歓喜の聲に包まれる司の前に天から一筋のが降り注ぐ。それと同時に地上にいた全ての天使が跪いた。その景でこれから何が起こるか司は理解した。しの時間がたち、それはの筋を通って降りてくる。

「あなたが神ですか？」

「そうだ。魔神を滅ぼしてくれ本當に謝している。ありがとう」

「それは別に構いません。花音の為にやったことなので。それよりも、もっと言うべきことがあるんじゃないですか？」

司は口調を強めて神に詰め寄る。

「ああ。この戦いで傷ついた全ての者に詫びる。本當に申し訳なかった。いや、私の計畫の犠牲となった全ての命に詫びる。申し訳なかった」

神は地面に頭をり付けて白い綺麗な髪を茶に染めていく。

「全ては私の過ちだ。その剣で私は刺してくれても構わない。私はそれだけのことをした。世界に干渉などするべきではなかった。今になってようやく分かった。自然な世界の姿を見守ることが私の役目だった」

司は持っていた剣を神に返す。

「そんなことはしません。結果はどうであれ、良かれと思ってしたことを裁くつもりはありません」

「そうか。申し訳ない」

「ただ、お願いがあります」

「ああ。分かっている。元の世界に帰るのだろう。すぐに準備をさせよう」

神は頭を上げて天使達に指示をだす。

「もう一ついいですか？」

「なんだね？」

「最後の干渉をお願いします」

「？」

「俺はセイヤさんやアランさんに託された願いも葉えたい。だから疑う心を持ってしいんです。俺があの手紙を読んでそうなったように。自分の見たもの聞いたものを信じ、一方的な考えを持たないこと。それを、この世界に伝えてしいんです」

「だが、そうだけではこの世界の憎しみは消えないはず」

「今生きている人はそうです。でも、これから生まれてくる命がそう思うようになればどうでしょう？　自分の目を耳を信じその子達は真実に辿り著くでしょう。何年、何十年、何百年かかるかはわからない。でも、いつかは魔と人間が手を取り合い共存する日が來ると思います」

「分かった。それをこの世界に行う最後の干渉にしよう」

「ありがとうございます」

「もうし待っていてくれるか？　まだ準備にし時間がかかる」

「分かりました」

天使達によって回復してもった全員を連れて司は國に転移する。そして、國に勝利を告げる。國の中で祈っていた人たちは盛大に喜んだ。そして、司はこれからのことを告げる。

「気づいている人もいたとは思いますが俺は別の世界からきた人間です」

國の人々は揺るがない。それが事実であれ、そんなことはどうでもいいのだ。どこの世界の人間でも関係ない。これまでの行いで全てわかっている。とてもとても優しい心をもった王だと。

「俺はこの世界を去ります」

その言葉にも人々は揺しない。王からこの話が出た時點で、察しがついていたのだろう。

「俺が今までこの國で過ごしてきた思い出は消えることはありません。辛いこともありました。でも、楽しい思い出もたくさんあります。俺にたくさんの思い出をくれて本當にありがとうございました」

司は頭を下げると國中から拍手が巻き起こった。

「王はアイネルさんに任せます。しっかり支えてあげてください」

更に大きな拍手が國中に響き渡る。不満を言う者など誰もいない。數え切れないほどの辛い思いをして、それでもなお世界の為に戦った王を責められる者など存在しないのだから。