《死ねば死ぬほど最強に?〜それは死ねってことですか?〜》第34話〜決斷〜

「お目覚めですか?」

司が目を覚ますと同意に、隣から聲をかけられる。そこには、メイド服をきたのヴァンパイアがたっていた。

「ここはどこですか?」

「ここは我々ヴァンパイアの城です。すぐに神祖様を呼びますので待っていてください」

なぜヴァンパイアの城にいるかんなてわからない。分かるのは、魔王に敗北したことだけだった。

メイド服のヴァンパイアが出て行ったことで、司は一人になる。ゆっくりと、自分が何をすべきか、何をしなければいけないかを考える。

答えはもう出ていたな。ただ純粋に力を求める! それだけだ。

「目覚めましたか」

扉を開けてってきた神祖は、全てをひきつけるような魅力を兼ね備えていた。

「…………」

その姿に司も一瞬言葉を失う。

「どうかしましたか? 心はもう大丈夫ですよね?」

「なんでもありません。俺はなぜこんな場所にいるんですか?」

「あの時のことは覚えてないんですね」

「そうだ! バルクさんは! サイクロプスの皆は!」

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司は自分のことばかりで忘れていた。魔王に敗北したあとのことを。

「皆さん無事ですよ。安心してください」

「そうですか。よかった」

本來なら見ず知らずの人の言葉なんて信用できないだろう。だが、なぜか信用できてしまう。この人は真実を言っている。司は無意識のうちにそう思うのだった。

「なぜ俺はここに? どうして皆を助けてくれたんですか?」

「まずは自己紹介でもしましょうか。私はこのヴァンパイア族の神祖、アイネルです。よろしくね、モンブラン君。いや、藤井司君かな?」

「え?」

自分の本名を知っている。その事実に、間抜けな聲を出してしまう。

「警戒しないでください。我らの王になる方なのでし調べさせてもらっただけですよ」

「どこで名前を知ったんですか?」

「我らヴァンパイアは様々な國に潛しているものがいます。ただそれだけですよ」

「インテグラル王國は今どうなっているんですか?」

今まで気にせずにしてきたことが、不意に口から出てしまう。

「召喚された人間たちは日々強くなっているようですね。貴方はあの國では失蹤したことになっています」

「そうですか。花音は?」

司が一番聞きたかったこと。それを知ることができる。

「花音ですか? 全員の名前までは調べていないので、後で話しておきましょう」

「そうですか」

期待していた答えは返ってこなかったが、いつか知ることができる現狀に司は喜びをじていた。

「特別な方ですか?」

「そうですね。この世界の何よりも、大切な存在です」

「それはいい。そのためにも我らの王になっていただきたいのです」

「王? アイネルさんが王ではないのですか?」

「私は神祖。ヴァンパイアの祖ではありますが、王ではないのです」

「そうなんですか。それでも、王になるというのは理解できません」

司は理解が追い付かない。それは當たり前だ。王というのは一種族に一だけ、にもかかわらずヴァンパイアの王になれというのだ。

「すこし、昔話をさせてください。私は遙か昔より存在しています。神祖は神祖ですが、正確には第五神祖なのです。先代は全員亡くなられました。その先祖からの言い伝えがあります。我らの種族の王は不死のものなり。不死こそが、世界を統べる。と」

「それが俺なんですか?」

「そういうことですね」

「王になって何をさせたいんですか? 世界征服ですか?」

「そんなことはありません。ただただ、王になってほしいのです。この長すぎる世界の中で、先祖の言い伝えを実現させること。それだけが生きがいなのです」

「王になれば力が手にりますか?」

司が一番気にすること。自分の目標に到達するための手段となるかどうか。

「もちろんです。王という個は、強いから王なのではなく、王だから強いのです。ステータスも上がると思いますし、王になれば我らヴァンパイア族全員が忠誠を誓います」

「分かりました。王になりましょう」

「え? そんなに早く決斷していいのですか?」

司の返答の速さに、アイネルも間抜けな聲をだしてしまう。

「構いません。力が手にるのなら、手段は選びませんので」

「ありがとうございます。では、すぐに儀式の準備に取り掛かります」

數時間後、司が向かった部屋は、禮拝堂のような、結婚式場のような場所だった。道を囲うように跪くヴァンパイアの先には、アイネルが一人立っている。

ウソだろ? 王になるってそういうことなのか?

「さあ、こちらに來てください」

アイネルの言葉で、司はアイネルの正面に移する。

「それでは、儀式を始めます」

こんなことになるとは思ってなかったな。だが、力が手にるならどうだっていい! なんだってやってやる。

「司君。私のうなじに噛みついて、を吸ってください。それだけで儀式は終了です」

「え?」

普通の人間なら、絶対にそんなこと言われても噛みつくことはないだろう。だが、司は違った。長い髪をあげて現れたアイネルのうなじに、噛みつきたくて仕方がない衝に駆られていたのだ。

司はというより、アイネルの魅力にこそ問題があるのだろう。

「どうぞ」

「いただきます」

カプッ

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