《発展途上の異世界に、銃を持って行ったら。》4話
「んー……どれがいいんだろ」
棚に並ぶ服を見て、頭を悩ませる。
……この世界の服と元の世界の服とじゃ、そもそもデザインからまったく違う。
この世界では普通の服が、俺にはコスプレに見えて仕方ない。
「……なあ、ランゼはどれが良いと思う?」
「うーん……あ、これなんてどう?」
そう言って手渡してきたのは真っ赤な冒険服、いや派手だな!
「ほ、他にはないか?」
「他に……他に……じゃあこれは?」
今度は黃一の冒険服……よし、よくわかった、ランゼに服を選ばせたらダメだ。
「……お、これなんて良いんじゃないか?」
棚の中から、黒の冒険服を取る。
「黒って……地味じゃない?」
「なくとも、さっきまでお前が持ってきていた服のよりはマシだ……すんません、これいくらです?」
後ろからランゼが背中を毆ってくる。
「銅貨16枚だ」
「銅貨はねえな……じゃあ銀貨で」
「銅貨4枚のお返しだ……ありがとよ」
……この世界の店員って、みんな計算が早いのかな。
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「次はどこに行くの?」
「もう帰るけど?」
「えっ?」
いや、えっ?って何だよ。
「く、クエストには行かないの?」
「今日はいいや」
「えー?!行こうよ!最近ずっと採集クエストにしか行ってないの!お願い、イツキが一緒に來てくれたら討伐クエストでもクリアできると思うの!」
「いや、でも……」
上目使いでこちらを見上げてくる……あーもうしょうがないな!
「わかったわかった、でも1回宿に帰ってからな」
「え、何で?」
「服を著替えたいんだよ」
――――――――――――――――――――――――――――――
「……あ、ここにベルトを通すのか」
右肩から左腰にかけてベルトを通す。
……完全にコスプレじゃん、これ。
「あとはマントを羽織って……っと」
黒く短いマントを羽織り、だしなみを整える。
「……『魔導銃』はここにれようかな」
懐に『魔導銃』をれ、部屋の扉を開ける。
「悪い、遅くなったな」
「……ん、似合ってるわよ」
「そりゃどうも」
……そういや、クエストってどこでけられるんだろ?
「……なあ、クエストってどこでけるんだ?」
「それも知らないの?『ギルド』よ」
なるほど、ギルドとかあんのか。
「ギルドってここから遠いのか?」
「そうね……大5分くらいかしら?」
……この世界の時間の數え方と、元の世界の時間の數え方は同じみたいだな。
「んじゃ早く行くぞ」
「そうね、そうしましょ!」
――――――――――――――――――――――――――――――
「……読めねえ」
「それじゃあ私がクエストを選ぶから、イツキはその辺に座っててくれる?」
「うい」
ギルドに來たのは良いが、そもそも字が読めないのでクエストを選ぶことができない。
「いらっしゃいませ、ご注文お伺いします」
「あ、いや、すぐにクエストに行くんで……」
「かしこまりました、頑張ってくださいね!」
……今のは、ギルドの店員だろうか?
「……てか何も読めねえから、注文することもできねえんだけど」
1人苦笑し―――誰かが俺の肩を叩いた。
「ん、クエスト決まったか―――」
「おいお前……何『リオン』ちゃんの注文を斷ってんだ?」
てっきりランゼがクエストを決めてきたのかと思ったら、全然知らない男が……6人、俺を囲むように立っていた。
「……リオンって誰?」
「何呼び捨てにしてんだ!リオンちゃんだろうが!」
「知るか、大した用事じゃないなら話しかけてくるんじゃねえよ」
俺の言葉に、男たちの目がつり上がる。
「てめえ……リオンちゃんの注文を斷っただけでは飽き足らず、俺らを挑発するとは良い度してんじゃねえか!」
「あ、あの、闘は止めてください」
「違う違うリオンちゃん、これは『決闘デュエル』だ。冒険者が決闘するのは何も問題ないだろ?」
「そ、それはそうかも知れませんけど……」
「と、言うわけだ。おいガキ、表に出ろ」
いや、どういうわけ?
「……なああんた」
「も、申し訳ございません!……あの人たちは私の……その……」
「ファン?」
「……みたいなものでして……何度止めてくださいと言っても聞かなくて……」
……このリオンって子は、迷してんのな、かわいそ。
「……はあ、その決闘ってやつのルールは?」
「え?」
「だから、ルールは?」
「ルール、ですか?『相手を戦闘不能、もしくは降伏させれば勝ち。なお、決闘には『回復魔法』が使えるものを立ち會いに立てるものとする』……というじですが」
なるほど……戦闘不能にしていいのか。
「6人いれば俺に勝てるとでも思ってんのか……バカばっかだな」
「本気ですか?!6人を相手に―――」
「本気だってんだよ……『回復魔法』が使えるやつはいるか?」
「私が使えますけど……」
おっと、リオンが使えるのか。
「じゃああんたが立ち會いに立ってくれ」
「それは構いませんが……本當に1人で6人を相手にするんですか?!」
「ああ……戦闘不能にしていいんなら、簡単だ」
ランゼがクエストを決める前に、ちゃっちゃと終わらせるか。
――――――――――――――――――――――――――――――
「ルールは『相手を戦闘不能、もしくは降伏させる』ことです……準備はよろしいですか?」
「もちろんだぜリオンちゃん……野郎共!あのくそガキを、生かして帰すな!」
「「「「「うおおおおおおおっ!」」」」」
おーおー元気だなあ、このおっさんたち。
「……あなたも、準備はよろしいですか?」
「あーオッケオッケ……」
「……無理だけはされないでくださいね」
「あいあい」
心配そうにこちらを見るリオンを無視し、俺は懐から『魔導銃』を抜く。
「それでは―――模擬戦、開始!」
「やっちまえ!」
「くたばりやがれぇえええ!」
「うぉおおおおお!」
気合いだけは充分みたいだな―――
「さて―――ヤるか」
―――『魔導銃』を構え、毆りかかってくる男たちを撃つ。
「ぐっ?!」
「い、痛?!」
「足、足が……!」
「急所は外したから安心しろ」
1人には脇腹、2人には足を撃ち―――
「―――ふんっ!」
「ぐぼっ?!」
―――一番近くにいた男に飛び膝蹴りをれる。
「―――な」
「これで終わりだな」
「うっ!」
「ぐはっ!」
振り向きざまに殘る2人の肩を撃つ。
「……で、どうするのおっさん。まだヤる?」
「ぐ、ぬ……」
肩口を押さえたおっさんが悔しそうに俺の顔を見上げる。
「す、すごい……あの人數を、たった1人で倒してしまうなんて……」
「んー……いちいち『魔導銃』を懐にしまうのって面倒だな……」
……レッグホルスター的なものがあればいいんだけどな。
「あ、あなたは一何者なんですか……?」
「あー?……別に大したやつじゃねえよ」
……ランゼはまだギルドの中なのかな?
「それより、そのおっさんたちに『回復魔法』を使ってやれ……一応急所は外しといたけど、痛いだろうからな」
「わ、わかりました……『キュア』!」
リオンの詠唱に従い、おっさんたちの傷が塞がっていく。
……なるほど、これが魔法か。便利だな。
「イツキー!」
「お、クエスト決まったか?」
「ええ決まったわよ。じゃなくて!」
「うるさいな、大聲を出すんじゃねえよ」
ギルドから出てきたランゼが、俺の肩を摑み、前後に振る。
「何してんのよ!ギルドに來ていきなり決闘するなんて!」
「いや、俺は悪くない、絶対」
「そんなことを聞いてるんじゃないの!イツキ、ギルドに來たの初めてなんでしょ?!そんな人がいきなり決闘したら―――」
……ああ、『よそ者が何暴れてんだ?』ってなるってことか。
決闘を眺めていたギャラリーが、白い目で俺を―――
「す、すげえ……」
「ああ……なんだあいつ?」
「見ねえ顔だな、どっから來たんだろうな?」
いや、白い目どころか尊敬の目で見てるやん。
「てか早く行こうぜ?帰りが遅くなっちまう」
「そうね……久しぶりの討伐クエストだし!」
――――――――――――――――――――――――――――――
「『ゴブリンの群れ』の討伐?」
「ええ、最近この『ユグラ樹海』でゴブリンが暴れているらしいの」
「……ゴブリンか」
まあRPGではメジャーなモンスターだな。
「にしても……この森深いな」
「そう?この森は小さいくらいなんだけど……」
異世界の大自然半端ねえな!
「―――ん」
「どうしたの?」
「靜かに……何か聞こえるな」
子どものようなび聲が、森の奧から聞こえてくる。いや、子どもにしては聲が低い。これは―――?
「―――ギャキャァア!」
「ゴォオオオオオ!」
……あれが、ゴブリンか?
俺的にはもうちょっと可いじで吼えると思ってたんだけど。
「ちょうど良い機會ね。イツキ、私の魔法を見せてあげるわ!」
「あい、どうぞ」
「何でそんなに適當なのよ!」
「おい大聲を出すな、ゴブリンが俺たちに気づくだろうが」
こちらをジロッと睨むランゼ―――杖を構えた瞬間、その雰囲気は一変した。
「『破滅魔法』―――『ビッグバン』!」
―――小さなの塊が、ランゼの手から放たれる。
……いやしょぼっ!
「さあ……弾けなさい!」
「ぇ―――」
瞬間、の塊が急激に膨張し始め―――
「ゴァ―――」
「ギャ―――」
ゴブリンの群れだけでなく、周りの木々や、俺まで吹き飛ばし―――やっとの膨張が止まった。
「……お、お前は俺を殺す気か?!」
「あ、巻き込んじゃった?」
吹き飛ばされたを起こし、辺りを見回す。
……なんてデタラメな威力だ。
木々は本から吹き飛ばされ、地面には大きなクレーターができている。
さらにはゴブリンのものだったと思われる手足が散らばっていた。
「はー!久しぶりに『破滅魔法』が使えてスッキリしたわ!」
「そりゃよかったな……って言いたいとこだけど、あれ」
「え?」
今の発音を聞いて、別のゴブリンたちが集まってきている。
「え、ど、どうしよう?!私、もう魔法使えないし……」
「はあ……ちょっとお前がスゴいと思った俺がバカだったよ」
ゴブリンの群れに向けて『魔導銃』を構える。
「とっとと終わらせて帰るぞ」
星の見守り人
如月 星(きさらぎ せい)はごく普通の宇宙好きな天文探査官だった。 彼は銀河連邦の公務員で有り、科學や宇宙が好きだったので、宇宙探査船に乗って、宇宙探査局の命令に従い、のんびりと宇宙探査をしていた。 辺境の宇宙を しかし彼の少々変わった才能と、ある非常に特殊な遺伝的體質のために、彼は極めて特殊な計畫「メトセラ計畫」に関わる事となった。 そのために彼は萬能宇宙基地とも言える宇宙巡洋艦を與えられて、部下のアンドロイドたちと共に、宇宙の探査にでる事となった。 そしてある時、オリオン座のα星ベテルギウスの超新星爆発の調査に出かけた時、彼のみならず、人類全體の歴史と運命を背負う事になってしまった・・・ これは科學や探検が好きな一人の人間が、宇宙探検をしながら、しかしのんびりと暮らしたいという矛盾した欲求を望んでいたら、気が遠くなるような遠回りをして、ようやくその願望を葉える話である!
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