《死ねば死ぬほど最強に?〜それは死ねってことですか?〜》第13話〜覚悟〜

朝日に照らされ、司が目を覚ます。あれ? 朝? どうしてベットにいるんだ? 昨日って確か森山に魔法を打たれて、されから……思い出せない。司は記憶がないことに頭を悩ませる。

ベットから出ようとすると、自分のものではない布団の膨らみがあることに気が付く。ん? 司が恐る恐る布団をめくると、そこには花音が寢間著姿で眠っていた。え!? これってまさかそういうことなのか!? でも………服著てるから大丈夫なはずだ! 司があたふたしていると、花音が目を覚ます。

「司? 司なの?」

「あたりまえだろ」

「よっかた。よかったよ。本當によかった。もしかしたら、もう起きないのかなって」

涙を流しながら花音が抱き著いてくる。司は何がどうなっているのか全く分からなかったが、花音を抱きしめる。あれ? なんかデジャブだな。そう思いながら、司は花音に質問する。

「何があったんだ? そんなに喜んで。ただ起きただけなのに」

「覚えてないの?」

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「何がだ?」

花音は何かを知っているような口ぶりだが、司には全く覚えがない。

「いや、覚えてないならいいと思う。それより、目が覚めて本當によかった」

なぜか質問には答えてもらえなかったが、花音の反応からしてそういうことではないらしい。初験の記憶がないなんていう殘酷なことではなさそうだ。本當によかった。司はで下ろす。

ベットから立ち上がろうとするが、が異様なぐらい重い。司はよろけて転倒しそうになる。

「大丈夫? まだ無理しないほうがいいよ」

「ありがと。でも、もう大丈夫だから」

花音が支えになってくれてどうにか転倒せずに済んだ。だが、本當に異常だ。が思うようにかない。たった一日で何があったんだ? 花音が部屋にいるのもだし、のだるさも。次々疑問が浮かぶ。たった一日のことだから、そんなに大きいことではないと思うけど。

花音が知らなくていいって言うんだら大丈夫か。疑問を抑え込み、顔を洗いに洗面所に向かう。途中で、この國の時計が目にる。それを見て司のきが止まる。その時計に表記してある日にちが、一週間後のものだった。故障かな? 司は軽く流そうとしたが、花音の言葉が頭をよぎる。

(もしかしたら、もう起きないのかと思って)

あれは一週間も目覚めなかったからこその言葉なのか? 司の頭は目まぐるしく回転する。考えても考えてもわけがわからなくなる。司は正直に花音に聞くことにした。

部屋に戻ると、ちょうど花音が著替えを行っていた。

「ごめん!」

司はさっと後ろに向く。どうして花音がこの部屋で著替えてるんだ! 全く理解できない。

「別に気にしなくていいよ。昔は一緒にお風呂とかってたじゃん」

「そういうわけにはいかないよ」

ひとまず、洗面所に戻り。花音が著替え終わるのを待つことにする。

「終わったよ」

花音の聲がしたので、洗面所から部屋に戻る。そこで、花音に真実を聞く。なぜ部屋で著替えているのか。どうして布団にっていたのか。時計の日にちが一週間たっていたこと。のだるさ。疑問に思ったことをすべて伝えた。

「それは…………司が急に倒れたんだよ。それで部屋に運んで看病してたんだ。だから著替えもこの部屋でしてた。布団にってたのは看病の途中で寢ちゃったんだ」

「そうなんだ。ありがとう!」

「うん。じゃあ私は部屋に戻るから。國の人には目が覚めたって伝えとくから、司はしっかり休んでね!」

花音が部屋を出て行った。花音が學校で何か勘付いていたように、司にも花音の噓がわかることがある。司も花音と長い付き合いだ。花音は本當のことを言っていない。

訓練の時間になったのを確認し、司は部屋をでた。目的地は騎士団長であるアインの部屋。アインは訓練に參加せず、その時間は部屋にいるらしい。だから行く。自分に何があったか、真実を知るために。騎士団長であるアインなら、何か知っていっるだろうと思うから。

コンコンコン

っていいぞ」

ノックの後、聲がしたので部屋にる。アインは司が來たことに驚いていなかった。

「そろそろくる頃だと思ってたよ。真実を知りたいんだろう。自分に何が起きたのか、なぜ一週間も眠っていたのか」

「はい!」

「東條さんからは倒れたことにしといてくれと、さっき言われたんだ。それは君のことを思ってのことだよ。真実を聞けば君は後悔するかもしれない。いや、必ず聞いたことを後悔する。必ずだ」

アインは斷言する。

「それは君を深く傷つける。君はそれに耐えられるのか? それに耐えられるだけの覚悟があるのか!」

「覚悟はできています」

「ならいいだろう。後悔するなよ。君は…………」

司は真実を知った。それは自が考えていたことより遙かに重く、つらいものだった。聞くんじゃなかった。司は自分の部屋で泣きながら、覚悟の甘さを呪った。

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