《死神と呼ばれた殺し屋は異世界に》第20話 勇気と人格
何時間見ただろうか。この鉄格子を。
新井 勇気はすでに時間の覚を忘れてしまった。
「おい、飯だ。」
與えられたのは固い黒パンと量の水。このままでは栄養失調になることは目に見えている。なんでこんなことになってしまったのだろうか。
手は自由だが、足は足錠がかけられ、獄は不可能。
立つことすら困難を極める。這いずるように移して、固い黒パンを食べる。食べることも大変にじる。
なぜこんなことになってしまったのだろうか。
時は1ヶ月遡る。
◆◇◆
「ようこそ!ステラ帝國へ、勇者様!」
「「「「「「「「「はっ!?」」」」」」」」」」
いきなりの爺さんの言葉に、クラス全員が驚いた。
クラス全員でこれほど聲が揃ったことはあっただろうか。にしてもどうしてこんなところに?
佑と話して、教室へ戻ったら床がっていて。
で、ここはどこだ?どう見ても教室ではないな。
灰のレンガで建てられたような壁、育館より高い天井、そして、その天井に吊るされたシャンデリア。
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そして、今では見られないような甲冑姿の兵士や、
ドレスを著た達。これ、ラノベでよくある異世界召喚というやつか?
いや、あんなものフィクションに決まってる。
そうだ、宇宙人に他の星の星に転移されたんだ。
うん、苦しいし現実逃避は止めよう。
いやまずこの景が現実離れしているし、まだ宇宙人の方が信じられるのだが。
「あの、あなた達はどちら様ですか?」
クラス委員の日阪 綾乃ひさか あやのが最初に質問した。
「私から説明しよう。」
すると、王様らしき人が現れた。
「私はファリクス・ステラ。このステラ帝國の王だ。いきなりですまないが、諸君には勇者として魔王を倒してもらいたい。」
「は!?なんだよそれ!」
「倒せるわけないだろ。」
「馬鹿げたことを言うな!」
罵詈雑言があちこちから飛びう。
「私達を元の世界に帰してください!」
「殘念ながらそれは無理だ。」
俺達はその一言に言葉を失った。目の前が真っ暗になったような、目の前の道が崩れるようなそんな覚がこのを支配した。
「なぜ?」
「私達は大量の魔力と引き換えに君達を召喚した。
帰すためにはそれ以上の魔力が必要なのだ。だが、
魔王を倒したら帰すことを約束しよう。」
「でも私達に魔王なんて。」
「異世界から召喚された者はこの世界の者よりも強いと言われている。まずは君達のステータスを確認したい。」
「ステータス?」
「強さを表した數値のことだ。ステータスオープンと言えば現れる。」
「「「「「「ステータスオープン」」」」」」
すると、白いボードが現れた。俺はそのステータスに驚愕した。これは見なくても分かる。
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新井 勇気
・職業
・種族人間
・Lv.1
・HP 10/10
・MP 10/10
・攻撃力 10
・防力 10
・魔法攻撃力 10
・魔法防力 10
・素早さ 10
《魔法適》
《スキル》
・算 Lv.4
・料理 Lv.3
《EXスキル》
・言語理解
《稱號》
・異世界人
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全ステータス10、誰でも分かる。俺は弱い。
「なんだよ、そのステータス弱!」
後ろから誰かにすでに見られていたようだ。
「おーい、皆!新井のステータス見てみろよ!超弱いぜ!」
すると、皆は集まり俺のステータスはたくさんの人に見られた。
「弱!」
「ちょっとないわ~。」
「お前無能かよ!」
俺は、その場に立ち盡くすしかなかった。
気づけば俺は牢屋の中にいた。無能と判斷され、れられたというところか。
◆◇◆
なんで俺はこんなに弱い?頭の中がその言葉に溢れる。すると、ドアが開けられた。ここを管理する兵士
イラクンディアだ。
「おい、今日も頼むぜ。」
俺の腹を蹴り飛ばした。痛みが響き吐き気をじる。こいつは俺を玩みたいに扱い、憂さ晴らしの道にしている。サンドバッグ代わりだ。
毆られ蹴られ、1日に何度も何度も何度も何度も何度も、殺したい。
初めてじた、本気で殺そうと思った。しい。殺せる力、でも俺にはない。
神様は意地悪だ。理由を持たずに命を持たせて、運命なんて大層な名のレールを歩かせて、いくら逆らおうとしてもそのレールはとても大きくて気づいたら流れに戻ってる。
力を持たずにこの世界に來ることも決まっていた。んでもないのに、勝手に神様なんて大層な名をつけてもらった野郎に俺は苦しめられて。
「ふう、すっきりした。じゃあな。」
頬にが流れている。口からもが、何本か歯が抜けたか。痛い。
『痛い?』
痛い。
『あいつは敵?』
敵、いやこの國が敵だ。……久しぶりだな。こいつと話すの。何年ぶりか?俺の意識が吸い込まれそうだ。
『しもらうね。』
ああ、アフェクトゥス。そして、足錠を破壊した。
自由になった足で踏み出し、鉄格子を破壊する。
抜け出し、アフェクトゥスは走り出す。
すると、イラクンディアがいた。アフェクトゥスに気づき振り向く前にあいつの首を締める。
「うがっ、がっ!」
耳障りなき聲だな。こんな奴に苦しめられたのかと思うと、苛つく。俺に殺してほしいがそんな力はない。だから、アフェクトゥスに、俺のもう1つの人格に頼った。
俺は多重人格者だ。子供のころ、俺はそのせいで嫌われた。アフェクトゥスはその人格の1つ。圧倒的能力を持っているが、を持っていない。
だから俺のを頼りにいている。今、この國を敵と思っている。だからそのを頼りにアフェクトゥスはいている。
気づけばき聲は聞こえなくなっていた。死んだか。
そして、俺は階段を昇り地上に上がる。すると、城が見えた。
アフェクトゥスはそこに向かい走り出す。すると、城に門番が見えた。その門番の二人に腹パンをくらわせ気絶させる。門を破壊。
そして、突する。すると、クラスメイトに出會った。いや、どうでもいい。ただの敵だ。
「おいおい、無能がなんでこんなところにいるんだよ。」
「とりあえず、立場の違いってやつを教えておく?」
「そうだね。」
「とりあえず魔法の的なんてどう?」
「いいね。」
うるさいな。アフェクトゥスは何も言わず手を握りしめ、何人かを毆った。すると、皆は武や魔法を使いだした。
アフェクトゥスは近くにいるやつを蹴り飛ばし、
そいつがさらに何人か巻き込む。それを繰り返し全員を気絶させた。そして、剣を持ち王様がいる部屋へと向かう。
扉を破壊し、突する。何人かの兵士を剣で斬り殺し
驚いている王を剣で刺し殺した。
ドォーン!
刺し殺した次の瞬間、雷鳴が轟いた。俺を、いや俺を含む全人格の耳を貫いた。剣を引き抜く。気づいたらアフェクトゥスではなく俺になっていた。
すると、風が俺の顔をでる。その方向を見ると人が立っていた。俺は剣を構える。すると、その人は口を開いた。
「君が殺した?」
「ああ、あんたは?」
敵なら殺す。そう覚悟を決め睨み付ける。
「君と同じ、この國の王を殺すために來た人。」
「敵じゃ、ないのか。」
「當然!それよりも……」
「君を逃がしてあげる。」
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