《天下界の無信仰者(イレギュラー)》勧
それから激走の末、遅刻前にクラスへの室を果たしたことにをなで下ろす。まあ、クラスメイトからの不審ふしんな眼差しには未だ慣れないが。
そして一限目の授業が終わり、俺はミルフィアの誕生會を開かんがためにき出した。
まずはなんと言っても人數だ。俺とミルフィアの二人だけで誕生會とか灑落にならん。
使命に突きかされて、俺が最初に向かった先。そこは、
「なあ、今いいか?」
「ファッ!?」
一限目が終わったばかりなのに何故か早弁している栗見くりみ恵瑠えるだった。
「てか、お前なに食ってんの?」
「お弁當」
「知ってるわ」
見れば分かるわそんなこと。
「そうじゃなくて、まだ學校始まったばかりだぞ? よく食えるな」
「だって朝食べてないからいいかな~て」
「周りは気にならないのか?」
「周り?」
それで恵瑠えるは弁當を両手に首を回した後、何事もないかのように見上げてきた。
「周りがどうかしたんですか?」
「いや、もういいわ」
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こいつある意味すげえな。
「それで、ボクに何か用ですか?」
「その、用っていうかさ」
恵瑠えるが不思議そうに見上げてくるが、そんな彼になんと切り出したものか、正直困る。
だが、言葉でどれだけ誤魔化しても言いたいことは結局言うんだ。なら直球でいいだろう。
「実はな、ミルフィアっていうの子がいるんだ」
「あ。あの金髪のきれいな子ですよね?」
「ああ、そいつだ」
照れ隠しに頭を掻く。一どう言えばいいか。ああくそ、ここまで來たらさっさと言っちまえ!
「そのミルフィアのことなんだが、ここだけの話、そいつには友達がいなくてさ。だけどあの、あいつの名譽のために言っておくが人が悪いとかそんなんじゃない。ただ、しいと思っていないだけで。でも俺は友達を作ってしいんだ。それでものは相談なんだが、あいつの誕生會に參加してくれないか? それをきっかけにしてさ、あいつと仲良くしてしいんだよ。まあ、なんだ。相とかいろいろあるだろうし、無理に、っていうわけじゃないんけど……」
言いたいことは言った。後半になるにつれ聲が小さくなってしまったが。
話を聞いていた恵瑠えるは俺を見て黙ったままだ。もしかしら変な奴だと思われたかもしれない。いや、そうだろう。無信仰者に、會って間もない奴に、しかも話したこともない人の誕生會に參加してくれとか無茶ぶり過ぎる。
でも、俺は諦めたくなかった。
「どうして、神かみあ君は人のためにそこまでするんですか?」
そこで恵瑠えるが尋ねてきた。彼が黙っていた理由。それは突然の勧ではなく、俺の行為そのものだった。
「慈連立じあいれんりつじゃないのに。とっても不思議です」
そう言う恵瑠えるは本當に不思議そうに俺を見上げている。
天下界てんげかいで人を助けるのはいわば慈連立じあいれんりつの役目だ。琢磨追求たくまついきゅうは弱いから悪いと切り離し、無我無心むがむしんはそもそも頓著とんちゃくしない。
そんな世界で無信仰者のすることだ、おかしいどころの話じゃない。元から誰かを助ける思想など持っていないのだから。
けれど、恵瑠えるからの質問に答えるのは簡単だった。
「俺に信仰なんてねえよ。でもな、それでも人間なんだよ。心があるんだよ。それさえあれば誰かを助けたいって、そういう気持ちも生まれるさ」
これを聞いて信仰者がどう思うかは分からない。信仰に生きる者にとっては考えたこともない発想だろう。戸うか嫌悪するか。
「分かりました! 不肖この栗見くりみ恵瑠える、その誕生會に參加します!」
「マジか!?」
「マジだ!」
「おお~」
驚いた。まさかけてくれるとは。てか元気いいな。
「そうか、ありがとうな。なんていうか、正直半分斷られるって思ってたんだ。ありがとよ」
「いえ、ボク慈連立じあいれんりつですから。それに助けてもらったお禮もありますからね」
恵瑠えるの笑顔に不安だった気持ちが消えていく。なんか、信仰者とはどうやっても分かり合えないと思っていたが、そんなことはないんだとほっとした気持ちになった。
なんていうか、それだけで嬉しかったんだ。
「神かみあ君、いい人ですよね」
「ん? なんか言ったか?」
「いえ、なんでもないです」
なにか聞き逃したが、恵瑠えるは笑っているし気にすることはないだろう。
「話は聞かせてもらったわ」
「天和てんほ!?」
気配を消して近づくんじゃねえよ、アサシンプロかてめえ。
「背徳と斷のに生きる同じ仲間のいとあれば仕方がないわね」
「いろいろ訂正ていせいが必要だがとりあえず謝しとくよ、サンキューな」
いつの間にか俺の隣には緑の髪をした天和てんほが立っていた。よく分からんが參加してくれるらしい。けれどいいことだ、この際參加者は誰でも歓迎だ。
「あとは……」
俺は教室を見渡す。現狀參加者は俺を含めて三人。順調な出だしに戸うほどだが、出來ればあと一人はしい。
それである人に目が止まった。正直ここにいる二人よりもかなり抵抗が強いんだが、しかし相手を選んでなどいられない。駄目もとでいいじゃないか、玉砕覚悟でいくだけ行ってやれ。
俺は二人に詳細は後で話すと伝え、最後の候補者へと近づいた。
「よう。今いいか?」
赤い長髪を背中に流し靜かに座っている子、加豪かごうがゆっくりと顔を上げた。
「話は聞こえてたわ」
「盜み聞きか?」
「聞こえてきたの」
「そうかい。まあ、好都合だよ」
加豪かごうに親しくする雰囲気はない。張した空気というか。ただ、荒々しいじはなかった。
「みんなが見てる、場所を変えるわよ」
言われて気づく。周囲の人間がまた何か起こるのではないかと心配そうな目を向けていた。こんな狀況では話もしづらい。
「分かった」
加豪かごうは立ち上がり、俺たちは教室から出て行った。
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