《世界がゲーム仕様になりました》3

1歩目を踏み出した途端、右から拳が飛んできた。

的に踏み出した足を戻すことで回避できたが、この分だとここから先が思いやられる。

いや、まあ、そんな先の心配より、後ろの心配した方がいいかな?

この覚からするに服摑まれてるようなじがする。そうだとすれば離してもらわないことには進めない。

てことで、先のことよりたった今この狀況をさっきの狀況まで戻す必要があるわけだ。

「ごめん、今のはタイミングが悪かっただけだと思うから、離してくんない?進めない」

「・・・ご、ごめん・・・なさい」

あっれぇ〜?なんか俺、怖がられてる?それとも今の狀況が怖いだけ?

いやいや、今それはいい!今度こそ進もう。

ここからは割と順調だった。たぶん、きっと、順調って言っていいと思うぐらいには進んでる、と思う。

というのも、

3メートルほど進んだところで後ろの子に攻撃が飛んできたが、軽く引き寄せることで回避。

さらにしばらく進んだところで、真っ正面から拳がきたが、避けるわけにいかずモロにくらう。

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間髪れず左右から拳と蹴りが來た。蹴りは頭を下げて避け、拳はアッパーの形だったので向かって行ったことになり、まともに食らった時よりダメージが大きくなってしまった。

気をよくしたのかアッパーして來た奴が追撃を加えようとして來たが、空いている右手で鳩尾を毆り悶絶してる隙に進んだ。

今、半分ぐらい進んだか?思ったより攻撃回數はないけど、どうしてもけるしかない攻撃が多い。

ていうかこれ本當に順調?想定以上にダメージけたんだけど!?

いやまあ確かに彼守ること以外は捨てたからダメージもける覚悟あったよ?でもさ、けるしかない攻撃が・・・以下略。

とかなんとか考えてたら今度はまた彼に向けての攻撃。空いている右手で頭を下げさせることで回避した。

はい、背中思いっきり蹴られた。しかもすぐ逃げたからやり返せなかったし。

今度は左から拳。顔面に向けてのストレートだったので顔を逸らして避け、勢いよく突っ込んできてたのでその勢いを生かして蹴り飛ばす。

ちっ、連攜してるのかと思うぐらい連続で攻撃してくるな。

やり辛い。とはいえ足を止めるわけにもいかない。止まれば完全に巻き込まれる。

殘り3分の1だ。何とかなると信じよう。

正面から飛び蹴り。上半を傾けて回避し、さっきからのパターンを考えて飛び蹴りしてきた奴にを軽くぶつけて右後方辺りに転がるように調整する。

案の定というかなんというか、右後方から2人分の聲が聞こえたので次の攻撃を防ぐ事ができた。

・・・と思ったのに。左から俺と彼、両方同時に攻撃できるような軌道での回し蹴り。

を思いっきり引き寄せて抱きしめる形をとりながら出口方向に飛んで回避する。

出口はすぐそこだ。この子の勢が整うのを待ってたらまた攻撃されるだろう。

仕方ない、もうしばらくこのまま我慢してもらって抱きかかえたままここから抜け出そう。

そう思って出口に顔を向けた瞬間、顔面を毆られた。

一瞬、何が起きたか理解できなかったが、彼の様子を確認するために下を向いた時すでに攻撃が飛んできていたのだろう。

要するに、顔を上げるタイミングが悪かったのだ。

もう反撃すら面倒だったので毆ってきた奴を押しのけて強引に抜け出した。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・ふ〜。大丈夫か?ケガしてない?飛んできたパンチとか、當たってないよな?」

もし當たってたら頑張った意味なくなるから當たってないって言ってくれ。

ていうかまじで當たってないよな?な?

「だ、大丈夫、です。ケガもしてません。ちゃんと守ってくれたから當たってません」

ほっ。良かった。俺の頑張りは無駄じゃなかった。

「そりゃ良かった。ちゃんと守れたみたいで安心したよ。それより、いつまで抱きついてるつもりなんだ?」

「へ?・・・ご、ごめんなさい」

わー、超赤くなってる。りんご見たいって表現が今ならよくわかる。

いやほんと、耳まで真っ赤。

ボケーっと真っ赤になった顔を眺めてたらキョトンとした不思議そうな顔をされた。

なるほど、こんな顔をするから男どもが群がるんだな。

今度は目を見開いたあと、悲しそうなというか申し訳なさそうというか、なんかり混じった複雑な表になった。

それどういう?そういうを読み取るみたいなやつ、出來ないんだけど?

若干テンパり出した頃、唐突に彼の手が俺の頬に優しくれた。

そして俺はフリーズした。

「ごめんなさい。私を守るためにケガを・・・」

あぁ、そういうことか。

「いや、俺が勝手にやった事だから気にしなくていい」

「でも・・・!」

「あ〜、じゃあこうしよう。もし何かお禮をしようと思ってくれるなら、どうしてこんな狀況になったのか教えてくれ。あと々どうなったのかも教えて。それでチャラ。どう?」

「それじゃ、割りに合わないじゃないですか」

「じゃあさっきのプラス敬語やめるって事で。異論反論は認めない。これで決定」

「まだ割りに合わないと思うんですけど」

「言っただろ。異論反論は認めないって。それに報は価値のあるものなんだ。十分すぎる対価だよ」

まだ納得してない顔をしていたが、妥協してくれたのかどうしてこんな狀況になったのか話し始めてくれた。

ようやく本題だ。ここまで長かった。

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