《発展途上の異世界に、銃を持って行ったら。》28話
「『クイック』!」
腳力を上げ、『竜國』を囲っている壁を見上げる。
……高さは大15メートルほどだろうか。
「……おっし、いくか」
腰を落とし、一気にジャンプ。
風すらも置き去りにして、あっという間に壁の頂上に著き―――抜いた。
「……あ、ヤベッ」
ほどなくして勢いを無くした俺のは、自由落下に従い、急落下。
「ぁあっ―――ぶねえ!」
何とかけを取り、『魔導銃』を―――狙撃銃スナイパーライフルを構える。
「……狙撃とかしたことないんだよな」
まあ四の五の言ってられないけど。
「えっと……これで合ってるよな」
うつ伏せになり、スコープを覗く。
「……おし」
スコープ越しにリーブラの姿を確認、リーブラと向かい合うサリスとアクセルの姿も見える。
「そんじゃまあ……援護撃といくか!」
――――――――――――――――――――――――――――――
―――リーブラをサリスが倒したのをスコープで確認し、俺はアクセル達の所へ向かった。
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「サリスー、アクセルー」
「イッチャン……」
『ソウルイーター』を解除したのか、いつもの姿のサリスが立っていた。
「どうしたんだよ、難しい顔しやがって」
「……途中で『天秤座』が、何か攻撃をけたように何度も怯んだの……あれ、イッチャンの仕業?」
「まあ、そうだな」
なんか不味かったか?
「……イッチャン、ゴメンね。うち、イッチャンの事を疑ってた……」
「疑ってたって……何が?」
「イッチャンのこと、ヘタレだと思ってたの」
「ざけんな」
申し訳なさそうにするサリスの頭を、ひっぱたいてやろうかと―――
「……イッチャンの姿が見えなくて、逃げちゃったのかな?って思ってたの」
「おしサリス頭出せ、1発ひっぱたいてやる」
「でも……やっぱりイッチャンは勇者だね。どんな方法を使ったかわからないけど、あの『天秤座』を倒せたのは……間違いなく、イッチャンがいたからだね」
―――俺が、いたから……か。
「やってくれやがったなぁ!やっぱ最っ高だぜイツキぃ!」
暴に肩を組むアクセルが、一仕事した後のような笑みを向けてくる。
「俺は信っじてたぜぇ!イツキなら何かやらかしてくれってよぉ!」
「やらかしてくれるって……」
心地よい痛みに、思わず頬が緩む。
「……それじゃ、グローリアスさんでも探すか」
「そっだなぁ、俺も『獣王』様を探さねぇとぉ」
……でも、どこにいるのかわかんねえな。
「ん、『人王』なら、こっちだよ!」
「グローリアスさんがどこにいるか、知ってんのか?」
「知ってるよー、だってイッチャン達に合流する前まで、『人王』とシャルちゃんと一緒にいたんだから!」
――――――――――――――――――――――――――――――
「イツキさん!無事でしたか!」
俺の姿を見たシャルが飛び付いてくる。
「イツキ君……『ゾディアック』が町に來たのだが―――」
「あー……さっきサリスが倒しましたよ」
「えっ、うち?」
「なに?そうだったのか?!」
……高そうな宿だなー。今日はここに泊まるのかな?
「ちょ、ちょっと、うちは別に―――」
「何言ってんだよ……なあアクセル?」
「……そっだなぁ、あの『天秤座』を討ち取ったのはぁ、死神の姉ちゃんだぁ」
別に、噓は言ってない。
あくまで俺は、援護撃しかしていないのだから。
「スゴいな……異世界から來たとはいえ、君は勇者ではないのだろう?」
「……はい、うちは勇者ではないです。勇者はイッチャンなので」
……なんか、今日のサリスはやたらと俺を勇者って言うな?
「……ランゼたちは?」
「それがわからないのです……『ゾディアックセンサー』の警報を聞いて避難したと思うのですが……」
「どこに避難したか、わからんってか」
「……そうです」
……『『ゾディアック』など、最強の我が討ち滅ぼしてくれる!』とかウィズが言ってそうだ。
「まあ、何とかなるだろ……それより、どうするんです?」
「何がだ?」
「『森國』の事ですよ……『竜王』の力が借りられないとなると、『森王子』が武力で言うことを聞かそうとしてきたら―――」
「問題ない……イツキ君もライガーも、そこのアクセル君とサリス君もいるのだ。バハムートは念のために連れていこうと思ってただけだしな」
いや、俺たちだけで良いんなら、なんで最初っからそうしないんだよ。
「……最悪、ランゼ君の『破滅魔法』で何もかも破壊して帰ってくれば良い話だしな」
……なんか、グローリアスさんの闇を見たような気がする。
ちら、と隣を見る……アクセルとサリスも若干引いてる。
「とりあえず……ランゼたちでも探してくるか」
「あぁ、俺も『獣王』様を探してくらぁ」
――――――――――――――――――――――――――――――
「シャル、そっちは?」
「いませんでした……どうしましょうか?」
「サリスが空うえから探してくれてるけど……見つからねえってことは、建の中かもな」
……なんか、めんどくさくなってきたな。
てか、俺たちは『ゾディアック』『天秤座』を討伐したんだぞ?國民たちから謝の言葉の1つくらいあってもいいんじゃないか?
「……帰るか」
「ええ?!帰るのですか?!」
「だって……めんどくさくなってきたし……」
俺から『ランゼたちを探そう』って言っておいて何だが、建の中にいるんだったら探しようがない。
「それより……『竜王』の所に行かねえか?」
「『竜王』……ですか?それはまた、何でですか?」
「んや……俺たちは『天秤座』を討伐したんだ。だったら相応の謝禮があってもよくないか?」
「……イツキさん、凄く悪い顔してますよ」
そんなことを言いながら、シャルの顔はどこか嬉しそうだ。
「……シャル、あのふざけた『竜王』に會いに行くぞ」
「はい!」
――――――――――――――――――――――――――――――
「邪魔しやーす」
「……貴様は、さっきの……何の用だ?今我々は、『ゾディアック』の対応で忙しいのだ。とっとと失せるが―――」
「はいはい……その『ゾディアック』、さっき討伐したぞ」
「……なに?」
いまだに不機嫌な『竜王』が、俺を睨んだまま首を捻る。
「……それはあり得ないな」
「なんでだ?」
「ふん……貴様ら弱な『人族』が『ゾディアック』に勝てるわけが―――」
「り、『竜王』様!」
突如、執事のような男が謁見えっけんの間にってきた。
「ほ、報告いたします!先ほど現れた『ゾディアック』、『天秤座』が討伐されたそうです!」
「……なんだと?誰にだ?」
「近隣の住民の報だと、『黒い服を著た『人族』の年』と『黒い翼の生えた死神のような』、そして『赤い髪の『獣人族』の年』が討伐した、との証言をしております!」
報告を聞いた『竜王』が、再び俺を睨む。
「……貴様か?」
「だからそうだって言ってんだろ」
「い、イツキさん、口が悪いです」
いや、こいつに敬語使う必要ねえだろ。
「そうか……疑って悪かったな」
「おう。だったら出すもん出せよ」
「イツキさん?!」
「出すもん……?どういう事だ?」
「おーおー、『ゾディアック』の脅威から國を救ってやった俺に、謝禮の1つもねえのか?」
『竜王』に歩み寄り、邪悪に笑ってみせる。
「謝禮がしいのか?だったら金を―――」
「違う違う、俺がしいのは……お前の力だ、『竜王』」
「我の力だと?」
「そうだ……さっきグローリアスさんが頼もうとしていたことだ」
俺の提案に、『竜王』が再び首を捻る。
「俺たちは今から『森國』に行くんだ。その際、何かしらの衝突があった時に対応できるように、『種族階級1位』の『竜族』の力を借りようと思ってな」
シャルの婚約を破棄しに行く、とは言わなかった。
だって……そんなこと言ったら、『竜王』はいに乗らなさそうだし。
「どうだ?多分『竜王』が付いてくれば、武力的衝突は無いと思うんだよな」
「ふむ……脆弱ぜいじゃくな『エルフ』が、『竜族』に攻撃する事はないだろうしな」
そう。『竜王』が―――『種族階級1位』の『竜族』が一緒にいれば、『森王子』も攻撃をしてこない、と思っている。
「金なんかいらん……謝禮はお前で払ってもらうぜ」
「……やれやれ、仕方がないな」
『竜王』が苦笑し、俺を真っ直ぐに見つめ直す。
「……グローリアスを連れてきてくれ。話の詳細を聞こうではないか」
「おっしゃ、じゃあちょっと待っててくれ」
謁見の間を出て―――ガッツポーズを取る。
「っしゃあ!渉立だぜ!」
「イツキさん、さすがです!」
飛び付いてくるシャルを抱き締め―――すぐに離す。
「危ねえ、流れに流される所だった」
「……イツキさんが『竜王』の所に行くなんて、変だと思っていたのです」
てっきり文句を言ってくると思っていたが、シャルの言葉は至って優しいものだ。
「……お父様のために、『竜王』の所に行ったのですね」
「いや、違う違う」
「えっ?」
「俺は、俺のせいで解散になった話し合いをそのままにしたくなかっただけだ」
事実だ。
あの話し合いは、俺とアクセルのせいで解散になった。
解散の原因となった俺が、話し合いをもう一度するために行するのは、當然の事だ。
「あと……グローリアスさんのために、じゃなくて、シャルのためにだからな?」
「私のために……ですか?」
「當たり前だろ?俺はグローリアスさんの手助けをしてる。そのグローリアスさんは、シャルのために行してる。だったら必然的に、俺の手助けはシャルのためにしてる、って事だ」
頭の悪い理由だが、間違ってはいないはずだ。
「私のため……ふふ、嬉しいです」
「そもそも、その『森王子』ってのがおかしいんだよな。勝手に婚約者呼ばわりして迷掛けやがって」
「『森王子』に毆りかかるのは止めてくださいね?」
「わかってるわかってる、俺はアクセルじゃないんだからさ」
王宮を出て、グローリアスさんの所へ向かった。
ニセモノ聖女が本物に擔ぎ上げられるまでのその過程
借金返済のために紹介された話に飛びついたが、それは『聖女様の替え玉』を務めるというお仕事だった。 職務をほっぽり出して聖女様が新婚旅行に出かけちゃったので、私が聖女様に扮して代わりに巡禮の旅に行くだけの簡単なお仕事です……って話だったのに、ふたを開けてみれば、本物聖女様は色々やらかすとんでもないお人だったようで、旅の護衛には蛇蝎のごとく嫌われているし、行く先も場合によっては命の危険もあるような場所だった。やっぱりね、話がうますぎると思ったんだよ……。 *** 主人公ちゃんが無自覚に聖女の地位を確立していっちゃって旅の仲間に囲い込まれていくお話です。多分。 司祭様→腹黒 雙子魔術師→ヤンデレショタ兄弟 騎士団長さん→椅子
8 175【書籍化&コミカライズ】偽聖女と虐げられた公爵令嬢は二度目の人生は復讐に生きる【本編完結】
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8 84【書籍化作品】自宅にダンジョンが出來た。
【書籍化決定!】BKブックス様より『自宅にダンジョンが出來た。』が2019年11月5日から書籍化され発売中です。 西暦2018年、世界中に空想上の産物と思われていたダンジョンが突如出現した。各國は、その対応に追われることになり多くの法が制定されることになる。それから5年後の西暦2023年、コールセンターで勤めていた山岸(やまぎし)直人(なおと)41歳は、派遣元企業の業務停止命令の煽りを受けて無職になる。中年で再就職が中々決まらない山岸は、自宅の仕事機の引き出しを開けたところで、異変に気が付く。なんと仕事機の引き出しの中はミニチュアダンジョンと化していたのだ! 人差し指で押すだけで! ミニチュアの魔物を倒すだけでレベルが上がる! だが、そのダンジョンには欠點が存在していた。それは何のドロップもなかったのだ! 失望する山岸であったが、レベルが上がるならレベルを最大限まで上げてから他のダンジョンで稼げばいいじゃないか! と考え行動を移していく。 ※この作品はフィクションです。実在の人物・団體・事件などにはいっさい関係ありません 小説家になろう 日間ジャンル別 ローファンタジー部門 1位獲得! 小説家になろう 週間ジャンル別 ローファンタジー部門 1位獲得! 小説家になろう 月間ジャンル別 ローファンタジー部門 1位獲得! 小説家になろう 四半期ジャンル別 ローファンタジー部門 1位獲得! 小説家になろう 年間ジャンル別 ローファンタジー部門 7位獲得! 小説家になろう 総合日間 1位獲得! 小説家になろう 総合週間 3位獲得!
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