《世界がゲーム仕様になりました》ほんとにゲームみたいだな

學校までの道のりですでに4回ほど戦闘が行われた。

やはり昨日と比べると回數が多いことを考えると、あの熊がここら辺の魔を襲っていたのだろう。

とはいえ、まだ丸一日も経っていないのに増えすぎだとも思うが。

などと無駄なことを考える余裕があるのは今がちょうど、5度目の戦闘が終わった直後だからだろう。倒した魔を回収しながらぐだぐだ考えているわけだ。

「さて、改めて聞くけど違和とかないか?」

回収が終わり、集合したところで聞いてみる。

すると顔を見合わせて

「「「心配しすぎ」」」

聲を揃えて言われた。

「私と結は上著を変えただけのようなものだから大丈夫に決まってるでしょ。ね?」

「うん。全然大丈夫!」

「オレもそろそろ慣れてきたから大丈夫だ。それより、お前の方こそどうなんだよ?」

「問題ない。ただこの剣、耐久力が低いらしいな。下手な扱いするとすぐダメになりそうだ」

「チュートリアルで貰ったのよりマシだろ?」

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「それよりいんだよ。さっきゴブリンと數回打ち合った程度で刃こぼれしてるし」

「そりゃダメだな」「だろ」

それでも裝備を戻さないのはチュートリアルの剣は非常用と思っているからだ。

どうせ使い捨てにするならこっちの方が良い。攻撃力特化の剣なんて俺向きじゃないだろうからな。

それに、扱いにくい剣を使って剣の使い方をで覚えていきたいしな。

「まあ、とりあえず進むか。そろそろ見えてもおかしくない所までは來てるはずだから、もうし頑張ろう」

「「「おー」」」

明らかに疲れが見えてるな。やっぱり昨日のが響いてるんだろうな。

警戒していたとはいえ、あの熊は驚異的すぎた。普通の魔ならまず逃げることが出來た距離で気付いたのに、戦闘になった。

あの例があるから神的な疲労が激しい。加えて昨日とは比べにならないほどの戦闘回數。

短時間とはいえ疲れない理由がない。

お、見えてきた。あと200メートルってとこかな。

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し先にコボルト2だ。どうする?」

「・・・速攻でいこう。加耶、デュアル」

「了解・・・『デュアルファイアボール』!」 

ファイアボールが1つずつ當たり、コボルトが火に包まれる。

悶え苦しんでるあいだに距離を詰め俺は首を、雅人は心臓を狙い攻撃。

俺の方は無事に首を刎ねることができ、一片付いた。

雅人の方は途中で気付かれたらしく、仕留めることは出來ていない。

まあ、一対一でやらせる気は無いので背後に回り〈スラッシュ〉で首を刎ねて終わらせる。

「なあ悠」

「なんだ?」

「毎回思うが、首刎ねるのグロいからやめてくんね?」

「手っ取り早い方法を考えた結果だから我慢してくれ。それに、首を狙う余裕がある時だけだから」

「えー。まあ、良いけどさ」

「お前こそ、昨日の熊の首落としてたろ」

「あれな。あんま記憶ねぇんだよ」

・・・"憤怒"のせいか?こりゃいよいよ使わせるわけにはいかないな。

「は?まあ良いか。その話は今度ゆっくり聞かせてもらうからな。よし、行こう」

そこから數百メートルの間での戦闘はなく無事に學校まで辿り著いた。

敷地り、2日ぶりに気が抜けたのか槍を支えに項垂れる雅人。

加耶も肩の力を抜いて今にも座り込みそうだ。

「雅人、お前の集めた素材を俺に預けてくれ」

「ほいよ」

「・・・サンキュー。素材の処理は俺がやっておくからみんなは休んでくれ。素材の処理が終わったらまた連絡する」

昨日のうちにフレンド登録をしておいたのでチャットや通話等で連絡を取る事が出來るようになった。

パーティを組んでいればフレンド登録する必要は無いのだが、予期せぬ事態が起こった時用の保険だ。なんせ昨日の例があるからな。

「あ、私も付いて行く」

「いいって、休んでろよ」

「私は今日歩いただけだから元気だよ」

「いや、それでも・・・はぁ、じゃあ行くか」

譲る気が無いのが何となく分かったので諦めた。

さて、それじゃあ生産系の施設を探そう。

なぜスキル持ちを探さないのかと言うと、あまり信用していないからだ。いや、言い方が悪いか。ゲーム風に言えば、練度が足りないとか、スキルレベルが足りないとかそういう類の理由で確実のある施設探しをしようと思ったのだ。

雅人と加耶と別れて軽く雑談しながら探していたら、すぐに見つかった。

「鍛冶屋か。ってみよう」

「うん。すみませ〜ん」

先にるんかい!

「何か?」

ここも素材売り場と同じく無想だな。

人間じゃないんだろう。

「素材があれば、裝備を作って貰えるか?」

「はい。端末にてリストをご覧下さい。選択し、決定を押せばお引きけします」

端末が震えたので確認すると、現在作可能な裝備品リストが表示された。

鍛冶屋というだけあって武や金屬、骨製の防が多い。てかそれしかない。

金屬なんてどこから出てくるのかと思えば、ゴブリンの持っていた武を加工し直して作るらしい。

當面は攻撃より防を固めたいので、鎖帷子を4著と熊の骨製の籠手と脛當て(グリーヴ)を4セット頼んだ。それから同じく熊の骨製の當てを3つ頼んだ。

金屬がまだし余っていたので熊の骨と混ぜて作られる槍も追加。

こんなもんか。あ、製作費用とかいるのかな?

「承りました。明日の朝にけ取りに來てください」

「製作費用とかは?」

「當施設では必要ありません」

「どうも。じゃあよろしく」

とても綺麗な一禮をして奧に引っ込んでいった。

いや待って!まだ素材渡してないんだけど!?

ん?端末が震えた。・・・あ、そういう事か。

頼んだ分の素材は自的に渡されるシステムだったようだ。どこまでもゲームらしい仕様だ。

「よし、じゃあ次行くか。ってあれ、怒ってる?」

「別に」

「いや怒ってるじゃん。なんで?」

「黒鉄君、自分の防頼んでない」

「リストに鎧しか無かったからな」

「ダメなの?」

「俺はき回って戦うから鎧は著たくないんだよ」

「でもこのままじゃダメだよ?」

「ちゃんと分かってるよ。魔の皮を使うものが無かったから、多分服の仕立て屋とかそういう場所じゃないとダメなんだと思う」

「じゃあ探そう!あ、黒鉄君のは私が選ぶからね!」

「え、いや自分で選ぶから」「だめ!」

「はぁ、分かったよ」

なんかめちゃくちゃ嬉しそうだな。なんでだ?まあ分かるわけないけど。

しばらくして、無事に仕立て屋を発見した。

子供のようにはしゃいでっていく白亜をゆっくり追いかける。

鍛冶屋での流れと同じように、話しかけたら端末にリストが表示された。

「はい」「ん」

手を差し出されて端末を渡すよう求められたので、素直に渡した。

端末と睨めっこしてどれにするか悩み始めた白亜を見て、何故か気が緩む。

しばらくかかりそうだったので、暇つぶし程度に気になっていた事を仕立て屋と話をしてみる事にする。

「あんた達は、その、人間じゃないんだろ?」

「はい」

「アンドロイド、ロボットなのか?」

「いえ、ホムンクルスです」

「ホムンクルスって言うと、錬金の?」

「はい」

やはり人間ではなかった。ホムンクルスという返答は予想外だが、あのらかな作を見ていると納得もいく。あれはロボットには出來ないだろう。

しかし、ホムンクルスか。首謀者は錬金師なのか?いや、"錬金師も居る"が正しいか。

なら、シロナさんは?人間、だろうな。このホムンクルスみたいに無想でも、無でもなかった。あの図書館に行けば會えるだろうか?魔以外のことも聞いてみたい。

それに、もしかするとあれのことも知っているかもしれない。

「よし、決めた!」

「承りました。今日の夜には仕上がりますので、ご都合のよろしい時にけ取りに來てください」

「分かった。よろしく頼む」

「あ、はい。端末」

端末をけ取り、店から出た。

「素材売り場まで行こうと思うけど、良いよな?」

「うん。大丈夫だと思う」

素材売り場まで歩き始めたところで、後ろから聲をかけられた。

面倒ごとは勘弁だぞ。

「なにか?」

「やっぱり、あんた噂の」

「そんなに広まってるの?」

「そりゃもう、學校中に・・・って結!早く離れな!」

とか言いながら引っ張って連れて行ってるじゃん。

そのまま軽く説教みたいなのが始まった。

お母さんかよ。まあでも、この子に任せとけば変な奴らも寄ってこないだろう。

「なぁ、おい」

「・・・何よ?」

「白亜のこと、ちょっとの間よろしくな。休ませてあげてしい」

「は?・・・はぁ!?」

「て訳で白亜、ここからは別行な。ちゃんと休めよ」

「え、ちょ、待って、助けて〜」

「いやいや無理だろ。離す気ないぞ?その子。じゃあな」

これ以上泣き付かれたら助けたくなるので早々にその場を去った。

端末が震えたので確認すると、[同行者がいなくなりました]と表示されていた。

・・・うるせぇよ!!

「ほんと、ゲームかよ」

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