《Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜》ちょっとあっけなさすぎやしませんか?
シルティスめ、聞こえていないようなふりをしやがってちゃんと分かってたんじゃないか。
しかもこいつ絶対もっと前に近づいてきてるのわかってたな。道理でだるそうにしてたのに途中から元気になったわけだ。戦闘狂かよ、このロリババア。
『我は貴様のような人間下等種族に敗れるほど落ちぶれてはおらんよ』
「現に破壊されてるやつが何言ってるんだよ、ぶっ殺すぞ」
『……これはまた、機嫌が悪い時に來てしまったようだな。そこだけは非禮を詫びてやろう、ゴミムシ』
「おいナメクジ、それが人に謝る態度か?」
空中でニュルニュルとく青白い人影。そんな奴にはこんなあだ名で十分です。
カラをかぶってカタツムリに擬態していたナメクジさんはサクッとこの世から消しちゃいましょう。
『これから我のになるモノが不調であると困るのでな』
「寄生しないとまともに生きられないのかよ。地球人の考えた寄生生の方がもっとえぐいことしてるぞ」
『空想の産と我を同義に考えるでないわ』
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あんたは唐突に出てきたんだから一瞬でボコられるキャラでしょうよ。てか同義になんて考えねぇよ。よっぽどバルトラなんかより質のいい寄生をするよ、あいつらは。
「あぁ、もう會話飽きたわ」
今までは面白い會話だったり知らなきゃいけない報だったりがあったからちゃんと飽きずにいられたけれども、流石にいつまでもこんなやつと長らく喋ってるのは無理。ナメクジ嫌いだし。
『な、失禮なや……』
「シルティス、『オーバーライト』頼む」
「えー、あれ疲れるのよご主人」
「頼んだ」
「それ強制のやつよね……」
渋々ながらオーバーライトを発させるシルティス。シルティスから流れ込んできた報が、俺の考えていたものと一致することを確認して雙剣を構える。
『馬鹿め、貴様らに私は倒せんよ。今の私が貴様らを倒すすべがないのと同様に、今の貴様らにも我を倒すすべはない』
「減らず口を叩くな」
紅羽と黃羽を振り、バルトラのへと當てる。
「おい、エイジ! 今のそいつに理攻撃は効かねぇ!」
ヤン兄が大きくんでいるがか、別にそんなことははじめに見た時にわかっていた。
だからシルティスに思い込ませたのだ。
俺は神のバルトラを切ることが出來る、と。
予想外の攻撃を喰らったバルトラは、驚きの表を浮かべて1人悶絶し出す。
『あああ、やめろ痛い、何故だ、なぜこの私に攻撃が當たる!? 有り得ない、イカサマだ、クシャナよ、こいつらを殺れ、今すぐにだ! 殺せ殺せ殺せ殺せころせころせころせコろセこロセコロせコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ……』
痛みで我を忘れたのか、ついに殺せしか呟かなくなったバルトラ。
「おい、そこの魔族。こいつやっちゃっていいんだよな?」
一応従者の奴にも確認を取っておく。まぁ何を言われようと消すけどな。ただこの従者をを存命させるかどうかのテストだ。
完全にテンションがローだから、ここでこいつが俺ルートの攻略ミスったら消えてもらおう。
理不盡とかなんとか言われようと関係ない。俺はただこの世界に勝手に送られただけなんだから、地球に帰るための目標を果たせば何をしてもいいはずだ。
正直、(イリア)やナメクジバルトラみたいなやつは個人的に好かない。他人に対して高圧的だったり、自分勝手だったりな奴ら。
人間素が出ればみんなそんなもんなのかもしれないが、ハナからそれなのはタチが悪い。
「お、お願い致します、勇者殿。傲慢な我が主を葬ってください」
自分の主のことを傲慢だとわかってるならよし。他人の力を自分の力と錯覚した雑魚ナメクジだけとっとと消えてもらおう。
「ご主人早くして! これ疲れるから!」
「あーはいはい、わかったわかった」
「返事とかいいから!」
案外あっけないものだな。実際、アニメや漫畫みたいに心躍る戦いみたいのがある方が珍しいのかもしれないけれど。
俺は靜かにバルトラのに剣を突き立て、押し刺した。
「エピルスの欠片……」
バルトラは謎の言葉を殘して、靜かに息絶えた。
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完全に息がなくなり、の粒子となってバルトラが消えていく間、俺は今後のことを考えていた。
最初のバルトラからこんなに短時間で終わってしまったのだ。あとがかなり短いのは確定なのではないだろうか。
終わりが早いのは結構だけれど、何かが引っかかる。
俺みたいにコレクション癖をこじらせている人間なんてごまんといるはずだ。地球の神とかいうやつが本當に協力的なら、このシステムに適した人間だけを選出して送ればいいはずだ。
本當なら何もしないのが1番良いいのだけれど。巻き込まれた分としての意見だから実際のところどうなのかは本人じゃないからわからない。
ただ、地球の神が俺たちをこの世界に送り続けるのはなにか別の意図がある気がしてならない。
……わからないことをいつまでも考えていても仕方ないか。
「さ、次の魔王(ヤツ)ぶっ飛ばしに行くか」
誰がどんなことを考えていていようと関係ない。
俺はとにかくやることやって元の世界に帰るだけだ。
ーーエイジ、ἐλπίςを目覚めさせろーー
頭の中でまた謎の聲が聞こえたが、特に何もかったので無視した。
その聲にひどく聞き覚えをじたけれど、そんな思考はその後のみんなとの會話で霧散し、その後同じことを考えることは無かった。
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太系第三星地球。エベレストの頂上で楽しげに喋る男児の姿がそこにあった。
『やっと一人目が倒されたんだね』
『ええ、私、なんであいつが毎回蘇るのか不思議だったのです。でも幽族(ゴースト)だった知れば納得なのです』
『うちの子たちが役に立って良かったよ』
『ええ、助かりましたです。この調子でこれからもよろしくなのです』
『……ああ、できる限りの援助はさせてもらうよ』
『ではまた次の定期連絡でなのです』
『うん、じゃあね』
定周期で訪れるイリアからの報告を聞き終え、1人無邪気に雪の中を走り回る年。
『じゃあ、そろそろあの子達をかそうかな♪』
まるで神かのように世界の今後のことに思いを馳せる年。手に持った小さな木箱をぽんぽんとお手玉のように何度も投げ始めた。
『さぁ、そろそろお仕事の時間だね、僕の新しい子どもたち♪』
その箱に刻まれた『ἐλπίς』という文字を何度も何度もでて箱に語りかけるその姿は、極めて異質で見ている者に悪寒をじさせることは間違いないだろう。
『古い子たちはそろそろぽいってしないとね』
無邪気な笑い顔にりが見え、次の瞬間年はその場所から消えていた。
その後、あちらの世界に地球神からの援助は送られることは二度となかった。
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