《Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜》シリアスはやめてしいんですが?

おはようございます。朝です。7時です。

地球では『夜更かし大好きらいしゅき♡ 二度と朝なんて來なくていいのに』とか言っていた俺ですが、さすがに死にまくったり襲われたりしたあとで疲れない人じゃないです。すやぁっと寢れて、なおかつ清々しく目覚めました。

え? 普通人間はそういう時逆に眠れないもんじゃないのかって? 知らないよそんなこと。そんな狀況、一度なってみないとわからないでしょうが。俺は普通! 人よりほんのしだけ肝が太いだけ。

本當ならわざわざこんな早起きして行く必要は無いのだろうが、勇者寮は広くて迷いやすいので早めに部屋を出ていく。ちなみに俺の部屋は昨日破壊されたので別の空き部屋で一晩過ごした。

ヤン兄がついてくるのは本心から拒否したい。しかし、いくら嫌な奴が付いてくるといってもこちらは付いてきてもらうだ。仕方ないのでもう諦めることにする。だってあいつの攻撃、俺に通らないし。

「おぃ、愚民ゴミ! 俺より遅くなるたァいいご分だな!」

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「三谷チンねぇ、昨日の12時からずっとここにいるんだよ。しかもちょっとした演技までして君と話してるんだ。可いところもあるだろ?」

「っ、余計な事言ってんじゃねぇよ、コウジ!」

なんですか、この唐突なツンデレは。ヤンキーのにーちゃん、しかも俺のことを殺そうとしてきた奴に急にツンデレされても困るんだけど。ていうか、お前かよ、名前が『カスカ』って方。イメージ違いすぎるわ。

「……いや、そういうの気持ち悪いからやめてもらってもいい?」

あ、思わず口に出てしまった、まぁ、相手ヤン兄だからいいか。

「んだよ、るっせぇなぁ! お前、益村のところ行くんだろ? だったら俺たちを連れていくのは筋なんだよ!」

いや、そんな人知りませんけど? どちら様ですかい、益村どの。

「俺たちと同じ、第62期バルトラ・アッシャー討伐隊の勇者だった人だよ。俺と三谷チンは、第39期の勇者団の最後の生き殘り」

唐突に重い話されても困ります、はい。わからない単語も出過ぎてお話についていけないんご。重い話はギャルゲのヒロインの過去話や、萌えアニメの唐突のシリアス回だけで十分です。

「……明らかに重い話は嫌だって顔に出てるよね?」

あ、バレた。まぁ、當たり前なんだけどな。

「重い話はあんまり得意じゃないんでね。で、なんでその話が益村って人を倒すことにつながるんだ?」

話を聞いてあげないといけない狀況ですね、これ。2対1は卑怯だよねぇ。

俺の質問に対して軽く座る姿勢を直したコウジが、その黒い長髪を耳の後ろにかけ直して話しだした。

「益村は俺らの代の最強、つまり君ほどとは言わないにしてもそこそこに優秀な勇者だったんだ。剣道全國トップクラスの実力に魔法の素養、そしてそれらに特化したスキルを持ってこの世界にやってきた」

コウジが語り始めると、橫にいるヤン兄が自の額を抑えて俯く。

「彼は俺たちと同じように魔王の討伐に參加し、とうとうあとしという所までバルトラを追い詰めた。けど、バルトラは転生式を組んで、勇者のを手にれようとした」

……なるほどそういうことですか。要するに『大魔剣士バルトラ・アッシャー』のとなった元勇者は、その益村って人だったわけだ。重い話だァ……3次元のヘヴィーは漫畫やアニメ、小説というを使ってるから重さが緩和されているだけであって、現実だとSAN値ゴリゴリ削られるんだよなぁ。

「最初に式の展開を施されたのは三谷チンだったんだ。ソーサラータンク役をになっていた三谷チンが近くにいたからとにかく乗り移ろうとしたんだと思う。益村はそれを庇って自分が式をけて……」

そう言うと、コウジはゴクリと生唾を飲み込むようにして話を続け始めた。何故急に俺にそんなことを話し始めたのかは分からないが、話すの辛いならやめた方がいいと思うんだけど……無理するなよ、俺に心配される狀況って相當だぜ?

「……それで益村は魔王にを乗っ取られてしまった。ただでさえ強い能力と持ち前の才能があったに、魔王が乗り移った。一番強いやつに強い敵が乗り移ったら、その場で勝てるやつは誰もいなかったよ。俺たち討伐隊はその場でほとんどの奴らが慘殺されてしまった。それこそ辺り一面がちと臓の海になるほどに」

……お、おう、俺グロい話は想像しちゃうから無理かも、あ、吐き気が……

俺のそんな様子はお構い無しに、コウジは過去の話を話し続ける。

「俺と三谷チンは、益村が最後に近くにいた人間に使った過魔法でなんとか逃げ切ったんだ。結局その帰り道も魔に襲われて、生き殘ったのは俺たち2人だけ」

話が重い……重い話耐は持ってないからきついぜ……なんでそういうスキルがなかったんだ……

「そ、それでなんでその益村って人、『大魔剣士バルトラ・アッシャー』を俺が倒すことになってるんだよ?」

そう。ここが一番の疑問。ヤン兄の勘違いをどうにかしないと俺が本來の與えられた職から外れてしまう。俺は本來は倒しに行くのではなく見に行くだけなのだ。

倒せるなら倒してもいいのだが、數の暴力で勝てなかった相手を、ぽっと出の一人だけステータスちょっと高めですっ! ってやつが倒せるとは思えない。

「君は三谷チンをワンパンでぶっ飛ばしたんだろう? だったら出來るさ。魔王の元のの主の次に強かったのは三谷チンだ。それをワンパンで倒したんだ」

そう言ったあと、コウジは唐突に俺に頭を下げながら言って続けた。

「益村を、バルトラ・アッシャーを倒してほしい。俺たちはその為に勇者として殘り続けたんだ。それが葉うのなら俺たちは君に付き従う覚悟がある」

理由と目的だけを話されても、機が見えないんだが……流石にそこまで踏み込むつもりもないけど。

本當なら全力で斷るところなんだけど、頼まれたら無下にはできないか……らしくないなぁ、俺こんな流されやすかったっけか。

「……できる限りの事はしてみるよ。それでいいだろ? ヤン兄も」

「ああ、ありがとう」

「誰がヤン兄だゴラァ! 俺にはなぁ、三谷微ミタニカスカって名前があんだよ!」

「あ、はい、そっすか」

「流すなぁァァァ!」

やっぱりシリアスな雰囲気は苦手だな。このくらい明るいほうがいい。

◇◇◇

その後は騎士が馬車に馬をつけてそのまま出発するだけだった。

コウジが者臺に乗って、二頭の馬を巧みにりながら街道を進む。

「これが王都か」

資源と土地が圧倒的に足りていない分、王都という名前からは想像もできないほどに田畑が延々と続いている。

ここが王國の最後の砦だというのだから悲しい話だ。むしろ、何故神はこんなになるまで放置していたのだろうか?

「……前はもうし建があったんだけどな……」

「お前が言うと、お前に街が破壊されたからこうなったんじゃないかって思うよ」

俺の中ではお前は俺のNEWマイルームを破壊したデンジャラス野郎のままだかんな、ヤン兄。

寂れた王都の風景を眺めながら、俺たちは西の魔王『バルトラ・アッシャー』の領土へと進んでいくのだった。

 

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