《死神と呼ばれた殺し屋は異世界に》第0話 死神の仕事

「……」

二丁の拳銃のマガジンに弾丸を込め裝填し、目的地を見る。目的地はあの廃ビル、近接用のナイフをナイフケースにしまう。防犯カメラのようなものはない。

一呼吸れてり口に突する。

なるべく足音をたてないよう歩く。すると、ドアが見えた。ゆっくりとドアに近づき聞き耳を立てる。

「……」

「……、………」

何かを話しているが聞こえない。まぁ人がいると分かればいい。それに軽く十數人は居そうだ。俺は閃弾のピンを抜きタイミングを見計らう。ドアを開け閃弾を投げ込む。俺はドアを閉め、確認したらまたドアを開ける。

奴等の目を封じて、俺は二丁の拳銃で確実に撃ち殺す。奴等の目はもう見えることは無いだろう。この部屋には防犯カメラは無いようだ。俺はまた弾丸を詰める。そして、向こうのドアを開ける。

階段を上がり、その間邪魔した敵は撃ち殺す。そして、最上階の一番奧のドアを開ける。すると、白を著た科學者らしい風の男がいた。

「あなたがあの有名な死神ですか。」

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「どう有名なんだ?」

「暴力団、犯罪組織、反政府テロ組織を中心に殺す政府公認の殺し屋。通稱死神。」

「なるほど、良く知ってるな、白き太ホワイトサン。」

白き太ホワイトサンは反政府テロ組織の1つ。主に薬品による被害が大きい。

「まさか貴方に知ってもらえるとは。」

「調子に乗るな。標的のことを知るのは當たり前だ。」

「まぁそれはいい。死神、せめていい実験臺になってくれ。」

すると、驚きのスピードで近づいてきた。俺は銃を構え撃つ。しかし、殺せなかった。防弾チョッキでも著ているのだろう。すると、ガスを浴びせてきた。催眠か催涙か毒か。

俺はそれを後ろに避ける。また銃弾を撃つがやはり防弾チョッキを著ているようだ。が、どうやら相手はガスだけのようだ。俺はそれが分かると今度は俺から近づいた。

奴はガスを噴させるが俺は調子が悪くても3分は息を止められる。俺はナイフを取りだし奴を切り裂いた。鮮が斬ったそばから吹き出す。これは有名な鍛冶職人が作ったナイフだ。切れ味は下手な剣ならこれでも折れる。

そして、今回の任務は終了した。俺は階段を降り廃ビルから抜け出す。外では雨が降っていた。雨で返りは洗い流せるだろうが、俺の殺しの過去は決して流せはしない。

どうせ流すことができないのなら、

「笑い飛ばしてくれ。」

誰も聞くことの無い聲が雨でかき消される中で雨ではない水が俺の頬を伝った。俺は近くの公衆電話に行く。

「任務は達した。死神。」

「お疲れ様だ。死神、報酬金はきちんと振り込んでおく。」

電話を終え、俺は帰路につく。

◆◇◆

「ただいま。」

返ってくるのは無言の靜寂。そりゃそうだ。もう「お帰り」と返してくれる人はいない。俺はの匂いを洗い流すため、お風呂の湯を沸かす。それまで、報酬金の確認でもするか。

たった一枚のお札でも手違いがあってはいけない。これはしっかりとした取引でありなめられたら終わる。まぁきちんと報酬金は一枚の間違いもなかったが、すると、無機質な聲がお風呂が沸きましたと伝えた。

「ふう。」

湯船に浸かる。溫かいお湯が冷えきった、もう溫まらないだろう心を溫めようとする。俺はを洗い流し、お風呂から出る。

著替え、ご飯を炊き料理を作る。今日はハンバーグにしよう。きちんと付け合わせも忘れずに作る。お皿を出して盛り付ければ完だ。手を合わせ食べ始めた。

◆◇◆

『うまい、佑!今日も完璧だ!』

「師匠!」

俺の聲が響くなか、下を向くと食べ終わった皿があった。

「夢か。そうだよな、師匠はもういないのに。」

いつの間にか朝日は昇り俺の顔を照らしていたようだ。

師匠は俺に殺しを教えてくれた。最初は、そう確かどこかのスラムだ。……心がついた時そこにいた。

最悪の環境、そして、俺は殺されかけた。麻薬をやっているようなごろつきが銃で俺を撃ち殺そうとした。

俺はそいつから銃を奪い撃った。何発撃ったかは覚えていない。乾いた音が俺の耳を貫いた。呆然としてるなか、気づけば師匠はそこに立っていた。

「君が殺したの?」

俺と同じ日本人のっぽい聲で話しかけた。俺は震える手を抑えながら縦に首を振った。すると、師匠は一つの弾丸を取り出した。

「……この弾丸をけとれば君に殺しを教える。でも戻ることはできない。拒否すれば私があなたを孤児院に連れていく。どうする?」

もしかしたら、拒否するべきだったのかもしれない。でも俺は縦に首を振った。そこから師匠は俺に殺しを教えてくれた。夜神 佑やがみ ゆうは師匠がくれた名前だ。俺にとって師匠であり、親であった。

「佑、殺すときは手段を選ばず殺せ。」

「佑、焦らず平常心だ。」

「佑、必要最低限殺せ。」

「佑、お前は私の最高の弟子だ。誇れ。」

「佑……もしこの家に帰ってこなければ……私は死んだと思え。」

そして、遂に師匠は帰ってこなくなった。不思議と悲しみはなかった。殺し屋はいつ死んでもおかしくないものだった。しかも、元をばらさぬよう何も殘さない。無論葬儀なんてやらなかった。

でも、あのときもらった弾丸はお守りとして今も持っている。

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