《発展途上の異世界に、銃を持って行ったら。》43話
『騎士國』を出て2日目……そろそろ神的に疲れてきた。
「……ん、イツキ!」
「んあ?」
「見えてきたわよ!」
ランゼの言葉に、外へ視線を向ける。
海だ―――いや、違う。大きな湖だ。
「あれが『マーメイク』……この世界最大の湖か……」
「そうだよ!それに、マーメイクが見えてきたって事は……!」
興を抑えきれないようなストレア……まぁ、こいつの格なら無理もない。
「『水鱗國 ウィアル』……グローリアスさんはあそこに居るんだよな?」
「はい!『水鱗王』に會っているはずです!」
『水鱗王』……マーメイドか。
獣人やエルフと同じ、ファンタジーな生……ヤバイ、しワクワクしてきた。
「ん……あれって……」
「ランゼ、どうかしたか?」
「いや、あそこにいるのって―――?!」
『ドゴンッ!』と馬車が大きく揺れた。
何事か、と判斷する前に、馬車の扉が暴に開けられ―――
「ガァアアアアアッ!」
「ぅおお?!」
ってきた何かが、鋭い爪が振り下ろし―――反的にその腕を摑んだ。
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摑まれた方と反対の腕で攻撃しようとしてくるが―――その前に全力で腹部を蹴り、馬車の外へ吹き飛ばす。
「ぐっ、ぉおおおぉ……!容赦ねぇなぁ……!」
地面に転がる年。その姿に見覚えがあった。
赤い髪に、獰猛な瞳……こいつは―――
「お前……アクセルか?!」
「あぁ……ひっさしぶりだなぁ。イツキぃ」
苦痛に顔を歪め、それでも嬉しそうに笑う獣人……間違いない、アクセルだ。
「……お前、俺を殺す気か?!いきなり攻撃してきやがって!」
「なんだよぉ、ちょっとじゃれついただけじゃねぇかぁ……にしてもぉ、來るの遅かったなぁ?」
「遅かった?……てか、何でお前がここにいるんだ?」
「んやぁ、『人王』が『獣國』に來たんだよぉ。んでぇ『『水鱗國』に行くから付いてきてくれないか』って頼まれてぇ……『獣王』様が行くって言ったからよぉ、護衛の俺が付いていかないわけにもいかねぇしぃ……」
怠そうに頭を掻き、アクセルが『水鱗國』へ歩き始める。
「ランゼ、先に行ってくれ」
「……えぇ、わかったわ」
ランゼのる馬車が先に行くのを確認し―――俺はアクセルの隣を歩き始めた。
「遅かったって、どういう意味なんだ?」
「『人王』が『イツキ君たちが來るだろうから、姿が見えたら案してくれ』って言われたからよぉ……門の外で待ってたんたがぁ、まったく姿が見えねぇしぃ……2日間待ってたんだぜぇ?」
「2日間って……」
こいつも大変だな。
「にしたってぇ……なぁんで『水鱗國』なんだぁ?」
「なんか……『水鱗王』が『七つの大罪』の1人らしい」
「あぁ……そのことかぁ」
「知ってたのか?」
「『獣王』様から聞いたぁ」
って事は……多くの人が知ってんのかな?
「『水鱗王』が何の大罪かわかってるのか?」
「いいやぁ……さっき『獣王』様がぁ、俺の様子を見に來た時に教えてくれたがぁ……なんかぁ、勝負してるらしぃんだよぉ」
「勝負って……何のために?」
「お互いに報を賭けて勝負するらしぃんだぁ。こっちが勝てば『七つの大罪』の報をぉ、『水鱗王』が勝てば『何かしらの報』を貰うって言ってたなぁ」
つまり……『水鱗王』の大罪を知りたければ、勝負で勝てって言ってるのか?
「なかなかめんどくせぇな……」
「あぁ……っとぉ、著いたぜぇ」
眼前にそびえ立つ外壁……『水鱗國』だ。
「ん……來たわね!」
「おう。遅くなったな」
「……なぁイツキぃ」
「どうした?」
「そこの騎士ぃ……誰だぁ?」
目を細くし、アクセルが一點を睨む。
騎士……?ああ、マーリンの事か。
「自分はマーリン!『騎士王 エクスカリド』様の側近の騎士よ!」
「……俺ぁアクセルだぁ」
にこやかに手を出すマーリン……対するアクセルは、警戒をあらわにして、その手を握ろうとしない。
「……あんたぁ、強つえぇなぁ?」
「それなりにはね……そういうあなたは、獣人?」
「あぁ、そうだぁ」
……珍しい……アクセルがここまで警戒心を持つなんて。
ギルド長のクーロンと會った時は普通に接してたのに……何を警戒してんだ?
「みんな!早く行こ!」
「あ、ちょっとストレア!」
走るストレアを、マーリンが追いかける。
「……どうしたんだよアクセル?」
「なぁイツキぃ……」
どこか怯えたように、どこか尊敬したように……アクセルが呟いた。
「努力であそこまでれる人間なんて……存在するんだなぁ」
―――――――――――――――――――――――――
「お、追い付いた……!」
『水鱗國』の王宮……俺とアクセル以外、全員そこにいた。
「すまないイツキ、ストレアが―――」
「ああわかってる……おいストレア、勝手に行するのはやめろ」
「僕?!なんで?!」
こいつはアホなのだろうか。
いや……ストレアは出會ったときからこんなじだったな。
「はぁ……アクセル、グローリアスさんはここにいるんだよな?」
「あぁ、間違いねぇ」
「おし……行くか」
アクセルが門番に小さな紙を見せると、簡単に王宮へれてもらえた。
「……勝負、ねぇ」
「あぁ……イツキがやってみるかぁ?」
「んや……戦いならアクセルで充分だろ」
「戦いじゃねぇんだよなぁ……」
肩を落とすアクセルが、1つの扉の前で立ち止まる。
こちらを見るアクセルに頷き―――アクセルが、その扉を開いた―――!
「……あら?またお客様かしら?」
「イツキ君……來てくれたか」
「はい……てか、何で勝手に『水鱗國』へ行くことにしてるんですか」
「……そうしないと、來てくれなさそうだったからな」
信頼度の無さ!
「えっと……グローリアス、あの人は?」
「先ほど話したイツキ君だ」
「あら、あの人が『ゾディアック』と張り合う『人族』なんですね」
『水鱗王』が立ち上がり、近づいてくる。
……やっぱり……マーメイドって下半が魚なんだな。
「初めまして、ワタクシは『フォルテ・ハーモ・ローレライ』。一応『水鱗國』の王ですわ。気軽にフォルテと呼んでくださいませ♪」
「……俺はイツキ……よろしく」
差し出された手を握り、挨拶をわす。
なんだろう……『騎士王』の後だからか、ものすごく社的な國王にじるな。
「アクセル、案ご苦労様」
「ったくよぉ……『獣王』様も人使いが荒いよなぁ」
「あはは……許してよ」
「……別に怒っちゃいねぇけどよぉ……」
グローリアスさんの隣に座る獣人……ライガーさんだ。
そのライガーさんの手には……トランプのようなが握られている。
「ライガーさん……それなんだ?」
「うん?これかい?ちょっとした遊び道、かな?」
遊び道……トランプ……?
「イツキ君……頼みたい事があるのだが、良いだろうか?」
「嫌です……って言いたいですけど、なんですか?」
「『水鱗王』と『遊戯ゲーム』をしてほしいのだ」
遊戯ゲーム……?
「あら、グローリアスとライガーは諦められるのですか?」
「うむ……殘念ながら、私たちでは勝てそうにないからな。頼めるか、イツキ君?」
「……容によります」
「容……ルールの説明をご所ですか?」
「……ああ、頼む」
新しい遊び相手を見つけた子どものように、無邪気な笑みを浮かべるフォルテがルールを話してくれた。
「まず、お互いに報を賭けます。その報がお互いに対等だと思えば、勝負開始ゲーム・スタートです」
「報……例えば?」
「そうですね……例えばワタクシだったら―――『七つの大罪』の罪名を教える、というじですわ♪」
「なるほど……で、それに見合う報を賭けないと、勝負開始ゲーム・スタートできないってか」
賭け事みたいだな。
それで……フォルテの出した報と対等の報……それを出さないと勝負開始ゲーム・スタートできないのか。
「それで……そちらは何を賭けられますか?」
「そうだな……お互いに対等だと思えばいいんだよな?」
「はい、そうですわ」
「なら―――『勇者』が誰かを教えてやるよ」
全員の視線が俺に集中する。
グローリアスさんとシャル、サリスとアクセルが、驚いたように見てくるが……あれだ。勝てばいいんだろ?
「ち、ちょっと待っててくださいね!えっと、えっと……あ、ありました!」
「……それは?」
「『審判の音石』……発言の真偽を教えてくれる『魔道』ですわ……あなた、本當に『勇者』が誰か知っているんですの?」
「ああ、本當だ」
『審議ジャッジ―――真実トゥルー』
うおっ……なんかこの世界、こういうじの『魔道』多くないか?
尋問する椅子とか……真偽を教えてくれる石とか……尋問道ばっかりじゃねぇか。
「あ、そうですわ!今回の遊戯ゲームはこれを使いましょう!」
「それを使う遊戯ゲーム……?」
「そうですわね……お互いに質問をして、最初に噓を吐ついた方の負け、でどうですか?」
ルールは、こういう事らしい。
『お互いに質問をして、先に噓を吐いたら負け。
もしもわからない質問……例えばフォルテが『ワタクシの誕生日はいつ?』と聞いてきた場合、俺は答える事ができない。
そういう時は『わからない』と答えれば良いらしい。
しかし、本當はわかっているのに『わからない』と答えれば『審議ジャッジ―――噓ライ』となるから、負けになるとの事』
「……いいぜ。やってやるよ」
「うふふ……では始めましょう♪」
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