司は眠りから目覚める。その目覚めはすっきりとしたもので、司の目には迷いがなくなっていた。を起こしてベットから降り、扉を開けて外に出る。そこは見たことのない場所だった。

「すごい！」

司の口から率直な想がれる。司の目にってきたのは、一面の湖と大きな滝だった。

「そうじゃろう。ここは本當に景がきれいなんじゃ」

「本當にきれいですね」

「そういってくれて嬉しいよ。モンブラン君？　だったかな？」

オルドと司の會話に混ざってきたのは、見たことのないサイクロプスだった。そして、そのサイクロプスからでる異様な力も、司はじ取っていた。

「この方は？」

「まだ紹介してなかったね。こいつは儂の甥にあたる、バルクという。そして、サイクロプスという種族の頂點である王だ」

「え？」

「ゴブリンでいう王がナーナ？　なら、サイクロプスでいう王はバルクだ。今はその村に急遽お邪魔さしてもらっとるというわけじゃ」

「なる………ほど」

司はどうにか納得する。しかしまだ信じられるはずがない。一種族の王が目の前にいるのだ。ナーナと違い、外見などは全く変わりがないのも信じられない要因だった。

「よろしくなモンブラン君。君は叔父と従弟だけでなく、わが種族の命をたくさん救ってくれた。本當に謝している。ありがとう！」

「當然のことをしただけです」

「そうか。人間もやっぱり捨てたもんじゃないな！　ハッハッハ」

「しばらく二人で話してみるといい。儂はテウスの様子をみにいってくるぞ」

そういうと、オルドは別の建の方に歩いて行った。

「君には本當に謝してもしきれないよ。サイクロプスの王として、本當に頭が上がらない」

「失禮なんですけど、王とかってどうやって見分けるんですか？　ゴブリンと違って外見にも変化がないし、王と言われてもちょっと信じがたいんですが」

「ハッハッハ！　それはそうだな。一瞬だが本気を見せてあげよう。危険だからしたくはないんだが、今回は特別だ！　し離れていてくれ」

司がし離れて見ていると、バルクの雰囲気が変わる。

次の瞬間、赤黒いオーラがバルクの周りに現れる。それと同時に、司ですら立っているのがやっとの風が発生する。さらに赤黒いオーラが度を増していき、バルクが空に向けて咆哮をする。

「これが王。納得です」

咆哮の瞬間、司は自分の心臓がにぎられているような。いつ潰されてもおかしくないような覚に襲われていた。王は王でもここまで違うのかと、種族の違いを実した司であった。

「これが王の力だ。しは信じてもらえたかな？」

「十分ですよ。ありがとうございます」

そうして、新たな村での生活が始まるはずだった。あの咆哮さえなければ。司が王かどうか確認しなければ。バルクがそれにこたえなければ。そうなることはなかった。

「何だ？　結構強そうな奴がいるな。ちょうど暇だし遊びに行くか」

そうして、それは司たちの目に降り立った。