《天下界の無信仰者(イレギュラー)》約束

だが冷靜になれ俺。ここで怒っていてはこいつの思うつぼだ。そうはさせるか!

「ああ、そうかい。なら俺がどれだけお前のことを理解してるか説明してやるよ。お前は? 神長という座にあぐらをかいてる間抜けのせいで皆から嫌われ、一人ぼっちで、かわいそうなやつってわけだ。これで満足か?」

どうだ、いい気味だぜ! はっはっはっはっは!

「神君、なんかすごく悪そうです……」

「あんた顔が邪悪よ?」

「さすが宮司君ね」

「んだとお前ら!」

すると三人からまさかのフレンドリーファイア! 俺に攻撃すんじゃねえよ!

「まああれだ、どれだけ偉そうなフリしても? お前がみなから嫌われてる事実は変わらないんだし? お前はかわいそうな奴だよ。神長というせめてもの寶にしがみついてればいいさ。はっはっはっはっはっは!」

「と必死に言い訳してるだけで、本當は羨ましいのに嫉妬することしか出來ない憐れで殘念な言い分でした。どれだけ言っても君が嫉妬してるだけのクズだってことは分かるんだよ。殘念だねぇ~?」

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「んだとゴラァアアアアアア!」

「落ち著いてください主ぃ! ここで毆っては問題がッ」

「止めなさいよ神! 気持ちは分かるけどさきに怒った方が負けよ!」

「毆らせろぉお! こいつを毆らせろぉおおおおお!」

「ハッハッハッハッハ! まったくもって殘念殘念」

俺はジタバタ暴れるのを必死にミルフィアと加豪かごうが止めてくれた。そんな俺を見ながらミカエルが高笑いしている。

「もういいですよ神君」

すると恵瑠えるが俺に近寄ってきた。

「こんなの相手することないですよ。もう行きましょう」

「ちっ」

悔しい思いはあるがこのままでは仕方がない。俺はなんとか放してもらい部屋を出て行くことにした。

「んだよあいつは!?」

扉を出るなり俺は怒鳴っていた。あんなやつ今まで見たことがねえぞ。

「神君もこれで分かったでしょう、あれがミカエルなんですよ」

「なんであんなやつが神長なんてやってんだ」

今なら恵瑠えるがあれほど嫌がっていた理由が分かる。恵瑠えるだけじゃない、ガブリエルやラファエルもだ。むしろ好きなやつがいるのかよ。

「まったくもってその通りなんだけどね」

すると一緒に退室していたのかラファエルがおり、ため息混じりにそう言った。

「巻き込まれた上に嫌な思いしたでしょう、今はゆっくり休んでちょうだい。この廊下の突き當たり、右に曲がったとこの部屋を使ってくれればいいわ」

「あんたもあんなんが上司とか大変だな」

そう言うとラファエルは視線を斜め下に向けると骨に嫌な顔をした。

「ええ…………」

本當に大変そうだな。

「まあなんだ、頑張ってくれよ。あいつは嫌いだがあんたはいい人みたいだしさ」

「ありがと。君も友達を守るって言った時はかっこよかったわよ。もしかして、恵瑠えるとはそういう関係?」

「は!?」

「へ!?」

ラファエルは清楚な顔をすこしだけ悪戯っぽくしてそんなことを言ってきた。突然の質問に俺と恵瑠えるも驚く。

そういう関係って、まさか俺と恵瑠えるが付き合ってるとかそういうことか? いや、こいつとは友達だけどそういう関係じゃねえよ。

それで俺は答えようとするが、代わりにミルフィアが険しい表で言ってきた。

「違います」

なぜお前が答える。

「あら、そうだったの。ごめんなさい」

「ラファエル、ボクと神君はそういうのじゃないですよ~」

「はいはい、仲のいいお友達ね」

恥ずかしそうに抗議する恵瑠えるにラファエルは微笑みながら応えている。

「それじゃ私は戻らないと。引き留めてしまってごめんなさい。ゆっくりしていってね」

そう言ってラファエルは小さく手を振っている。なんというか、この人けっこうミーハーだな。

「おう、それじゃ休ませてもらうわ。なんかすっげー疲れた」

俺たちは廊下を歩いていく。學校で襲撃をけそれであのミカエルだろ? 気疲れがヤバいわ。

それで歩いていくのだが背後から聲が掛けられた。

「ねえ、神君」

「ん?」

俺は足を止め振り向いた。みんなは先を歩いているのでラファエルと俺の二人だけの會話になる。

「恵瑠えるのこと、よろしくね」

「あのなー、だから俺とあいつは――」

「そうじゃない」

さきほどの茶化す話かと思ったが、ラファエルは真剣な表だった。

目はまっすぐとしており、俺を見る目は深刻なものだった。

「お願い、守ってあげて。そばにいるだけでいい。それであの子は幸せだから」

真剣な聲だ。俺に恵瑠えるを守ってしいと、ラファエルは本気で頼んでいる。

恵瑠えるとラファエルの仲がいいのは見ていて分かる。それだけに彼も恵瑠えるのことを心配しているんだ。

  ラファエルの真剣さからどれだけ恵瑠えるのことを大切に思っているかが伝わってくる。

それが嬉しかったから、彼の真剣な眼差しに対して、俺は笑ったんだ。

「當然だろ?」

俺の言葉にラファエルはしだけ驚いたような顔をしたが、すぐに安心したような表になった。

そして俺は先頭を歩くみんなを小走りで追いかけていった。

そこにはミルフィアと加豪かごう、天和てんほ、そして恵瑠えるがいる。

ラグエルだけじゃなく、慈連立じあいれんりつの高たちと面識がある恵瑠える。どうして知り合いなのか俺は知らないが、親しい関係ということで恵瑠えるは狙われている。

おそらく、教皇派の連中に。

襲撃犯が誰であろうが、絶対恵瑠えるは渡さない。

俺は決意をめつつみんなと合流した。

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