第三章

第43話、敗因で油斷大敵なのだ！

聲が聞こえる。聞いたことのある聲だな。

「あきら！」

この聲は……ガガさん？でもガガさんは確か、

「あきら！起きんか！」

アバットさんの魔法で拘束されてるんじゃ？

「起きろ！あきら！」

「ん？あれ？ガガさん。まだアバットさん、起きてないじゃないですか？なぜ魔法が解除されてるんです？」

「しー！アバットのやつが起きるじゃろう！し靜かにせんか！」 

そう大きい聲で言われると僕はガガさんに手を引かれ検問所の外に出された。

「ここなら安心して話せるわい。わしはさっきアバットにかけられた神魔法を自力で解いたんじゃ。」

「自力で解けるんですか？」

「まあな。あのくらいの魔法なら解くのに時間はかかるが解くことはできる。なぜ外に出たかというと、寢ている時にわしがアバットの目を覚まさせてしまうとな。アバットはすごい怒ってな。最高位の神魔法をかけられたことがあるんじゃ。」

「ということはガガさんにとってアバットさんは天敵なわけですね。」

「まあそういうことじゃ。」

確かにガガさんの口やら手やらが暴走した時もアバットさんは冷靜に魔法を使ってねじ伏せた。ということはガガさんはアバットさんに敵わないんだなぁ。僕はそう確信した。

「そんなことは置いといて。アバットが起きる前にあきらには伝えなければいけないことがある。……それは先の戦い実に見事じゃったということじゃ！わしも久しぶりに本気を出してしまってあきらには痛い目を合わせてしもうたな？でも敗北という敗北は経験できたじゃろ？あきらは空中戦に持っていった。それがわしにとっては不利だと考えたから。しかし最後の最後、あきらが油斷しかけた隙にわしは一発喝をれた。」

「そうですね。あのタイミングでのあの一撃は予測できたものではありましたが、ガガさんの巧みな演技によってはめられ油斷してしまった。まさに油斷大敵ですね。そんなことは戦闘では初歩の初歩だというのに僕はそれを忘れていた。ガガさんは僕の目を見た時思ったのでしょう？僕が初歩の初歩の部分が欠け落ちているのを。それを教えてくれようとしてくれたのではありませんか？」

「ふん！まあそんなところかもしれないな！……だがあきらは立派な冒険者だ。わしが保証しよう。若い、そしてまだ経験が淺いうちからあの戦いぶりを見せられればそう言い切れる！ここから先は困難な旅が待ちけるかもしれんが、正々堂々と戦って來い！わしも応援するわい！」

「ありがとうございます！ガガさん！」

僕とガガさんは話をして検問所に戻った。そして僕は早々ながらも旅の支度をすることにした。というのもガガさんが一通の手紙を早急に帝國の知人に送ってほしいとのことだった。帝國は結界を北に進んでいくとあるらしい。かなり遠いが四日以には屆けてしいらしい。

ガガさんによると帝國に行くにつれて砂漠地帯から森林地帯へと変わって行くらしい。やっと砂漠から抜けられるのか〜。ふぅ〜。

アバットさんもしばらくすると起き、僕が事を話すと＂怪我が治ったばかりで申し訳ありませんが早く屆けてください＂などとお願いされた。アバットさんも早急に帝國に戻るそうだが、やることが殘っているのでそれらを片付けて追いかけるそうだ。もうそう言われたら行くしかない。僕は検問所の外にゲートを設置して(もちろん許可は取った)検問所を後にすることとなった。

その後結界にり町の人々にも帝國に出立すると伝えると寂しそうにする子供もいたが、大人たちの説得により理解してくれたようだ。今度來た時にはお土産話を沢山聞かせてあげることも約束した。

そして僕は町を後にし、北に進む。どんな旅が待っているだろうか。はどこにいるのだろうか？ドキドキしながら前に進んでいた。