《死ねば死ぬほど最強に?〜それは死ねってことですか?〜》第72話〜標的〜

司達は自らの城に戻っていた。

「今日は宴にしましょう」

「誤解が解けた祝いの日です」

ミナ王國との誤解が解けたことを伝えると、みんなが喜びの言葉を口にした。

歓喜に包まれる広間を後にして、司は部屋にりベッドで眠りにつく。

トントンッ

數時間後、ノックの音で司は目を覚ます。

しお話しできますか?」

優しい聲。何かに包まれるような包容力のある聲。こんな聲を持つのはアイネル意外にはいないだろう。

「どうぞ」

司の聲と同時にアイネルが扉を開ける。

「どうかしましたか?」

「それは私の言葉ですよ? 返ってから、あまり元気がないようですから」

「そんなことないですよ」

「本當ですか? 私にはそのようには見えませんが」

「実は・・・」

司は何が起こったのか、ゆっくりと語っていく。

「それは、辛かったですね」

「いえ、辛くはないですよ」

司はアイネルの言葉をとっさに否定してしまう。

「なぜ否定するのですか?」

「それは・・・」

アイネルは司に近づき、そっと抱きしめる。

「辛いことは辛いのです。誤魔化す必要もありません。この國の者は、気丈なあなたをんでいるわけではないでしょう」

司の目からは涙が流れていた。

「俺は・・・」

「辛いなら、泣けばいいのです。ため込む必要もありません」

「俺がもっと早く行していれば」

司はしばらく泣き続けた。

「すいません。恥ずかしいところを見せました」

司は涙を止めて立ち上がる。その目には、強い信念が宿っていた。

「構いませんよ。恥かしがることもありません」

「ありがとうございます」

アイネルは扉の方へ歩いていく。

「さあ、宴も始まる頃でしょう。この宴で、しでも元気を取り戻してください」

「そうですね」

「皆も司くんのことを心配しています。だから、宴と騒ぎ出したのでしょう」

「そうだったんですか」

「皆、司くんが心配で心配でしょうがないんです。でも、気丈に振舞う必要もありません。司君は司君らしく、やりたいことをなせば良いのです。泣きたいときは泣いて、怒りたい時は怒ってください」

司は自分が想像以上に想われていることに喜び、再び涙を流した。

アイネルはそっと扉をしめて部屋から離れていく。

「「「乾杯だ!」」」

宴は予定通り行われた。人間と魔が笑いあい、王國は大いに盛り上がった。

司は自室に戻り、そっと目を閉じる。

そして、ゆっくりと口を開ける。

「掌握の王ベラ・・・必ず滅ぼす」

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