《死神と呼ばれた殺し屋は異世界に》第26話 何で
「じゃあアルジェント、魔法頼む。」
「分かった。」
そして、アルジェントは詠唱を始めた。その間、俺はオークを足止めする。木から降り、目にも止まらないスピードでオークの頬に向かってパンチをする。
ブゴッ!
よし、これでヘイトは俺に完全に向いた。
「形狀フォルム・盾シールド・創造クリエイト」
できた盾を摑み、オークに向かい突進する。盾を使った理由は2つある。1つ目はどんな攻撃をするか分からないからだ。
すると、何かがぶつかった。見てみると、そこには無殘な姿の棒だったものを握っていた。……並大抵の強度の武なら防ぐどころか壊れるというこの盾の恐ろしさ。
恐らくパンチしたら腕の方を骨折してしまうだろう。
「ストームカッター」
俺は聲が聞こえた瞬間すぐさまその場を離れる。すると、舞い散る葉と共に吹いた突風はオークを真っ二つどころかその後ろにある木を何本も真っ二つに斬られ吹き飛ばされた。
これが盾を使った理由だ。アルジェントの魔法は強い。それこそ圧倒的に。俺は盾で巻き込まれることによるダメージを抑えることにした。
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しかし、今回は嵐魔法のため風圧によりそれなりに吹き飛ばされてしまった。
「ユウ……終わった。」
「……やりすぎだ。」
こんなにやってしまったんだ、魔石は、……完全に真っ二つだな。それに、木も斬られるどころか吹き飛ばされてる。折れたとかじゃなくごと吹き飛ばされてるんだ。
さて、それより助けないとな。オークの持っていた袋を開ける。中には茶髪でショートカットのがっていた。
「あ、ありがとうございます。」
「怪我は?」
「大丈夫です。」
「さて、アルジェント、転送とかできる?」
「馬鹿に……しないで。」
すると、詠唱を始めた。
「トランスファー」
すると、彼のの周りが青くり、消えた。
「転送させたわ、村長の家に。」
「了解。じゃ続けるか。」
◆◇◆
パンッ!
乾いた銃聲と共に俺はを撃ち殺した。もう遅かったから。彼はオークの子を籠ってしまったから。単純な理由だ。彼も死をんだ。
だからおみ通り撃つことにした。アルジェントは、そのことに対して、
「ユウに……任せる。」
そう言った。銃口を突きつけられた彼は怯えず、むしろ嬉しそうな笑顔で死んでいった。
……いずれ死ぬのが人間。いつからそのことを覚えたのだろうか。銃口を向け、引き金を引くだけで引く、生というものは簡単に死ぬ。
俺はし悔しかった。なぜ救えなかったと、しかし結局この考えに行き著く。
俺に救うことはできない。
俺ができることは殺すだけ。殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して……。今までたくさんの人の依頼を聞き殺してきた。
結局、全員を救うことなんてできない。誰かを助けると、誰かが不幸を被ることになる。正義のヒーロー、そんなものにんだことはもう無かった。
正義も悪も、この銃を見るたび何かを正當化するための道に過ぎないと思うからだ。なら、
「オークの集落を滅ぼそう。」
「どうして?」
「後悔したくないから。」
俺は、生きるために人を殺してきた。それに対して後悔していない。そんなものに後悔するのなら俺の心はすでに壊れているのだろう。
後悔は人の足を引っ張る。足枷となる。なら、後悔しない道を選ぶ。
◆◇◆
そして、俺達は近いオークを倒していきながら、集落へと向かった。今、俺達は森の中で集落を観察している。
「さて、どうやってあの集落を潰すかだが。」
「全部……燃やす?」
「ああ。」
さっきは反対していたが、今回は燃やした方が手っ取り早い。そもそも反対していた理由は人間を巻き込む可能があるからだ。
しかし、オーク達にとってというものは大切なもの。なら大切に保管しているはずだ。なら、一度燃やして一掃した方が速い。
「燃やしてそのあと消火それでお願い。」
「分かった。……我が火は炎へとり上がる。広き草原すら秒もらず、焦土へとり果てる。舞え!踴れ!本能のままに!その炎はやがて意思を持ち燃やし盡くすことに快楽を得よ!炎の謝祭フレイムカーニバル!」
いつもの姿からは思えぬように一瞬も迷わず詠唱を終えた。すると、集落のところどころから火が現れた。しずつその火は蠢き、這うように広がっていく。
すると、火と火は繋がりさらに大きくなる。さらに大きくなった火も繋がり、また大きな火となった。その火は大蛇のように集落を呑み込んでいく。
「アイシクル!」
次の詠唱も終えたらしい。すると、集落に向かい冷たい風が吹く。風は集落でぶつかりやがて、大地が凍っていく。火すら凍らせた氷はその集落の全てを凍らせた。
「さて行くか。形狀フォルム・AK-47・創造クリエイト」
AK-47、世界で最も使われた軍用銃と言われている。いつもは拳銃だが久しぶりに使おうと思う。恐らく何か逃げた奴もいるだろう。ならそいつらも殺す。
◆◇◆
集落は冷たい風がまだ吹いていた。気配察知で達がいるところは分かる。やがて窟のり口のようなところを見つけた。
中にると階段があり、そこを降りていく。
ブヒィィィィィ!
ブゴッ!
ブリィィィィ!
オークが何か現れた。そいつらをAK-47の火力で蜂の巣にする。
「形狀フォルム・弾倉マガジン・創造クリエイト」
リロードはこまめにしていき、弾切れしないように気を付ける。
ダダダダダダダダッッッッッッ!
結構オークもいるな。そして、死が腐敗した臭い。手遅れの奴もいるか。
そして、やっと全てのオークを殺した。あとは、
達は牢屋のようなところに囚われていた。
「1つ聞きたい。」
その言葉に皆はゆっくり顔を上げる。
「お前達は死にたいか?元の生活に戻りたいか?」
すると、意外なことに全員、
「「「「「「死にたい」」」」」」
そう言った。
「私達はもう元の生活には戻れない。なら死ぬ。」
覚悟が決まった顔だった。
「安心しろ。痛みが來る前に殺すから。」
一度深呼吸をして殺す。謝するような笑顔と飛び散る鮮が俺の網に焼き付いた。
◆◇◆
「ユウ……大丈夫?」
「……なぁアルジェント。」
「何?」
「先に魔石剝ぎ取ってくれないかな?」
「分かった。」
そして、アルジェントは階段を駆け上がった。視界からいなくなり、俺は、壁を叩き、
「何でだよ!何で苦しいんだよ!彼達は死をんだ!俺はそのみを葉えた!でも、何で苦しい!何で悔しい!何で悲しい!後悔したくなかった!このまま見過ごせば後悔した!ちゃんと向き合った!なのに何で辛い!何で何でだよ!全員救うことなんて無理ということはとっくのとうに気づいていた!幸と不幸はバランスがとれている!そして、それは崩せない!仕方がないことなんて気づいてる!分かってる!分かってるのに!なのに……何で……何でなんだよ……」
俺の呼吸は荒くなっていた。いつもの俺なら絶対に言わない。俺はこの世界に來てどうかしてしまったのだろうか。
俺は心の痛みを抱えながら階段の一段を上った。
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