出て空を見上げた。
するとそこには白いモヤがフワフワと飛んでいた。
「まさか……そんな訳ないな。何かのトリックで俺の心眼をくぐり抜けたに違いない……」
「オホホ!」
そんなユウスケを嘲笑うように、昨日聞いた獨特な笑い方が空から聞こえてきた。
「マジか」
ユウスケはそうポツリと呟くと、ゆっくりとした足取りで家へ帰った。
〜終わり〜
12/25
クリスマスですね!
みなさんいかがお過ごしでしょうか?
私は……まぁこんな話はどうでも良いですね!
風邪には十分気をつけて1年に1度のイベントを楽しく過ごして下さい!
平最後の、メリークリスマス!
【書籍化・コミカライズ】実家、捨てさせていただきます!〜ド田舎の虐げられ令嬢は王都のエリート騎士に溺愛される〜
【DREノベルス様から12/10頃発売予定!】 辺境伯令嬢のクロエは、背中に痣がある事と生まれてから家族や親戚が相次いで不幸に見舞われた事から『災いをもたらす忌み子』として虐げられていた。 日常的に暴力を振るってくる母に、何かと鬱憤を晴らしてくる意地悪な姉。 (私が悪いんだ……忌み子だから仕方がない)とクロエは耐え忍んでいたが、ある日ついに我慢の限界を迎える。 「もうこんな狂った家にいたくない……!!」 クロエは逃げ出した。 野を越え山を越え、ついには王都に辿り著く。 しかしそこでクロエの體力が盡き、弱っていたところを柄の悪い男たちに襲われてしまう。 覚悟を決めたクロエだったが、たまたま通りかかった青年によって助けられた。 「行くところがないなら、しばらく家に來るか? ちょうど家政婦を探していたんだ」 青年──ロイドは王都の平和を守る第一騎士団の若きエリート騎士。 「恩人の役に立ちたい」とクロエは、ロイドの家の家政婦として住み込み始める。 今まで実家の家事を全て引き受けこき使われていたクロエが、ロイドの家でもその能力を発揮するのに時間はかからなかった。 「部屋がこんなに綺麗に……」「こんな美味いもの、今まで食べたことがない」「本當に凄いな、君は」 「こんなに褒められたの……はじめて……」 ロイドは騎士団內で「漆黒の死神」なんて呼ばれる冷酷無慈悲な剣士らしいが、クロエの前では違う一面も見せてくれ、いつのまにか溺愛されるようになる。 一方、クロエが居なくなった実家では、これまでクロエに様々な部分で依存していたため少しずつ崩壊の兆しを見せていて……。 これは、忌み子として虐げらてきた令嬢が、剣一筋で生きてきた真面目で優しい騎士と一緒に、ささやかな幸せを手に入れていく物語。 ※ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。 ※書籍化・コミカライズ進行中です!
8 173とある素人の完全駄作
限界まで中二病っぽく設定を盛った自分を、「とある科學の超電磁砲」の世界にぶっ込んでみた、それだけの超駄作小説。 P.S.白井黒子の出番が少ないです。黒子好きの人はご注意下さい。 主人公はCV:梶裕貴or高山みなみでお願いします。
8 126異世界で、英雄譚をはじめましょう。
――これは、異世界で語られることとなるもっとも新しい英雄譚だ。 ひょんなことから異世界にトリップした主人公は、ラドーム學院でメアリーとルーシー、二人の少年少女に出會う。メタモルフォーズとの戦闘を契機に、自らに課せられた「勇者」たる使命を知ることとなる。 そして彼らは世界を救うために、旅に出る。 それは、この世界で語られることとなるもっとも新しい英雄譚の始まりになるとは、まだ誰も知らないのだった。 ■エブリスタ・作者サイト(http://site.knkawaraya.net/異世界英雄譚/)でも連載しています。 本作はサイエンス・ファンタジー(SF)です。
8 109転生チートで英雄に!
主人公 竜華星華は、お忍びで來ていた某國の王族の子供を交通事故に見せかけて撥ねようとしたトラックから身を挺して庇い死んでしまった。 だが、意識があることに疑問を持ち、目を開いてみたら………………………!?
8 145受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-
受験を間近に控えた高3の正月。 過労により死んでしまった。 ところがある神様の手伝いがてら異世界に転生することに!? とある商人のもとに生まれ変わったライヤは受験生時代に培った勉強法と、粘り強さを武器に王國でも屈指の人物へと成長する。 前世からの夢であった教師となるという夢を葉えたライヤだったが、周りは貴族出身のエリートばかりで平民であるライヤは煙たがられる。 そんな中、學生時代に築いた唯一のつながり、王國第一王女アンに振り回される日々を送る。 貴族出身のエリートしかいないS級の教師に命じられ、その中に第3王女もいたのだが生徒には舐められるばかり。 平民で、特別な才能もないライヤに彼らの教師が務まるのか……!? 努力型主人公を書いて見たくて挑戦してみました! 前作の「戦力より戦略。」よりは文章も見やすく、內容も統一できているのかなと感じます。 是非今後の勵みにしたいのでブックマークや評価、感想もお願いします!
8 83殺しの美學
容疑者はテロリスト?美女を襲う連続通り魔が殘した入手困難なナイフの謎!--- TAシリーズ第2弾。 平成24年七7月8日。橫浜の港でジョニー・アンダーソンと合流した愛澤春樹は、偶然立ち寄ったサービスエリアで通り魔事件に遭遇した。そんな彼らに電話がかかる。その電話に導かれ、喫茶店に呼び出された愛澤とジョニーは、ある人物から「橫浜の連続通り魔事件の容疑は自分達の仲間」と聞かされた。 愛澤とジョニーは同じテロ組織に所屬していて、今回容疑者になった板利輝と被害者となった女性には関係がある。このまま彼が逮捕されてしまえば、組織に捜査の手が及んでしまう。そう危懼した組織のボスは、板利の無実を証明するという建前で、組織のナンバースリーを決める代理戦爭を始めると言い出す。ウリエルとの推理対決を強制させられた愛澤春樹は、同じテロ組織のメンバーと共に連続通り魔事件の真相に挑む。 犯人はなぜ3件も通り魔事件を起こさなければならなかったのか? 3年前のショッピングモール無差別殺傷事件の真実が暴かれた時、新たな事件が発生する! 小説家になろうにて投稿した『隠蔽』のリメイク作品です。
8 133