《死神と呼ばれた殺し屋は異世界に》第37話 エントリー
「ん」
 
春のそよ風のようなものが俺の頬をでた。
どうやら眠ってしまったようだ。そうだ、マグナベアーを倒して疲れたから眠ったんだ。
馬車は花畑と草原に囲まれた道を走っていた。すると、また風が吹いた。その風が窓の外から花びらを運んできた。
「お客さん、そろそろ著きますよ~」
すると、皆が次々と起き始めた。そして、そうしていく間にもしずつ國に近づいていった。
やがて街の門を通り、停留所へとついた。馬車の場合、分証がないと乗れないため國審査などの必要はない。
「じゃあ、次はギルドに行くか」
「僕達もついていってもいいか?」
「もちろん、アルジェントも」
「ユウがいいならそれに従います」
「じゃあ一緒に行くか」
そして、俺達は一緒にギルドに向かうことにした。
◆◇◆
「でっか」
思わず聲が出てしまった。それもそうだ、この前の街のギルドは店くらいの大きさだったのに王都のギルドはもう3階ほどある建だ。
とりあえず、ここでシンプ達とは別れることになった。シンプ達は先に宿をとってからエントリーするらしい。
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エントリーは王都のギルドに申請すればエントリーできる。ということで俺達はギルドのドアを開けた。
裝は茶を基調としていて、素樸なじだった。四角いテーブルが何卓も置いていて冒険者がそこに座りご馳走を食べている。
さて、エントリーはカウンターですればいいらしいから俺はそこへと向かう。
すると、何人かの大柄で屈強な冒険者が現れた。まぁテンプレだな。
「おい、隣の置いて失せな」
アルジェントはほとんどの人が人と言うだろう。正直言って、殺し屋をやってきたような俺とは釣り合わないくらいにな。
「そっちの嬢ちゃん、こんなガキより俺達のほうが気持ちよくできるぜ」
「何でも教えてやるよ」
「……はぁ」
すると、アルジェントはため息をついて冒険者のほうを見た。決意を固めた眼差しで
「失せるのはそちらのほうです」
と言い放った。
「おいおい、めっちゃ聲綺麗だな」
「そういう強なのほうが俺は好みだぜ」
「いいからこっちへ來いよ」
多分こいつらには何言っても退くとは思えないな。すると、冒険者の一人がアルジェントに手をばしてきた。
俺はアルジェントの前に手を出し、ばしてきた手を遮った。
「なんだよ、ガキはさっさと失せろよ」
「失せるのはそっちのほうだろ?ゴブリンども」
「「「…………」」」
すると、ギルド全が夜のように靜かになった。さっきまでそこのテーブルで宴會騒ぎのようにうるさかった冒険者達も、隠れて愚癡っていた付嬢達も。
……殺し屋で聴力は鍛えていたから結構聞こえるんだよな。
「生意気言いやがって」
「ただで済ますと思うなよ」
まあそうはなるよな。ゴブリンは知が低い魔として有名だ。つまり俺はこいつらにストレートに馬鹿と伝えたわけだ。
とはいえ、アルジェントを置いて失せなとか馬鹿なことを言ったんだ、馬鹿と言って何が悪い?まぁこいつらには
「立場ってやつを教えてやるよ」
立場ってやつを教えてやるよ。ってまさかここで考えが被るとはな。すると、拳で毆ろうとしてきたが、その腕を摑み折る。
「ウワァァァ!」
もう一人が後ろからきた。後ろに振り返りながら顔面を蹴り飛ばす。そのはボールのように吹っ飛び、壁にめり込んでいた。
「グヘッ!」
鼻が潰れ、顔が涙や鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。すると、もう一人の男が座り込んでいた。
「ひっ!」
すると、「助けてくれ~!」とへっぴり腰になりながら逃げていった。別に追いかける意味はないし逃がしておく。
そして、俺達はカウンターに向かった。
「ひっ!」
すると、付嬢も怖がっていた。しやり過ぎたな。
「別に危害を加えるつもりはありません。ただ、冒険者決闘大會にエントリーしたいのですが」
「へ?」
すると、今度は安堵したかのような顔で俺達を見た。
「え、えっと、エントリーですか?」
「はい、あれ?ここではありませんでしたか?」
「い、いえ、ここで大丈夫です。それよりも……さっき、どうやって蹴りで吹き飛ばしたんですか?」
「?いえ、普通に蹴っただけですけど」
(((((それは普通じゃねぇよ!)))))
この時、ギルドにいる二人以外の全員の心の聲が合わさった。
「え、えっとではギルドカードのほうを」
そして、俺達はギルドカードをカウンターに出し、付嬢はエントリーの手続きを始めた。
すると、また何人かの冒険者が俺達に近づいてきた。俺は構えると急に全員が土下座をしてきた。
「「「「俺達を弟子にしてください!」」」」
「「はぁ!?」」
今度は俺達の聲のほうが揃った。
「いや、弟子って、え?何これドッキリか何か?」
いきなりの土下座及び弟子になりたいという衝撃発言に発言がしどろもどろになる。
「師匠!俺達は師匠の強さに驚きました!どうか、俺達を弟子にしてください!頼みます!」
いや、もう師匠呼びしちゃってんじゃん。何が何でも弟子にしてもらう気まんまんじゃん。うん、ここはやっぱり。
「お斷りします」
斷る。
「な、なんでですか!?」
「弟子をとる気がないし第一面倒くさい」
そもそも教えられる気がしない。言っちゃうとなんだが、俺の強さはいころから育ててきた殺し屋のスキルが起因しているからな。
そう簡単に教えるとなっても相當な時間がかかるからな、大人に教えることは時には子どもよりも難しい。
覚がに染み込んでいるからな。子どもは吸収が速いが、大人はに染み込んだ覚が吸収の邪魔になる。
そもそも、人に殺す技なんてあまり覚えさせたくないしな。
「ほら戻った戻った」
そして、彼らは殘念そうに項垂れながらとぼとぼ去っていった。その上何回か振り向いてアピールしてるつもりなんだろうが何回言われても弟子をとるつもりはないからな。
「エントリー登録終了しました」
そして、ギルドカードは返され、俺達は宿をとりにギルドから出た。
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