《創造のスキルとともに異世界へ》外伝2

ケルベロスが柊木さんを叩きつけようと前足を上げスピード振り下ろしてくる。

柊木さんはそれを見切って躱しました。

「さすが勇者ですね......」

柊木さんは本當に強かった。

ケルベロスの攻撃を全て躱している。

その後、攻撃の際にできた隙を見逃さず反撃をする。

そう、ケルベロスのスピードでは柊木をとらえることはできないのだ。

「噓だ......」

戦闘開始から5分くらい経った時でした。

皆攻撃している中、1人ルークが言葉をらした。

「どうかしたんですか?」

その言葉の意味を知るべく質問を投げかけます。

すると.......

「みんなあんなに攻撃をしていてスキルも、魔法だってあんなに使っているのに......ここまでで與えられたダメージはたったの900?........こんなの勝てるわけ無いよ......」

「......!」

柊木さんは気付いていたでしょうか......ケルベロスが自回復のスキルを持っていたことを......

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あれから何時間経ったでしょう.......

皆のSPは何度も枯渇して數え切れないほどのポーションを使いました。

そこまでやって減らせたHPは2萬弱。

これでは本當に倒せませんよ.......

ケルベロスも生命の危機をじたのか柊木さん以外にも攻撃を始めました。

そろそろダメージをける者が出てくると思ったその時。

ついにリクさんがダメージをけてしまいました。

ケルベロスの攻撃は掠っただけでしたが、リクさんのHPが半分以上も削られてしまいました。

リクさんは一旦下がってエルネシア姫に回復魔法をけていますが、 この均衡が崩れるのは時間の問題。

どうすればいいのでしょう......

この時雄一さんなら何をするのでしょう......

『使えるものなら使うに決まってるだろ』

って言うかもしれませんね。

心の中で雄一さんが言いそうな言葉を思い浮かべてクスッと笑ってしまう。

まだ使っていないスキルがいくつかあった。

魔王と戦うまでに能力を知っておきたいから試し撃ちさせていただきましょう。

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「スキル、迫撃滅殺!」

このスキルの一撃目はたとえ対象がどこにいたとしても當たるようになっている。

大きくダメージをけたケルベロスは大きく怯んだ。

そのあと追い討ちをかけるように巨大な柱がケルベロスめがけて降ってきた。

勿論その柱はケルベロスに當たり、押し潰す事となった。

しかし、それでもケルベロスを倒すことはできなかった。

ケルベロスの持つ圧倒的防力のせいで致命傷にはなったものの、ほとんどダメージを與えられていない。

「萬事休すか.......」

ガレアスさんがそう言い苦い顔をする。

打てる手は打ったが倒すまではいかなかったと。

私もそう思いました......が、

「.......!」

不意に飛んできた矢が3本、ケルベロスの頭を3つ全て吹き飛ばした。

そして.....ケルベロスを抜いた本人が姿を現した。

「大丈夫でしたか?皆さん。」

は.......フィルちゃんだった。

フィルちゃんとそのお兄さんのカクトさんから話を聞くと、どうやら雄一さんは元の世界に帰ったそうです。

いつか戻ってきてくれるというのはわかります。

でもやっぱり會えないのは寂しいです。

早く魔王を倒して雄一さんに會いたい.......

魔王を倒したらなんて言ってくれるんだろう?褒めてくれるかなぁ.......

「あ、そういえばどうやってあのケルベロスを倒したの?」

「ああ、それは雄一さんのステータス補正のおかげですよ。」

「ああ、なるほど。だからあんなに簡単に倒しちゃったんだ。」

ケルベロスを倒したあと、私たちは一気にレベルが上がった。

レベルは近いはずだったのですが.........上がり方が異常だったのです。

なんて言っても.......現在、私たちのレベルは..........

58000.........おかしくないですか?

結局この話は雄一さんの経験値補正ということで終結することにしました。

その日は普段よりも早く休むことにしました。

皆、意外と疲労が溜まっていたためでした。

そこから數日の野営を繰り返し、魔王城を目指しますが.........

「なかなか著きませんね.......」

「これはまずいですね......罠にはまってしまったかもしれません。」

柊木さんとエルネシア姫の會話を耳にして、私も考えてみる。

そう、あれから何日も歩いているのに一向に魔王城に近づけないのです。

それどころか遠くなっている気もします。

柊木さんは幻影魔法か何かにかかってしまったのではと言っていましたが、私はどうもあの魔王城が幻影だとは思えない。

どうやって魔王城に辿り付こうか、皆悩みました。

ふと、リクさんがあることを考えました。

「もしかして、魔王城自いていると言うことはないのですか?」

と。

「まさか......あの大きさのものがくなんてあり得るのですか?」

エルネシア姫の疑問は最もでした。

魔王の城は大きいと言うレベルではなく、大きすぎるのです。

ですから、そのようなものをかすとなればかなりの魔力が必要でしょう。

魔王が魔力を空にするリスクを背負ってまで城をかす理由がわかりません。

々なことが考えられます。

例えば、何らかの手段によって常に魔力が供給されていて、無限に歩ける要塞となっていること。

魔王自の魔力が異常なほど高く、長い時間かしても大丈夫なこと。

城自がそもそも魔力でいていなくて、別の手段によってかされていること。

殘念なことに城の城壁より下は見えない。

土臺が何になっているのか分からない。

「僕たちが全力で走ったところで追いつくことは出來ませんね.......」

「え!?ここまで來て諦めるのですか!?」

「いや、まさかそんなことはしない。ただあれに追いつくための手段を探らないといけない。」

「それはそうですけど。」

柊木さんの言ったことに食ってかかったけど、魔王城に追いつくには走る以外の手段を探さないと追いつけないのはわかっていた。

「でも、時間がかかりすぎます......」

早く魔王を倒して雄一さんに會いたい。

それなのに.......

「なあ、俺たちはさ、魔王を倒すのに何年かかってもいいからさ、皆が無事に帰って來て雄一さんに會うことが大事じゃないのか?」

「ガレアスさん......」

そうだね、それは最もな答えです。

焦って命を落としてしまえばそこで終わりなのだからみんなが生きて帰れるように、慎重に事を運ぶことが大切なんですね。

結局私たちは魔王城へたどり著いた時にはもう3年も月日が経っていました。

偶然立ち寄った村がグリフォンを飼っていたので人數分買い、次の日の朝、その村を出て、再び魔王城へ。

數日かけて魔王城を見つけました。

そして、もうすぐ魔王城に著きます。

周りの天候は荒れ、沢山の魔が徘徊している中、敵を難なく切り捨てて行けるのはやはりレベルが上がったおかげでしょう。

ここまで來ればもう魔王すら簡単に倒せるのではないでしょうか........

城は5階ほどはあるでしょうね。

1階層ごとに魔將が控えているみたいなんですけど......

現在三階。

魔將に喋る間も與えず倒して行く味方達.......

まさに瞬殺でした。

見事な瞬殺です。

5階に到著するまで、おおよそ5分もかからなかったのです。

恐ろしいですね.........皆さん。

「ついに魔王ですかね.......」

覇気も何もないような聲でそう言う。

もう完全に魔王なんて相手じゃありません。

案の定、魔王は相手にもならず、今は皆から蹴りをけて泣いています.........

この絵面、正直みんなの方が魔王やってます.........恐ろしいですね.......

「さて、帰りますか。」

スッキリしたような顔でリクさんがそう言います。

みんなも何故かわからないけどキラキラしてる........

隨分とあっけなく魔王倒しちゃったな.........

魔王討伐が終わり、リスティール王國に帰還、國王様から祝福の言葉と盛大なパレードが行われました。

そして私たちは街の真ん中にある舞臺に乗り、魔王討伐の報告をしたのち、報酬をけ取ることとなった。

本當はここに雄一さんもいるはずだったのに........

「.......っ!」

ふと向いた方向に見覚えのある顔があった。

気がつけば私はもう走り出していて、周りの聲は聞こえていなかった。

ただその人の元へ行かなければならないと言う一心で。

そしてようやく追いついた。

「おかえりなさい!雄一さん!」

雄一さんは私たちのために戻ってきてくれた。

それから雄一さんの隣にいる葉という人と亮という人が雄一さんの新しい仲間だということはわかったのですが、葉という人がやけに雄一さんにべったりなのでイライラして喧嘩を売ってしまいました。

でも、雄一さんについてくるだけはあって、本當に強かったのです。

もし、雄一さんが止めにって來なければ、私は負けていました。

なにせ、私が苦戦してまで勝った相手が分だったなんて考えもしませんでしたし........

でも、雄一さんは私の勝ちだと言ってくれました。

その時は嬉しかったです。

宿に戻った私は疲れててそのまま寢てしまいました。

次の日の朝には國王に挨拶をし、邪神討伐が決定されました。

フィルちゃんやおおよそ戦力にならない人は置いていくと雄一さんが言っていて、皆納得するしかありませんでした。

出撃組と待機組に分かれて邪神討伐に向かいました。

山岳地帯を進み積雪地帯を進み、ようやくついたその巨大な火山には邪神の神殿があり、その最深部には邪神がいました。

邪神の配下たちは圧倒的なレベルで、私たちでは勝てないと悟った雄一さんは、

「スキル、レベリング。」

レベリングのスキルで私たちのレベルを最大まで上げてくれました。

これでよほどのことがない限り私たちが命を落とすことはないでしょう。

「さあ、行くぞ!」

こうして邪神との対決が始まりました。

邪神の配下は私たちが、邪神とその側近は雄一さんたちが請け負う形で分かれました。

配下のほとんどは楽に倒せましたが最後のドラゴンロードはそう一筋縄では行きませんでした。

ケルベロスよりも圧倒的につよく、スキルも持ち合わせている。

前の自分たちであれば塵一つ殘っていなかったでしょう。

でも今は.......

「私たちの方が強いです!」

ドラゴンロードを倒すことにかなり時間が経ってしまいました。

「.....!雄一さんたちは!?」

そう思って雄一さんがいる方向へ顔を向ける。

私たちが見たのは雄一さんをかばって亮さんが邪神に殺されるところでした。

「........!」

驚きで言葉が出ませんでした。

この場面は私だけではなく他のみんなも見ていました。

みんな言葉にできない悔しさを抱いているようでした。

でも次の瞬間。

雄一さんが笑った気がしました。

「.......!?」

その意味に気がついた頃にはもう遅く、雄一さんがスキルを使いました。

「終點......!」

「雄一さん!!」

スキルが発して視界が真っ白になって行く。

それと同時に心にあった黒いがまるで無かったかのように消え去り、暖かい気持ちになりました。

しかし、雄一さんを失った悲しみが消えることはありませんでした。

「雄一さん.......」

視界が元に戻り、雄一さんの姿が見えた。

私はその雄一さんの死に近づき、元に手を置いた。

「ずるいですよ......あんなに幸せな笑顔で......ありがとうなんて......何も言い返せないじゃないですか.......」

泣き崩れることはありませんでした。

ただ涙をこぼしただけです。

雄一さんの意思を読み取ったから。

「「「ありがとうございました。」」」

私だけでなくみんなの口からこの言葉が溢れていた。

雄一さんと亮さんのはエルネシア王國の中心に巨大な霊碑と墓を建て、その中に埋葬しました。

あの後葉さんは用事があるから私は離れると言い、私たちの前からいなくなりました。

落ち著いてから知ったことですが、なんの罪もなく殺された人たちが生き返ったそうで、皆が驚いていました。

それだけでなく魔族はいなくなりました。

それもそうでしょう。

魔族は人間になったのですから。

雄一さんは自分の命と引き換えに々なものを救ってくれました。

殘された私たちにできることはこの先の世界を守ること。

それが大事なことでしょう。

もし、それが全て終わったら........

「また會いに行きます。雄一さん!」

こうして私たちの旅は幕を終えた。

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