《死ねば死ぬほど最強に?〜それは死ねってことですか?〜》第20話〜反撃〜
「何が起こった! さっき死んだはず」
ほんの十秒前に死んだはずの司が復活したことに騎士団も驚きを隠せない。
「これで洗脳は解けたのか?」
「だから洗脳なんてけていませんよ」
司はあきれた表で騎士団に返答した。
「じゃあなぜ魔を守ろうとする!」
騎士団の質問に司は黙り込んでしまう。こんなところで見捨てるような奴が花音なんて守れない。本當にそれだけなのか。なぜ守りたいと思ったのか、もっと本の話。司はハッとして口を開く。
「ただ守りたかったからですよ。知り合った人が、友人が、その家族が、襲われそうなのに逃げるなんて人間のやることじゃない。ただそれだけです」
司の発言に、バルクもあきれた表で返す。
「洗脳とかではなく本當に頭が壊れているらしいな。魔を人として考えているようだ。お前はもう人間ではない。そこに倒れている魔と同じだ。殺せ!」
騎士団の一人が司に斬りかかる。司は違和をじていた。斬りかかってくる速度が異様なぐらい遅いのだ。スローとまではいかないが平気で避けることができる。
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その後、三人の連撃に加え魔法も司に襲い掛かるが、司はことごとく攻撃を回避する。今までの自分ではないようにが軽い。まるで別人のようだ。
「攻撃の手を休めるな。こいつは化けになって生まれ変わったんだ。人間の姿の魔だ!」
バルクの指令でさらに攻撃が苛烈になる。相手の攻撃は避けられる。だが、反撃の隙がない。このままでは結局ルギスさんの二の舞だ。何か、何か手はないのか。司は頭を巡らせる。
「今のうちにこいつを始末する。化けには手を休めず連続攻撃をしておけ!」
數人がルギスの方に移する。その景を、司は見逃していなかった。この先何が起きるのか理解できる。そんなことはさせない!
「おい魔。あれを見てみろよ! やっぱりこの騎士団の連攜は最強だ。あの化けでさえ突破できない。人數と連攜こそ最大の武だ」
「司君。もう僕はいいから逃げてくれ! 君一人なら普通に逃げ切れる。このままでも時間の無駄だ。君が助けに來てくれたこと、絶対に忘れないから!」
ルギスさんが危ない。もっともっともっと力を! あの集団を越え、ルギスさんを救えるだけの力を俺に!
「本當に仲間ってやつか? バカバカしい。魔が人間の真似事をしやがって」
バルクが、倒れているルギスに剣を振りかざした。
「すぐにあの化けもそっちに送ってやる。待ってろよ」
バキッ
刃の中間ぐらいから亀裂が広がっていき、刃の部分が崩れ落ちる。バルクは瞬時で何が起きたのか理解する。バルクの目の前にいる化け。その手によって剣は砕かれたのだ。
「化けが!」
バルクの目の前にいる化けは赤く発していた。あの魔が最後にした悪あがきのように、目もも赤く発している。
「気をつけろ! こいつはさっきの魔と同じ力を使うぞ。防に専念して反撃の機會まで待て」
間に合った。司も何が起きたか理解できていなかった。だが、徐々に理解していく。このからあふれ出てくるとパワー。自分がルギスさんを助けに來た時に見たと同じ、赤い。これならやれる!
司は一瞬で移して騎士団員の頭を摑み持ち上げる。このまま頭を潰そうと思ったが、人を殺すという罪悪が司の手を止めていた。ここで殺せばあいつらと一緒だ。
「お前たちでは今の俺には勝てない。さっさと立ち去れ」
「何を言っている。その力は時間制限つきだろ? 下手な脅しはやめてくれ」
「そうか?」
司は手を放す。それと同時に全力で移を始める。集中すると、あたりがスローモーションでいているようだ。相手に認識できない速度で剣と持ち手を狙って攻撃する。騎士団は司のきを注視していた。なのに、気が付けば消え、気が付けば元の位置にいた。反応することすらでてきなかった。そして、痛みと剣が砕けていく音が襲ってくる。
「バカな。さっきの魔より遙かに強いぞ」
「これで分かったな。俺の気が変わらないうちに逃げろよ」
「撤退だ! 戦闘は無しで逃げることだけに集中しろ!」
バルクの一聲で騎士団が撤退を始める。今自分達が敵対しているものの恐ろしさに気が付いたかのように。
「ルギスさんけますか? あれ?」
司がルギスに近づこうとした瞬間、から力が抜けて地面に倒れこむ。どうやら時間制限とやらがきたらしい。司は強烈な疲労に襲われ、意識を手放す。幸いここに人はいない………そう思いたかった。
「仇……死……ね!」
「クソ! がけば! 逃げれるのに司君」
ルギスが襲った一人に、まだし息があったのだ。ゆらゆらとルギスに近づき、剣を振り下ろす。
スパッ
首が吹き飛び大量の飛沫が上がり、周囲がの海となる。地面に落ちた首はルギスの首ではなく、騎士団員の首だった。ルギスにも何が何だかわからなかった。急に首が吹き飛んだのだ。
「貴族の人たちに報告だね」
「そうだな。本當の不死が現れたってね」
黒いローブの二人組は森を抜けていく。片方の手にはだらけの刀が握られていた。
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