《Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜》もう早く次に行きませんか?

結局何事もなく階段を登りきり、前回経験者たちの不安は実現することなく魔王城最上階へと到達する。

『ああ勇者様よ、強な我が主を葬ってください』

「は?」

なんかいきなり頭の中に聲が流れてきたんだけど。

「おいシルティス、今の聞こえたか?」

「え? なになに、幻聴でも聞こえたの?」

おちょくってくるシルティスはもう放置。聞こえていないのなら俺の幻聴で済ませておこう。

うーん、それにしてもこんなにサクサクプレイができてると、なんであんなに人間達がボコボコにされているのかがわからなくなるな。

神がもっとしっかりとした人間や強い人間を選定していれば、決してこんなことにはならなかったんじゃないだろうか。

あのは地球の神が俺たちを選んだって言ってたけれど、それが本當なのだとしたら、地球の神はただ地球の人間を減らすために俺たちを大勢一気に転移させているとしか思えない。

よくあるホラーやSFのWeb漫畫を覗いてみると、人間というは害悪で、その他の生たちは地球にれられている。

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地球で生きることを容認されていない人間はパンデミックや災害で滅ぼされる、みたいな話が割と多くある気がするのだが、事実本當に地球の神がそう思っているのだとしたら、俺たちの転移はゴミのリサイクルということにはならないだろうか。

これから種として更に繁栄していくために必要な若い個を中心に、死が伴う危険な異世界へと送り込む。

なんて、これこそまさにSFやホラーにしようとしている思考そのものだけれど。ぱっと思いついたことだけど辻褄が會いすぎて怖いな。

みんなが寶庫の財寶をマジックバックに詰めているのを見ながら、この世界に來てからのことを々整理してみたが、結局結論には至らなかった。

……というかみなさんよォ、そういう行為は勇者としてどうかと思うのだけれども……

「魔族のものだし関係ねぇだろ」「旅にはお金が必要だよねぇ」「これ現世に持ち帰れば金にしていい男買えますね!」「そうだね、しいものがいっぱい買えるね」「坊やたち、地球に帰る話ばっかりして! 私にもわかりやすく説明してくれない!?」

魔族のものなら関係ない? 現世に持ち帰れば大金? しいものが沢山買える?

「みなさんそれお兄さんに渡しなさい、沒収沒収。君たちが頑張って集めたお金はお兄さんのお嫁さんたちに課金するためのお金になるからね、安心してくれ」

「はぁ!?」「えっ、なに、え!?」「いや、私の將來の旦那さんへの投資金なんですよ!?」「違うよ!?」「だからなんの話してるのよ!?」

やはり真面目なことばかりを考えていると頭痛がしてくる気がするので、ここはぱっと明るく、嫁たちに課金することがいかに素晴らしいかを目の前にいる予備軍たちに教えてあげようじゃあないか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

……まぁそこまで都合よくは行かないか。相手は今はふよふよ浮いてる、言ってしまえば幽霊みたいなものらしいから、それを見つけろと言われてもゴーストバスターズではない俺達には簡単に見つけられるわけがない。

そもそも人づてにそれを聞いただけなので、実際に見えるかどうかも怪しいところだ。

どっかから寺の子でも引っ張ってくれば違ったかもな。たしか比留間がそうだったような……あいつは無理か、ビビりだし。

それにしても薄気味悪い場所だ。魔族にとって最良の環境になるように作られたとはいえ、その魔族はどんな環境でも適応できる能力を持っているのだから、こちらとしてはわざわざ魔法を使ってまでこんなことまでしなくてもいいのにと思う。

魔王城一帯は土地にかけられた魔法によって、ここに住む魔族に適した環境になっているというのはシルティスに事前に聞いた説明だ。

自分のホームであんなにバッタバッタ倒されるって、運だけで一部リーグに昇格したサッカーチームみたいだな。

「なんも出てこないんだけど、本當に魔王神でないわけ?」

先程から何かと遭遇することも無ければ、遠隔で攻撃されることもない。もしかしたらどこかで勝手におっちんでるんじゃなかろうか。

……索敵スキルを使えと? 待とうよ、ただでさえ今ヌルゲー狀態なのにあれ使うともうだめな気がするんだ……あれだけは、あれだけはアウトだ……

「んあ、スキルに敵引っかかったよ」

「お前勝手に使いやがってぇぇぇ!?」

「いや、使用制限しなかったのご主人だし、5分の1の範囲にり込んだバルトラたちが悪いと思うのだけれど」

「おい、バルトラたちってのはどういうことだァ?」

「あぁ、坊や。それはね、あいつの側付きも何故か生き殘ってるってことよ」

「執事はだいたい強いやつの法則か。どこの乙ゲーだよ、ヒロイン一人もいないじゃないか」

「ちょっとご主人が何言ってるか分からないけど、あの子は多分弱いわね。しかもさっき話しかけてきたのもあのこよ、多分」

ん? 話しかけてきた?

「なんだよ、話しかけてきたって」

「え、聞こえなかった? 『強な我が主を葬ってください』ってやつ」

「あれが?」

「なんだそれ、俺は聞こえなかったぞ」

「三谷チン、あの二人にいちいち張り合ってると疲れるからやめた方がいいよ」

コウジや、後で覚えておけよ……倍返しだぞ。人が嫌がることっちゃいけないって教わらなかったのかい?

そんなことを言っていると、目の前にふよふよと浮くエクトプラズムのような化けが目の前に現れる。

『なんだ、そちらから見つけてくれるなら都合がいいじゃあないか』

「っちょ、ダメですって魔王様っ!」

『さぁそこの人間よ、我にそのを獻上するのだ』

「え? やだわー、ホモなんですか、モーホーなんですか、男のケツに凸するんですか、気持ち悪い」

『貴様が何言ってるか分からないのだが』

自分からよってきたバルトラに罵倒を浴びせかける。

「お前が生きてるとこの気持ち悪いとこから出られないんだよね」

『我にそのような口を聞くとは……』

「だからさ、今から消すね?」

なんかさ會話がめんどくさくなったから、さっさとこいつを狩って次行こ、次。

どうせブォンッてしたら終わりだからさ!

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