司はヴァンパイアの城に到著する。

城の大広間にった瞬間、目の前にあった景に司は言葉を失う。

「「「おかえりなさい。王よ」」」

ヴァンパイアとサイクロプス、全ての魔が中央の道に向かって跪いていた。形式的なものなのかどうか、司は理解が追い付かない。なので、普段通りでいくことにした。

「ああ、ただいま。皆」

「この度は魔王セイヤの討伐おめでとうございます」

口を開いたのはバルクだった。

「うん。ありがとう。あと、そういう堅苦しいのは嫌いなんです。もっといつも通りでいいですよ」

「やっぱりそうか。そういうと思っていたよ！」

バルクは笑いだして跪くのをやめる。

「いや～魔王になったら格も変わるって噂だったからな、舐めた態度とったら殺されるかと思ってひやひやしてたんだよ」

「なるほど」

「モンブラン君はは魔王になっても変わらないな。変わったのは見た目だけか。今日は祭りだ！　ハッハッハ」

そうだ！　司は壁にある巨大な鏡を目にする。そこには今までの自分とは打って変わった自分の姿があった。

完全にヴァンパイア。翼もあるって、本格的にヤバイ気がする。

賑やかに解散していったサイクロプスとは違い、ヴァンパイア一族はまだ跪いていた。

「あの、アイネルさん。俺ってそういうの嫌いなんですけど」

「いえ、気にしないでください。魔王となり、さらにヴァンパイアに近づかれた貴方様に、顔を上げるなんて不敬ですので」

「なら、跪かれて顔を下げている方が僕にとっては不快なのでやめてもらえますか？」

司から不快という言葉が出た瞬間、全てのヴァンパイアが立ち上がり顔を上げる。

「堅苦しいのも不快なんでやめてくださいね。今までみたいなじでいいですから」

「「分かりました！」」

そう言ってヴァンパイアたちも大広間から出て行った。

「では、報告を行います」

アイネルに言われ會議室にると、バルクやルギス、オルドにヴァンパイアの幹部がすでに待っていた。

「まず、生き殘っていた司君の仲間は十一人だ。回復魔法をかけて、全員部屋で眠っている。あれだけの慘劇があったんだ。ストレスやなにやらで目を覚ますのが遅い人も出てくるとは思う」

「そうですか。花音は？」

「ぐっすり眠っているよ。運んでいる最中にずっと司、司って名前を呼んでたぜ」

「無事ならよかったです」

ルギスの報告に、司はサッとをで下ろす。ここで何かあれば、全てが水の泡だ。本當に良かった。

「散開した魔王セイヤ配下の魔ですが、全て殺すことに功しています。こちらの損害はゼロですので安心して下さい」

「さすがですね」

アイネルの報告に、司は素直に稱賛をする。

戦意がなくても関係ない。花音の剣を向けたんだ。生きていられるはずがない。

「皆！　聞いてほしい！」

一通りの報告が終わり、司が全員に聲をかける。

「俺は國を作ろうと思います。全ての種族が仲良くできる國。人間や魔なんて関係ない。ヴァンパイアやサイクロプスだけじゃない。全ての生が、より良い関係で暮らすことができる國。それを目指す。協力してくれますか？」

「「はい！！」」

全員が即答する。

「あと、いちいち確認を取らなくても、王の言うことは皆聞くので安心してくださいね」

「そうですか。ありがとうございます」

司は、司たちは新たな目標に向かって歩き始める。

全ての生が幸せになれる國。

平和を象徴する國を作る。これがセイヤさんから頼まれた、願いの第一歩だと思うから。