《召喚された賢者は異世界を往く ~最強なのは不要在庫のアイテムでした〜》第1話 次元収納の中は……

真っ白になった視界が元に戻っていく。

元の自宅に戻ったと思えたが視界にってきたのは、辺り一面草原が広がっており、俺はその中で一人呆然と立ち盡くしている。

「おい……まじかよ……送還って元の世界に戻れるわけじゃないのかよ……」

――どう見ても元の世界に戻れたとは思えない。

空を見上げると大きな太の橫に小さな太が輝いている。太が二つあるのだから地球ではないのは確実に理解できた。

前髪を指でつまむとやはり銀髪のままで、服裝もローブ姿のままであった。

まさにゲームの時のキャラクターのままである。

膝丈の草原が一面広がる中、手頃な巖を見つけ、そこに腰を掛けて俺はこれからについて頭を抱えて悩んだ。いくら若くなったとはいえ、何も知らない世界に投げ出され、いきなり一人で生きていけと言われても混するだけだ。

「どうやって生きていけば……その前に仕事が……どう考えても行方不明だよな……俺……」

両親もすでに他界しており、一人暮らしをしていた俺にとって家族は誰もいない。

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「ゲームと一緒ならストレージとか使えれば――」

試しに『次元収納ストレージ』を唱えた途端に、脳にウインドウ畫面が立ち上がった。

「うおっ! びっくりした!」

驚きながらも畫面に意識を向けると、倉庫キャラとして使っていたことで武や道、ゲーム通貨などが表示されている。

「これって……」

その中に表示されているパンに意識を向けると、一瞬にして手にパンが現れ、そしてパンの畫面は『99』から『98』へと変化していた。

焼きたてとじられるほど溫かいパンをそのまま口に運ぶ。

「――味い」

まともな朝食を出されなかったことで止まらない食は、パンをいくつもストレージから取り出し口に運んでいた。

五つほど食べたおかげで空腹も満たされ落ち著くことが出來た。

「とりあえず満腹にはなったけど、これからどうするかな……このゲームの通貨も使えるのかな」

ゲーム通貨を念じて取り出すと、金貨、銀貨、銅貨が手元に何枚か出た。別アカウントのサブキャラとはいえ本キャラから多の金額は移行させていた。二千萬Gギルという金額が多いのかないのかわからない。しかもこの世界で使えるのかも未だ不明だった。

「もう考えても仕方ない。どこか街は……。その前にストレージの中を確認しないと……。あと俺が何をできるかだな」

手頃な巖に腰かけ、次元収納ストレージの中を確認していく。戦士用の低レベルの時に使っていた武や、プリースト用の杖やローブ、その他々な道まで確認できた。

「よし、確認はできた。あとは――街に辿り著けるかだよな……。魔法も使えるかわからないし、とりあえず武くらい持っておくか……」

ストレージから取り出したのは、低レベルの戦士の時に使っていたバスターソードだ。しかも黒鉄を使用しており、普通の鉄製武よりも遙かに攻撃力が備わっていた。

「懐かしいな……最初のころ使っていたよな……」

グラフィックとは違うリアルな手りをじながら片手で剣を振り回してみる。プリーストにバスターソードなんて似合うわけないが、元職が狂戦士バーサーカーだ。呼び出された異世界人がステータスに影響してか、剣筋がブレることなく振ることができた。

「あとは……服と……」

數種類のローブを出してみたが、どう見ても中二病としか思えない。その中で比較的地味でモンスターから出た素材で作られた白いローブを取り出して著替え自分の恰好を見渡す。

「これならなんとか我慢できるな……軽くていいし。よし、とりあえず街か村か探してみるか」

手段となるもストレージを漁っていくと、馬のアイコンがあった。

レベル100までは馬を使用しており、その後アイテム課金で土竜に騎乗生を変えたことで、サブキャラにアイテム移行をしていた。

「馬……ここまでゲームと一緒……なのか? 出してみるか」

馬のアイコンを出すように念じると、俺の目の前に立派な黒の馬が現れた。

立派というか立派すぎるほどの大きさの馬だった……。

「ヒヒィーン、ブルルルル……」

そして馬は何故か俺の頭を甘噛みしはじめる。

――いきなりそれはないだろ……。その前にお前……どうみても馬の大きさじゃないだろ?

競馬場でサラブレットなら見たことはあるが、高もあり筋質で足も立派だ。

俺はローブの裾で頭を拭きながら、馬の首元をでてやると気持ちよいらしく馬がり付けてきた。

「おー、よしよし。乗せてくれるか? 街かどこか、人がいるところに行きたいんだよ」

俺の言っていることを理解できるようで、足を折り乗りやすいように馬は屈んでくれた。

そして背中に乗ると鬣を摑み馬に聲を掛ける。

「それじゃー行ってみよう」

その言葉を合図に馬は走り出した。

その速さは馬のものとは思えないものだった。

「ちょっと! 速過ぎっ! もうちょっとゆっくり!」

俺の言葉を理解してか、馬はスピードを落としていく。

三十分ほどの走ると街道に出が見える。人通りはないがどちらかにいけば街へ辿りつけるかと期待をした。

「街道に出たか。これでどちらかに行けば街があるはず。早くここがどこなのか調べないと……」

快適なスピードに落とした馬に乗りながら街道を駆けていく。

「これくらいが気持ちいいな……」

街道を進んでいき、そして小山程度の丘を登りきるとそこには――。

の群れに襲われている馬車と人達だった――。

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