「何を言ってるんだ？」

ターレンは首をかしげて司の顔を見る？

「死ね」

言葉と共に、狂気にも似た絶対的な殺意が司から解放される。それは禍々しく、世界中に轟く。それは魔王となった司からの、世界へのメッセージとなる。

俺の邪魔をする奴は誰であろうと殺す！

それをじ取ったのは魔王ぐらいだろう。普通の人間や魔は、押し寄せる悪寒にただを震わせることしかできていなかった。

「こいつヤバい！　一時撤退だ！　おい！　何をしているお前たち！」

ターレンの言葉に、他の三人は返答しない。三人とも抜け殻のように虛ろな目をしている。

「さっきの殺意に當てられたか。クソッ！」

ターレンが移を開始しようとしたとき、腹部に異常なまでの違和が襲い掛かる。ターレンの腹部には腕一本分の風が空いていた。

「回復ヒール」

瞬時に回復魔法を使い腹部のを塞ぐ。と同時に、次は右腕がなくなっていた。その間、司は一歩も移していない。いや、ターレンの目では移を認識することすらできない。速すぎるのだ。

「後悔するぞ！　ベラ様はお前より何倍も強い！」

「黙れ」

両腕を消飛ばされ、ターレンは地面に膝から崩れ落ちる。

ターレンは瞬きなどしていない。だが、いつの間にか仲間の三人が司の頭上に移していた。頭が一直線になるようになっており、司の一刺しで三人の頭を貫通する。まるで串団子のように。

魔王の配下であるターレンですら、その景には恐怖をじていた。

司は一瞬ではるか上空に移する。そして、國全を覆うぐらいの巨大な魔法陣を発生させた。

その間にターレンは逃げたりしない。無駄だ。強者だからこそ分かっている。こいつからは逃げられない。

「眠れ」

ターレンの頭上から無數の赤い雨が降り注ぐ。いや違う。赤い槍だ。それは當たったものをへと変換していく。生だけではない。家屋や、木々までもが変換されていく。

「ベラ様！　萬歳！」

ターレンや、國のものすべてがに変換され、クレータの中央に集まる。

降りてきた司は、でできた池にゆっくりとっていく。浮力にを任せ、でできた池に浮かぶ。

ああ、虛しい。悲しい。

やはり、司に出てくのはそのだけだった。

司は全てのを吸収し、空を見上げる。

今度こそ帰ろう。皆の待つところに。花音のいるところに。

「勧の件ですが、どうやら斷られたようですね」

「そうね。四人の力もじなくなった。殺されてしまったのね。かわいそうに。いつか必ず殺しに行くわ。新しい魔王さん」