《天下界の無信仰者(イレギュラー)》逃走

ペトロたち聖騎士隊の襲撃をけた後、俺は恵瑠えると一緒にサン・ジアイ大聖堂へと向かっていた。早くミルフィアたちと合流しないと。しかし街中では指名手配のビラと報道がされ一夜にして恵瑠えるは有名人、どこでバレるか分からない。

顔を隠すため途中で白のキャペリン帽子を買い恵瑠えるにかぶせた。恵瑠えるはそれを目深にかぶり俯きながら俺の隣を歩いている。

「ねえ神かみあ君、大丈夫ですかね?」

「ないよりマシだろ」

俺たちはなるべく人通りのない道を選びながら歩いている。連中は手段を選ばない、なるべく早くこいつを安全な場所まで連れてやりたかった。

「普通にしてりゃバレないさ。大人しく俺の隣歩いてろよ」

「うん」

恵瑠えるは小さく頷くとそれからは一言もしゃべらなかった。時折周りを警戒して小さな顔を左右にかしている。そんな仕草から不安なのが伝わってきた。

 心配に聲をかけたいが話すわけにもいかない。けっきょく無言のまま歩くだけだ。

そうして歩き続け、サン・ジアイ大聖堂に行くため仕方がなく大通りへと出る。白い建が並び車道に面した道を歩く。

 人通りも多く対面から來る人たちが橫切る際には話し聲も聞こえてきた。中には恵瑠えるの指名手配の話題もある。

まったく。どんな報道をされたか知らないが良いように報じられてるわけがない。暗殺事件の最重要人だとか、はては國家転覆に信仰心が低いやつが自棄でも起こしたとか。

 人事だと思って好き放題言って笑ってやがる。くそ。

「いかんいかん」

俺は顔を振る。そいつらに文句を言いたくなるがそれで騒ぎを起こしたら最悪だ。俺は隣にいる恵瑠えるにそっと聲をかけてやる。

「気にすんな、あんなの便所のラクガキさ。面白半分でてきとうに言ってるんだよ」

「うん……」

俺はあえて明るい口調で言ってみるが恵瑠えるから返ってくる聲は悲しそうだった。なんというか、元気がない。

それもそうか。こいつは人間と仲良くしたくて天羽てんはを止めたっていうのに、その人間にも嫌われるなんて救いがない。

どうしようか。考えてみるがいい案が浮かばない。苛立ちに頭を掻く。

 ちらりと恵瑠えるの様子を見てみても帽子が邪魔で顔が見えないし。くそ、いい仕事してるぜ。

その時建の壁にもたれながら恵瑠えるのことを話している二人組がいた。話の容はやはり面白おかしく腳きゃくしょくした悪口だ。

ちっ。てきとうなこと言いやがって。俺は二人を橫切ったあとも背後を振り返りやつらを睨みつけていた。

「まったく、一人くらいまともなやつはいねえのかよ。なあ? ん、おいどこ行った?」

と、俺は振り返るがそこには恵瑠えるがいなかった。慌てて周囲を探すが人が多くすぐに見つからない!

「しまった! わき見の最中に見失うとかッ」

俺は周囲を慌ただしく見渡した後、恵瑠えるを探して走り出した。

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