《死神と呼ばれた殺し屋は異世界に》第35話 Aランク冒険者
「じゃあ、もう一度聞こう」
俺達は、ワイバーンの魔石の件について、ギルドマスターに呼び出されていた。
「これはなんだい?」
「ワイバーンの魔石です」
「どうやって手にれた?」
「倒しました」
「……普通はEランク冒険者に倒せるような魔じゃないんだが……」
「一生懸命攻撃しました」
「………買ったとかではなく?」
「倒しました」
「……普通はEランク冒険者に倒せるような魔じゃないんだが……」
「一生懸命攻撃しました」
「………買ったとかではなく?」
「倒しました」
「……普通はEランク冒険者に倒せるような魔じゃないんだが……」
「一生懸命攻撃しました」
「………本當に?」
「倒しました」
「……普通はEランク冒険者に倒せるような魔じゃないんだが……」
「一生懸命攻撃しました」
繰り返される質問と返答に、アルジェントはもはや何やってるの?と問いたいような顔をしている。
実際、俺もこの繰り返しに飽きてきている。何回繰り返せば良いんだろう。張とはまた違う空気がこの空間に流れていた。
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「…………」
すると、途中でギルドマスターは黙ってしまった。顔を俯かせ、何か考え事をしているようだ。
こっちとしてはさっさとランクを上げたいところなんだが、どうしたんだろう。
「……とりあえず、ヤガミ ユウ、アルジェント・クレアーレ、君達二人をAランク冒険者と認めよう……」
「「……え?」」
Aランク?Cランクじゃなくてか?何かの間違いじゃないのか?
「Cランクではなく?」
そう聞いたのはアルジェントだった。すると、ギルドマスターは困ったかのような顔をして、話し始めた。
「……本當は異例なんだが、ワイバーンはAランク上位の魔だ。オークキング、そして、コカトリスとワイバーンの連続狩猟、……こりゃAランク冒険者と認めざるを得ないからな」
……そこまでやらかしていたのか。
「とりあえずベルカント、ギルドカードをAランクに更新してくれ。」
「わ、分かりました。」
そして、俺達のギルドカードを渡すと、そそくさとこの部屋から出ていった。
「にしても、このスピードでAランクまでのぼったのは君達が初めてだよ」
「ありがとうございます」
「……ところで、君達は何者だい?」
「何者?」
「……いや、答えないのならいい。」
ガタッ
すると、ドアが開きベルカントさんが二枚のギルドカードを持ちながらってきた。
「更新、終了しました」
渡されたギルドカードは、薄い赤になっていた。EというアルファベットもAに変わっていた。
「さて、では報酬金ですが、クエストの報酬金は5000ギル、ゴブリンの魔石で12000ギル、コカトリスの魔石で5000ギル、ワイバーンの魔石で20000ギル、合計して42000ギルです」
すると、金貨4枚と銀貨20枚を渡された。
「大した金額じゃないな。」
俺は思わずそう呟いた。命を賭けてまでやる職業に対して安いのではないかと思ったからだ。すると、ギルドマスターがあたふたし始めた。
「いや、大した金額だぞ。」
「命賭けてまでやる職業ですが?」
「まず1日1萬稼げる職業なんてこの世界には冒険者以外となるとなかなかないぞ」
「……そうなると、宿に泊まるのって1泊でも大変じゃ」
「?安宿なら1泊銀貨3枚程度じゃないか」
「「え?」」
銀貨3枚?……じゃあ、俺達はその6倍の銀貨を奪われたってことか?
「とりあえず、今日はお疲れ、休んでくれ。」
それで、俺達はギルドマスターの部屋から出ることになった。
◆◇◆
歩いていると、売店の新聞に目がついた。新聞の見出しには、こう書かれていた。
『ステラ帝國、一晩で壊滅!』
その言葉が妙に気になった。俺は、その新聞を買い読み始めた。
『ステラ帝國は人間の大陸の中で、トップ5にるほどの國土と人口の繁栄した國だった。
しかし、その國はある日、たった一晩で王が殺された。
どうやら、ステラ帝國は裏にだが勇者召喚を功したという噂があるらしい。
もしや、そのことを危懼した魔族による…………』
まだ記事は続いたが、俺はそれよりも勇者召喚という言葉が気になった。俺達以外にも勇者として召喚された人がいるのか。
……勇気、元気にしてるかな?……會って、どうでもいい會話を久しぶりにわしてみたいな。
……いや、それよりもこの世界をどう生きるか、それが大切だな。
「ねぇ、ユウ」
すると、アルジェントは掲示板にってある1枚の紙を指していた。その紙を見るとこう書かれていた。
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ 
━ ━ ━
・冒険者決闘大會
・冒険者の一番を決める戦いに參加しないか?一番になった者には賞品とSSSランク冒険者の資格を渡そう。
・出場條件
・SSランク以下の冒険者
・パーティーを組む場合最大4人
・勝負方法
・トーナメント戦
・優勝賞金
・SSSランク冒険者
・黒金貨1枚
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
━ ━ ━
これは參加するか。俺がこの世界でどのくらい強いのか知りたいしな。
「アルジェント、參加するか?」
「うん」
俺達はいつの間にか笑顔になっていた。さて、場所は王都で1週間後か。じゃあ明日行くとして、今日の宿をとりに行くか。
叡知ウィズダム、近くの宿探して。
『分かりました』
……ここなら、裏路地を通ったほうが速いかな。
「じゃあアルジェント行くぞ」
「分かりました」
そして、裏路地を通ってしすると、聲が聞こえた。
「……」
「……、………!」
上手く聲が聞こえない。気づけば俺達は聲がするほうへ向かっていた。
◆◇◆
「ちっ、なんでこんだけしか稼いでねぇんだよ!」
「ごめんなさい!でも、これ以上はさすがに怪しまれるし、今もばれるの覚悟で」
「口答えすんじゃねぇ!」
「ごめんなさい!」
「いいか、親がいなくなったお前を拾ったのは俺だ。だが、これ以上稼げねぇならもうお前は見捨てるぞ」
「それだけはどうか!」
……なるほど、あの男に脅されて旅人を騙していたってところか。すると、アルジェントが俺の服を摑んだ。
「どうした?」
「あの子がかわいそうです」
「……どうしたい?」
「助けたいです」
「……分かった」
正直言って、俺はどっちでもいい。でも、アルジェントは助けたいと言った。だから助ける。すると、男が腕を振り上げた。
俺はその腕が彼に當たる前に摑んだ。
「な、なんなんだお前は!」
すると、その男が何者か分かった。
「お前、アロガンツか」
すると、腕をさらに強く摑んだ。
「子どもを使ってまで人を騙してお金を稼ぐとか、人間どうかしてるのか?」
「んだよ!騙されるほうが悪いんだろ!」
だめだ、こいつとしゃべると頭が悪くなりそうだ。俺はアロガンツの腕を折った。
「うぎゃぁぁぁぁぁっ!」
「これ以上この子に関わるなら、お前を殺す。」
し殺気を混ぜ言葉を発す。すると、アロガンツは何も言わずその場を慌てて去った。俺は振り返り手を出す。
「どうして助けたんですか?」
「彼に聞いてくれ」
俺が指した方向からアルジェントが現れた。
【書籍化】隻眼・隻腕・隻腳の魔術師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔術の探求をしたいだけなのに~
---------- 書籍化決定!第1巻【10月8日(土)】発売! TOブックス公式HP他にて予約受付中です。 詳しくは作者マイページから『活動報告』をご確認下さい。 ---------- 【あらすじ】 剣術や弓術が重要視されるシルベ村に住む主人公エインズは、ただ一人魔法の可能性に心を惹かれていた。しかしシルベ村には魔法に関する豊富な知識や文化がなく、「こんな魔法があったらいいのに」と想像する毎日だった。 そんな中、シルベ村を襲撃される。その時に初めて見た敵の『魔法』は、自らの上に崩れ落ちる瓦礫の中でエインズを魅了し、心を奪った。焼野原にされたシルベ村から、隣のタス村の住民にただ一人の生き殘りとして救い出された。瓦礫から引き上げられたエインズは右腕に左腳を失い、加えて右目も失明してしまっていた。しかし身體欠陥を持ったエインズの興味関心は魔法だけだった。 タス村で2年過ごした時、村である事件が起き魔獣が跋扈する森に入ることとなった。そんな森の中でエインズの知らない魔術的要素を多く含んだ小屋を見つける。事件を無事解決し、小屋で魔術の探求を初めて2000年。魔術の探求に行き詰まり、外の世界に觸れるため森を出ると、魔神として崇められる存在になっていた。そんなことに気づかずエインズは自分の好きなままに外の世界で魔術の探求に勤しむのであった。 2021.12.22現在 月間総合ランキング2位 2021.12.24現在 月間総合ランキング1位
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