《死ねば死ぬほど最強に?〜それは死ねってことですか?〜》第80話〜我儘〜

「行かせない」

アイネル達の危険を察知した司は、すぐにでも救援に向かおうとするがニアスに阻まれる。

「今は俺と戦っているんだ。よそ見はよくない」

「どけ」

「あの程度でやられるほどヴァンパイアも弱くはない。それより、本気でやらないとお前が死ぬことになるぞ」

一瞬でニアスの姿が消える。現れた時には中が斬られていた。それは、司がけたことのある技に似ていた。だが、反応できなかった。

すぎるな。全細切れにするはずだったんだが、骨すら到達できていない。だが、この程度で目が追いついていないとは。拍子抜けだな」

司は自分で首を切り落とす。

「ほう。ここからが本気というわけか」

「鬼人化」

瞬時に再生した司は鬼人化を発する。し前に発したものとは違う。時間を犠牲に能力を上昇したものだ。

「死ね」

司のる槍は速すぎて殘像が見えるほど。一瞬にして數十回の攻撃を行う。

「強い」

その攻撃をニアスはどうにか防ぎきる。

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「今度は俺の番だな」

再び同じ技を使う二アスだが、今度は司に全てを弾かれる。

「まだだ。もっともっと強いはずだ。俺に本気をだせ」

しばらく斬り合ったがお互いに傷一つなく。司は再び首を切り落とす。再生した司は背後から異様な雰囲気をじる。

「アイネルさん」

その正はアイネルであった。今までじたこともないような、冷たさが平野を包んでいた。

「流石ヴァンパイアだ。あのじならベラの軍勢は全滅か。あれがかつて大地に君臨していたヴァンパイアという種族の本當の姿だ」

司はその姿を見て理解した。なぜ、今までその姿にならなかったのか。なぜ、人間に近い容姿だったのか。

アイネル達は異形のものへと姿を変えていた。

人間に近かった姿は想像もできない。大し、翼は腕と融合する。口と牙は異様なぐらい発達している。恐竜や、ドラゴンに近い姿だ。尾からは口のようなものが生えている。

「ギャアアアアア」

巨大な咆哮とともに、異形の化けは地上に向かって加速していく。攻撃方法も全く違うものとなっていた。力に任せて叩き潰したり、口による捕食がメインだ。

魔法や司の攻撃。味方の死にも恐怖していなかった魔人軍。だが、その顔には恐怖が隠しきれていなかった。今まで我慢していたのか。神的な魔法なのか。それは分からない。だが、異形となったアイネル達の姿は、恐怖の壁を壊すのには十分すぎた。

その隙に、次々と魔人達を躙していく。

を手にした魔人は攻撃をするが、今までのようにはいかない。

「クソ。攻撃が効いてないぞ」

本來の姿となったアイネル達は生命力や防も格段に上がっていた。だが、無効になっているわけではない。

「集団で一を狙え。しでも多く殺せ」

近くの魔人に攻撃をされ一のヴァンパイアが命を落とす。

「よし。まずは一だ。お前達まだやれるぞ」

その言葉に返事はない。一を倒し、勢いづくはずだったのか。だが、もう遅かった。魔人軍は殆どが死に絶えていた。

飛沫が舞い、化けが暴れ回っている。まさに地獄である。

「ここまでか。ベラ様萬歳」

「「「ベラ! ベラ! ベラ! ベラ!」」」

生き殘っていた魔人は近くのヴァンパイアに近づき自を始める。だが、その攻撃はヴァンパイアに対して、とるに足らない攻撃であった。

「終わりましたね」

アイネル達は人間の姿へと戻る。

「人の姿に慣れすぎるのも考えものですね。があまりきません」

アイネルにイチルが話しかける。

「そうですね。しだけ休憩をしましょう。周囲の警戒を怠らないように」

そう言ったアイネルの顔はしだけ曇っていた。

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