《Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜》西のダンジョンに出発するのですが?

思考加速を系統のスキルは使用後に謎のを催したり、謎のネガティブな思考に囚われたりするということが分かったので使用は制限しようと思う。

なくとも別のスキルをかけて使う。例えばポジティブ使って……あれはポジティブ思考になるスキルじゃなくて、利のあることしか起こらなくなるスキルだったか……

なにかものすごく昔のことを思い出していた気がしたのだけど、なにせ気を失う前のことだからなぁ。

「あんな火の海の中で倒れてるなんて、ご主人のステータスがなきゃ不可能な話よ……」

「いや、まぁ自分で起こした火の海だからこちらとしては何も言えないんだけど……」

「俺が起きた時にはもう火の海だったからなァ! お前あんなことできるッて頭おかしいわ、やッぱり」

「突然部屋に押しかけてきて人のこと殺そうとするやつよりはマシだと思ってるよ」

あのあと、もう一度周囲を見て回ったが、ベースキャンプに生きている人間は一人もおらず、グールが作った死の山も俺が燃やして掃除したためにベースキャンプは跡形もなく灰になってしまった。

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俺たち本來の任務は魔王達の偵察。俺自はあわよくば倒すつもりだ。というかそうした方がいいと思った。長い期間こんな世界にいたら、自分が自分でなくなってしまう気がするから。

なのでこんなところで燻っている時間はないので、起き上がってすぐにベースキャンプの焼け跡の後片付けを済ませ、そのまま西の魔王の住むダンジョンに向かうことになった。

「さぁ、リース、セイル、出発の準備だ……」

かなり暗い雰囲気で馬たちに出立のいを伝えるコウジ。流石に見ていていたたまれない。死を供養することすらできないくらいに俺が燃えカスにしてしまったので、誰が誰かすらわからないことに申し訳なく思う。

ヤン兄によると、ここにはコウジの仲の良かった訓練時代の教が務めていたようで、かなり思いれがあったようだ。

「ドンキー、なんで……なんであんな優秀な教がついていながら命を落としてしまったんだ……」 

「……ドンキーって?」

「……サンゲ教が乗ッてた馬の名前だなァ……」

……コウジは教の死をいたんでいる。そのはずだ。そういうことにしておこう。そうじゃないと俺のさっきわざわざコウジに大してじた罪悪が薄れる……薄れる……薄れる……

俺だって自分が衝的にやってしまったことには罪悪じる。もしかしたらこの世界は死は火葬じゃないかも、としっかり考えていればよかったのだ。そしてやっぱりこの世界は土葬だった。

いくら自分が3次元のことをどうとも思わないヲタクソ野郎と思われようと、俺は2次元しかせないだけの3次元に生きる人間なので、3次元になんの関心もないなんてのはさすがに無理がある。

たしかに極力持たないようにはしているのだけれど。

「なんだ、亡くなって悲しかったのって馬の方なのね」

シルティス、それは言うたらあかんよ、ダメなんよ。ほんと、俺もただの痛いやつになるから……

するとそこへ馬の調整を終えたコウジが帰ってくる。

「……え? あぁ。教が亡くなったのも悲しいよ?」

今更焦ったように言うのも無理があるよ、流石に。

案外コウジは人に対する関心が薄いのかもしれない。

「さぁ、みんな行こうか」

馬車に荷を積み終えて、燃え盡きたベースキャンプをあとにする。

「……こりゃあ王國に報告しないといけないかもだなァ」

「……ヤン兄が真面目な事言ってる」

「ほんと、ゴートの坊やが真面目な事言ってるー!」

「茶化すなッ、ぶッ殺すぞォ!」

「「黙れ雑魚」」

ヤン兄、ぶち殺すっていう言葉は、実際にそれを出來る相手にしか言っちゃいけないんだぞ! どぅーゆーあんだすたん。あれ、英語ってこれで合ってたっけ。この世界に來てから勉強してねぇから忘れたわ。

え? そんな數日で忘れるようなものじゃないだろ? 知らねぇよ、人次第だろそんなもん。

それにしても、ここまでくると俺はギャグの星の元に生まれたとしか思えない。シリアスな雰囲気になった瞬間に、周りにギャグに降ろされるって。

そんなことを考えながらも、多報われた気分で俺たちは西のダンジョンに向かって進んでいくのだった。

◇◇◇

『スキル

『魔力喰らい』→自信が仲間と認識した人間の數だけステータスが倍になり、倒した的の魔力を吸収する。しかし、指定した仲間からの信頼が得られていないと、スキルの持ち主の心を反映した魔に姿を変える。気絶することで元に戻る。指定した仲間が死ぬと神が不安定になり殺人を好むようになる』

自分のスキル欄を見ながらカスカは「はァ」とため息をつく。

自分が仲間を死なせることがなければなんともないスキル。みんなからの信頼があればなんともないスキル。

そのあればなければが反転し、自分が化けになってしまったり、人を殺そうとしたりする。

能力的には素晴らしくても、リスクが釣り合っておらずスキルを使うことをいつも躊躇っている。

以前の仲間たちが死んだことで殺人衝を抑えられなくなり、殺せそうな人間に手當たり次第ちょっかいをかけてはコウジに止められていた。

最後にはエイジにワンパンでノックアウトされ、気絶をしたことでスキルの解除ができたのだ。

そして前回は、エイジとコウジを守るため、二人を仲間として選択してスキルを使用した。

が、しかし。

「信頼、か……」

一度殺そうとした相手を簡単に信用しろというのには無理がある。いくらスキルのせいだとはいえ、彼自がエイジを選んで殺そうとしたのだ。自分が化けになるのは當然のことだと、彼は割り切った。

「……化けになってでも、今度の仲間は絶対に死なせない」

出立前に一人決意を固めながら、彼は急ぎ足で馬車に乗り込むのだった。

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