《世界がゲーム仕様になりました》空き時間

當たり前だが、育館から出て外を見るとすっかり暗くなっていた。

あの図書館にったのが晝過ぎだった事と今が秋という季節なのを考慮してもかなりの時間が経過したことが分かる。

「すっかり暗くなってるね」

「まあ長居してたしな」

そういえば、俺の時はすぐに終わったのに今回は遅かったな。

「シロナさんはどうだった?」

「あー、うん。人で教え方も上手かった」

「それから?」

「アホだね」

「だろ?」

「なんて言うか、素に戻った時が凄くアホだね。親近は沸いたけどさ」

「でも仕事させたらすごいんだよなぁ」

「本當に分かりやすい。基本講座はすぐに理解できた」

「その割に時間かかってたな」

「そのままルーン文字と魔の基礎も教わったから」

「サービス良いな」

俺の時は無かったぞ。

はっ、これが人徳の差か!

「私が頼んだの。黒鉄君は時間かかるだろうし、どうせなら1人でやるより教えて貰おうと思って」

「悪い。気ぃ遣わせた」

「・・・それ、今度シロナさんに會った時に同じ事言ってあげてね」

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「あー、シロナさんも?」

「うん」

そりゃ悪い事をした。気を遣わせた上に複製やらデータ化やらで仕事増やすとか・・・。

あとおまけに短剣のチュートリアルの時にも素に戻ったの知らなくて不意打ちしちゃったし。

よし、今度改めてお禮言おう。それとタイミングがあったら謝ろう。

さて、暗くなったとはいえまだ時間がある。

まだ夜というには早いけど、仕立て屋に行ってみるか?

とりあえず相談してみるか。

「白亜、まだ時間あるけどどうする?」

「うーん、私は特に用事とかないけど・・・」

「じゃあ仕立て屋に行かないか?出來上がってるかどうか分からないけどさ」

「うん、行こっか!」

なんか図書館出てから機嫌良いな。

なんて言うかこう、ふわふわしてると言うかほわほわしてるというか。

まあ何にせよ怒ったり深刻な顔してるよりよっぽど良いのは確かだ。今はそれで良しとしよう。

軽く雑談しながら仕立て屋に向かっていると、四方八方から視線をじる。

噂が出回っても俺の顔を知ってるやつなんてないと思うんだけどな。

・・・あぁ、白亜と一緒だからか。なるほど、それなら男からの視線が多いのも納得だ。

まあ何にせよ、聲をかけてくるやつがいないのはとても良い事だ。

常時浴びせられる視線は気にせず、面倒事にもならずに仕立て屋に辿り著いたので、幾ばくか気分が良くなった。

う〜ん、単純!

と、自己評価を下しながら店にった。

端末の依頼容の控えを見せて、もう裝備が出來ているか尋ねた。

結果としては出來ていた。予想以上に早い仕上がりにワクワクが湧いてくるが、よく考えたら俺は何が依頼されたのか全く知らない。

店員がけ渡しの準備を始めたので何を依頼したのか聞いてみることにした。

「なあ、どんなの依頼したんだ?」

「んー見てからのお楽しみ♪」

機嫌良すぎないか?

何度も言うが、怒ってるよりよっぽど良い。でもそれにしたって度が過ぎてる気がする。

その後すぐに店員が戻ってきた。

したものは端末に直接送られるのかと思ったが、選択できるそうだ。

選択と言っても端末に直接送られるのか、実の手渡しかの2択だ。

今回は俺の裝備1著だけだったし、どんなのか見たかったので手渡しを選択した。

渡されたを広げると、コートだった。

は黒っぽい赤だ。ちょうどが乾いて固まった時のに似ている。

アイテム名を見てみると〔赤熊の外套〕となっていたので皮にを染み込ませたのだろう。

「これ、悪役っぽくないか?」

「そんな事ないよ。・・・多分」

「今多分って言っ」「てない」

・・・・・おい。

ま、まあ良い。これを著て似合わなかったら良いんだろ?そしたら流石に作り直しとかも、な?

というわけで著てみた。そして鏡を見た。

「うわぁ♪」

「・・・」

結論を言おう。似合ってしまっていた。

自分でも似合ってると思うくらいには似合っていた。

良いんだけど、良いんだけどね?

「噂に拍車がかかりそうだ」

「・・・が、學校の中で著てなければ、きっと大丈夫、だよ」

「はぁ、もういい。いっそ悪役でも何でもいいや」

「え〜、それはダメだよ〜」

「良いんだよ。脅してると思われてもお前と一緒に居られればそれで」

まあそれでも神的にはキツイだろうけど。

いやいや、豚どもの戯言として聞き流すのも1つの手だろう。いっそ耳を塞ぐのもアリだ。もちろん理的に。

うん、いざとなったらそうしよう。

ってあれ?反応返ってこないな。

「ん?おーい、どした?大丈夫か?」

「く、くろ、黒鉄君、今、なんて・・・?」

「え?何思われてもお前と一緒に居れたらそれで良いって言ったんだけど?」

え?あれ?固まった?

おいおい、顔赤いな。大丈夫か?

「白亜?顔赤いけど、大丈夫か?」

「うぅ〜、黒鉄君のバカ!大丈夫だよ!」

「はあ?なんで怒ってるんだよ?まあ大丈夫なら良いんだけどさ」

直後に、店員から「夫婦喧嘩は外でお願いします」と真顔で言われたが、しっかり誤解を解いて、コートからブレザーに著替え直してから店を出た。

端末を見ると、それなりに良い時間になっていたので集合場所である食堂に行くことにする。

すぐさま白亜にも相談して了承も得たので、元學校の廊下に並んでいる様々な店や施設を見ながら進んでいく。

時々足を止めて商品を眺めたりしてると不意に思い出した。

ネックレス渡してねぇ・・・。

何だかんだでタイミングを逃しまくって未だに渡せずにいる。

いやまあ今とか最高にチャンスな訳なんだけど。

というわけで渡そうと思う。

「あ、ねぇ黒鉄君。あれ見て良い?」

「ん?あ、あぁ良いぞ」

不意打ちりました〜。

そしてまたもやタイミングを逃した。

あ、いや待て。絶好のチャンスかもしれないぞ。

タイミングが良いのか悪いのか、アクセサリーショップを眺めているではないか。

・・・なんか定期的にこんなじの創作によくあるテンプレ展開が訪れるのは気持ちが悪いな。

フラグの類は立てた記憶とか無いしな。

まあテンプレに乗っかるんだけどね。

ちなみにここまで約3秒だ。

「わぁ、キレー」

正直なところ、ここの店はあまり綺麗では無いと思ってしまった。

だからこそと言うべきか、渡そうと思っているネックレスがより一層綺麗に見える。

「白亜にはこれの方が似合う」

白亜の後ろに回ってネックレスを著けた。

髪の上から著けたのでちゃんと首に掛かるよう綺麗な長い髪は優しく後ろに流す。

急なことで混からが強張っている白亜が自分に著けられたネックレスを見て、凄い勢いで振り向いた。

そのまま不思議そうな顔でこっちを見る。

「晝前にお前と別れた後、素材を売る前に生産系スキル持ちに依頼したんだ」

「えっと、なんで?」

「んー、その子が作ってるアクセサリーが綺麗だったのもあるけど、ただ単に白亜に何か渡したかったのが一番だな」

そう言った途端、思い出したかのように顔を赤くしてしゃがみ込んでこっちに顔を向けてくれなくなってしまった。

変なことしたつもりも言ったつもりもないんだけどな。

「・・・ズルい」

「なにが?」

「プレゼントを用意してくれてるだけでもうズルいのに、渡し方も理由もズルい」

「もしかして嫌だったか?」

「そんなことないよ!嬉しい。でも、私は何もプレゼント出來ないから申し訳なくて・・・」

「アホか。見返り求めて渡すわけないだろ。渡したかったから渡した。それだけだ」

「私が納得できないの!」

なんて面倒なことを。マジで気にしなくて良いのに。

つか気にされると逆に困る。

「じゃあ昨日のお禮って事で」

「お禮?」

「そう。ノート見つけてくれたことと、わがまま聞いてくれたことのお禮」

「・・・やっぱりズルい」

「何とでも言え。ほら、そろそろ立てよ」

とりあえずしゃがんだままなのもアレなので手を差し出して立たせる。

ここでようやくネックレスが似合っているかの確認が出來た。

うわ、マジか。

「想像以上に似合ってるな」

「そう?」

「うん。めちゃくちゃ可い」

「あ、ありがとう・・・」

あれ?また顔赤くなってるじゃん。何でだ?

正直な想言っただけなんだけど。

まあ良いや。

「ほら、そろそろいい時間になってるし食堂行くぞ」

「あ、うん」

ちゃんとネックレスを渡せた事に、ほっとすると同時に満足や達を覚えながら、それを隠すように足を進めた。

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