《死ねば死ぬほど最強に?〜それは死ねってことですか?〜》第82話〜怠惰〜
「ならば消え失せろ。ベラ様の邪魔をするものは許さない」
ヴァンパイアと魔人の戦いが始まろうとしていたが、それを遮るように足元の地面が真っ二つに割れる。それは地割れなどではない。綺麗に一直線。切斷されたというのが最も當てはまる景だった。
「し遅かったな」
「誰だ?」
分かたれた地面の魔人側に、男は立っていた。
「ヴァンパイアよ。あなた方の決意を踏みにじる形になり申し訳ない。だが、この場は任せてもらう。魔法の発者を頼んだ」
「わかりました。ここはお願いします」
「謝を!」
アイネル達は発者に向かって移を開始する。その人が誰であるのかは、イチルとシアンには分かっていた。底知れない力を持っていた人。
「誰だと言ってる。我々が魔王ベラ様の配下だと知っての行為か? 今なら見逃してやる。後悔するぞ」
「魔王か。それは恐ろしい」
「ならば引け。我々の用があるのはヴァンパイアだけだ」
「だが、それはできない。無闇に戦爭に介するものではないが、我等には大きな貸しがある。その貸しを返すのは今しかない。そして、我等が國の悲願達のためにも」
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「ならば粛清だ。その後にヴァンパイアも皆殺しだ。死ね」
「ならばこちらもゆくぞ。シバ王國、國王シバ・アルダイダ。覚悟」
決著は一瞬だった。シバの剣戟に魔人はなすも無く命を散らす。
「なぜ? 我等魔人が人間如きに」
「我は研鑽を積んだ。生まれた時からいく時も。反吐にまみれ。涙にまみれ。だが、それでも止めることはなかった。ただ、その結果だ」
「クソ」
最後の魔人が息絶える。
「その研鑽を止め、逃げ出したものを俺は許さない」
シバは司とニアスの元へと加速していく。
「そこをどけ!」
「諦めろ」
司は焦っていた。時間が、時間がない。時間が立つごとにその響きが強くなる。本能が、あの魔法を発させてはいけないとんでいる。
だが、目的を一點に絞った二アスを退ける力はない。そこに、シバが到著する。
「魔王モンブラン。ここは私に任せてもらえませんか?」
「シバさん。だが、こいつは強い。貴方では・・・」
「なに、足止めぐらいならできます。その間に、発者をお願いします」
「わかりました。お願いします」
司はし悩んだが決心して発者の方に向かう。
「行かせない」
「それはこちらも同じこと」
二アスは驚きの表を浮かべる。司を止めるべくいた刀はシバに止めらていた。二アスはシバに攻撃するが、全てを弾かれてしまう。
「やるな」
「そちらも」
「俺は研鑽の王ニアス。お前は?」
「私の名前はシバ・アルダイダ」
「シバ?」
二アスの表がし曇る。
「そうです。かつて貴方が名乗っていた名前です。そして、貴方が今名乗っている研鑽の王というのは斷じて容認できませんね。研鑽を放棄し、逃げ出した王」
「いつの時代の話をしている。それは、數百年も前の話だ」
「ですが、許さないといっているんですよ。この刀が。代々王に握られ研鑽を共にしたこの刀が。巖に刀を突き刺し研鑽を止めた、怠惰のお前を必ず殺すと」
「笑わせるな。死ぬのはお前だ。魔王となった俺の力を味わえ」
ニアスの刀は目にも留まらぬ速度で、ありえない角度でふるわれる。
「何故だ」
だが、ニアスの刀は全て弾かれる。
「空間をねじ曲げて、刀のきをかえる。普通の人なら反応もできずに細切れでしょう。でも、私は、私たちは違う。遙かに長い時を研鑽に費やしてきた。そしてこの刀がいっています。そのきは、もう見飽きたと」
「そんなバカなことがあるか。俺がこの力の為に、どれだけのものを犠牲にしてきたと思っている。俺はお前に負けるわけにはいかない」
「犠牲? 逃げ出しただけでしょう。研鑽から。地位から。家族から。笑わせないでほしい」
再び二アスは攻撃するが全てを弾かれる。
「だが、お前も俺には攻撃できない。俺が負けることはない」
シバは刀を中段に構える。
「本當にそう思っているんですか? いきますよ。怠惰の王。瞬きはしないように」
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