第七章 

147話

拠點に戻った僕達は青い本『幻の都市〜ベルダーダンスキンスの謎〜』を読む。本の容はさほど難しいものではなかったが、なんせページ數が多く読み終わるのには々時間がかかった。

要約するとーー筆者はベルダーダンスキンスに実際に行ったことがある。そこに至った経緯は次の通りだ。

＂六連山ドラゴンシティ＂を超えた先に＂グランドデール王國＂という國がある。そのグランドデール王國の北側に位置する地、＂フォッグゲール＂。そこは通稱＂霧に包まれた地＂と呼ばれている場所である。

一年の八割は太のも屆かない霧に包まれ、霧が晴れる前日にはどこからか立っていられないほどの強風が吹くという。事実、そこには人は住んでおらずさえも近寄らない。一度迷いこめば二度と戻ってくることは出來ないと地元では不気味がられている。

しかしそここそがこの本の筆者がベルダーダンスキンスに行くことが出來た場所である。

筆者はたまたま迷いこんでしまったと書かれていた。霧は深く方向覚は小一時間でなくなり、木一つ生えていない環境のなか仲間のもう三人と死ぬ覚悟を決めた遭難三日目の晝頃。

突然とも言える強風が筆者を襲った。全方向から吹き付ける風、仲間の悲鳴も聞こえない豪風のなか彼の目線の先にあるものが見えたという。ーー花だ。一一違うを持った七の花。

筆者は豪風と深い霧の中、ある書の一節を思い出した。

『神の怒りとも取れる強風と死を覚悟させる深く暗い霧の地に一の輝く花咲く。

それは死の前の幻か、否新たなる地への導きか。どちらにせよ確かめるが吉。幻の都市への導きとなることを祈る』

彼はその一節を信じ、己に襲いかかる風と見失わせるように邪魔をする霧を必死にかき分けながらーー花を摘むことに功した。

すると今までを圧迫していた風は消え、深い霧は一気に晴れーーそこには

「楽園と思える世界が広がっていた」＂

「これで間違いないようだな。」

読み終わるとダニー兄さんがこちらを見て頷いた。

「そうみたいですね。」

クルルさんも同意する。

「でもどうするよ。場所が場所だ。」

「えぇ。六連山を超えなきゃいけないですし、私六連山の向こうのグランドデール王國なんて行ったことありませんよ？」

ミーナさん以外はクルルさんの話を聞いて相応の表である。

「ミーナさんは？」

「ドラゴンシティの中心都市＂グダルガン＂には私行ったことありますよ？」

「……えっ！？グダルガンに行ったことあるんですか？」

「はい！彼の手から逃れるために一ヶ月くらいそこにいた事があります。」

「でもさぁ。グダルガンって検問が厳しいって聞いたことあるけど？あと何よりも行くのが大変だって。」

「私の場合は風霊に助けて貰ったんです。本當なら二ヶ月ほどかかる道も三日でつくことが出來ました。」

このミーナさんの話を聞いて僕、否この場にいる全員がこう思っただろう。

『ミーナさん、強すぎじゃない？』