《Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜》流行りに乗っかるじですか?
たどり著いたその場所には黒いの塊のようなもののに包まれた謎のをみつけた。
「よし、城の魔王とやらはなんとか上手くやったみたいね」
「え、これが?」
謎のは聲を上げて蠢いており、その姿はアメコミの某敵役のように見える。
悶えながら蠢く黒いに、2本の剣が突き刺さっていた。
「気持ち悪すぎて笑えないんだけど」
いやいや、これをどうしろと。さすがに無理がありすぎでしょうよ、ねぇ。
とりあえず事前に聞いていたとおりに剣を引き抜くってことだけはするけど、抜いたこの剣で戦えとかだったらなんて面倒だろうか、とどめさしてしかったよ。
「ご主人、準備は出來てる? しずつだけどあいつのを囲んでる黒い固まりが剝がれつつあるわ」
「うわぁ、これはもう18だなぁ」
何言ってるのと呆れ顔で俺の事を叱責するシルティス。なんかいいねこのじ。
「さぁ、その黒い剣と白い剣を抜いて、開放されたそいつからエルピスを抜き取って」
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「そのやり方がわかんないんだけど?」
「なんとかなる! 頑張って!」
「丸投げかよ!?」
ここまでたどり著いてもやること全てわかりませんであとは丸投げって酷くない?
まぁ偉大なる偉人もよく、なせば大抵なんとかなると仰っていましたけれどもさ。
「……仕方ないな、言われた通りにやるか……」
剣を抜くと、ずっしりと重いが両手に伝わる。これが本來の剣の重さなのだと考えるとまともに戦える気がしなかったが、それでもやれるのは自分しかいない。
今はもう、最初の時のようにたくさんの勇者がいるわけでは無いのだから。
100%嫌々やっているのだけど、自分がやらなくちゃ他の誰にもできないなんて言われたらやらざるを得ないと考えてしまうので、なんだかんだでそんな分だと思う。
どれだけ否定して逃げてきても、結局は頼られたら応えるしかないというこの殘念な自分の分。ゴーイングマイロードを貫きたい系なヲタクとしては致命的な欠陥としか言えないだろう。
というか、この現在の狀況だって、実際なら自分よりもふさわしい人間がいくらでもいるのにこのようになっているなんてと、どうしてこうなってしまったんだと何度も考えた。
結局結論は自分以外の人間が能力を貰えば良かったというだけで、他になにか新しい答えが出ることなんてない。
ただ最終的に行き著く結論は、「考えたら負けだ」と考えるということ。
無思考になった振りをしてただただ與えられた役割をこなすこと。
俺がやったことに対してしっかりとみあった報酬が貰えるんだったらば、俺はもうなんの文句もないのだから、これが一番あっているんじゃないかと自分で思ってる。
異世界に転移してから1年どころか半年も経たないうちに最終決戦ですかって考えるとちょっと慨深いけどな。
當初の目的、早く終わらせて家に帰るってのを見えない何かに許してもらってる気がしないでもない。
「ご主人、それは……」
「なんだよ?」
なんでさっきから俺の腹見てるんだ? なんかあるの……は?
「うわっ、きもっ!?」
薄紫のスライムのようなが俺の腹にくっついてる……
これがエルピスなんだろうか……これはまぁ想像つかないわ。
『何も考えないとは、知を持っているくせににまみれているな。本能に溺れようなどとは』
「はい?」
『ならば俺が願いを葉えてやろう。あのはもう飽きたからな』
「ちょ、まて」
の中にどぅるりとり込むようにり込んだエルピスが、俺の全を駆け巡る覚がある。
「おうぇ……」
これはあれだ、乗り酔いした時と同じ気分だな。
『ほう、お前、俺があれほど悪辣で稚拙なを葉えて世を滅ぼしたというのに、まだ希俺を捨てていないのか』
「何言ってるんだ」
『お前の幹にあるのは何かをし遂げたい、やらなくては行けないなどという義務ではないな。お前のそれは、のために命を失いたくないという明確な意思だ。親が死のうが姉が自分を捨てようが関係ない。お前は、自分が生きることだけを常に中心として考えている』
「そんなの誰でもそうだろ、當たり前のこと抜かしてるんじゃねぇぞ」
『いや、生きるというは本能からくるもののはずだ。しかし、お前の場合は本能よりも理から生きたいと判斷している。ぬ、これは死ぬことに対する恐怖ではないな。これは……ハッハッハッ、実にくだらんな、これはいい! これはこのゴミのように意識を持って神を蝕む必要などないなぁ!』
さっきからこいつは何を言ってるんだ?
言葉の意味がまるで理解できないのだが。
『お前はただ自の財を失いたくない、その一心で生きるというを極大にした。これは、過去にもいた愚かなあの王のようだなぁ!』
あぁ、俺を小馬鹿にしているということだけはわかったから1発腹パンれるわ、出てこいよ。
『気にった、気にったぞお前! 俺はしばらく傍観者として貴様の中にいよう。そこな悪辣なものを殺せば星の悲劇は終わる。さぁ、殺りたまえよ?』
「言われずともやるっつうの」
頭の中にうるさ過ぎる同居人が増え、酔いも回っていて正直猛烈に気持ち悪いのだけれど、これで全て終わるのなら、格好決まらなくても戦いは終わり。
これが最後だ。
『uryyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyear!!!!』
「なっ、なんだ!?」
「ご主人っ!?」
目の前で黒い塊に飲まれていたはずのロキ人型の化が唐突にび、手を宙で振り出す。
『これデ、おれノやくわりワお、わr』
言葉をとぎれとぎれに放ち、手の位置に現れた巨大な鍵を摑み、別のへとロキが投げる。
『える、ぴす、ォマェハよぅクゃつteクレたョ、けいかくハトドこぉリなクスすんだァ』
汚い聲でロキがそう告げる。
『トキは、ミちタ、アくしんハゲンダぃニフッかッシたノダ』
「うるさい黙れ」
いい加減聞き取るのに飽きたのでロキを剣で縦に割く。
『……』
かなくなり、青のを放ち始めたロキのが、徐々に人間大の大きさになる。
中からでてきた人はいかにも、學校でも、社會に出ても上手くやっていけそうな、真面目だけどそれでいて人付き合いも良さそうな、見ただけで々なことをじさせる人。
もしこの人と俺が逆の立場だったら、この人は本當のヒーローみたいに戦ったんだろうな。
「ん、これは?」
空から轟音を立てて無數に降り注ぐ巨大な石の雨。おいおい人が事考えてる時に隕石降らしちゃあダメでしょうよ。
こりゃ、これを全部片付けないとだな。
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