《召喚された賢者は異世界を往く ~最強なのは不要在庫のアイテムでした〜》第3話 冒険者登録
賑やかな街並みを抜けていく。それなりの規模の大きさの街でメイン通りを進んでいくと説明にあった剣を差させている看板が見えてきた。
ここまで街を歩いてくるのに、隣にコクヨウが並んで歩いていることで注目の的だった。
煩わしい視線をじながらも、冒険者ギルドへと辿り著いた。コクヨウにここで待っているように伝えると「ブルルゥ」と返事をしたので、安心して扉を開けて中へとった。
冒険者ギルドの中は、右側に掲示板がいくつか並んでおり、正面には付がいくつかある。そして左側には待合室となっていた。そして待合室の奧は酒場となっており、飲んで騒いでいるであろう聲が聞こえてくる。
俺はそのまま付カウンターに行き空いている付嬢に聲を掛けた。
「いらっしゃいませ。冒険者ギルドフェンディー支部へようこそ。ご用件は?」
「冒険者登録をしたいのだが……それと……馬を従魔登録したい」
「冒険者登録ですか、わかりました。しかし……馬は従魔登録する必要はございませんよ?」
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「その……黒曜馬バトルホースなんだ……。知り合いからした方がよいと言われてね」
「……?! 黒曜馬バトルホースですかっ!? Bランクの魔の。それは登録が必要ですね……。それでその黒曜馬バトルホースはどちらに……?」
「今、ギルドの外で待ってもらっている……」
「わかりました。では、まずこの用紙に冒険者登録をしますので記をお願いいたします」
渡された紙を見ると、どう見ても日本語ではないが読むことができた。
名前、種族、年齢、職業の四項目しか書くことはなく、ステータスに記載されていたトーヤ、人間、16歳、回復師プリーストと記して付嬢に渡した。日本語で書いたつもりだったが、自然とミミズが這ったような文字が書かれていた。
「これでいいかな」
付嬢は容を確認し頷く。そして水晶と針を一本カウンターに置いた。
「トーヤ様ですね、これで大丈夫です。あと、を一滴いただけますか、カード登録をいたしますので」
付嬢に言われた通り、指先を針で刺し、が出てきたところを水晶につけた。
しだけ水晶がり、付嬢が確認したあとに一枚のカードを取り出した。
「これがギルドカードになります。分証明書にもなりますからなくさないようにしてください。再発行には銀貨10枚必要になりますから気を付けてくださいね。と著すると自的に魔力を吸い取って登録報が浮き上がりますから」
魔力という聞きなれない言葉を疑問に思いながらも俺は鉄のカードをけ取った。
カードをけ取った右手から何かが抜けるようなと共に、カードから文字が浮かび上がってきた。
◇――――――――――――――――――――◇
【名前】トウヤ・キサラギ 【種族】人間族 【年齢】16歳 【職業】回復師プリースト
【レベル】1 【ランク】F 【所屬】サランディール王國フェンディー支部
◇――――――――――――――――――――◇
「浮かび上がりましたね。容について説明していきます。名前から職業までは書いていただいた登録用紙のままになります。【レベル】についてはトーヤ様の強さを表し、【ランク】は冒険者ギルドでの貢獻度になります。最初はFランクからスタートし、依頼を功させていくとランクアップいたします。けられる依頼については、自分のランクの一つ上までですね。トーヤ様ですとEランクまでけることができます。それとBランクからは昇級試験がございます。まだ先の話ですが……。それと【所屬】については、冒険者登録をした場所になります。今の説明でわからないことはございますか?」
俺はカードを見ながら顔を橫に振った。付嬢は満足したように頷き、次の説明を始めた。
「それでは次に従魔登録についてです」
カウンターにバングルとネックレスと一枚の用紙を取り出して置いた。
「この用紙に記していただいて、バングルは主人、トーヤ様がつけていただき、ネックレスは従魔につけてあげてください。このネックレスは長さが自調整される魔道となっておりますので、大きな従魔でも問題ありません。他から見ても従魔だとわかりやすい場所につけてください。つけていなくて奪い合いになるという事例もございますから」
俺はその三點をもらい、用紙に記する。用紙には主人の名前、従魔の種族のみ書く欄があった。名前のところにトーヤと書き、種族については黒曜馬バトルホースと記して付嬢に手渡した。
「以上で登録が終わりです。次はシステムの説明もありますが必要でしょうか?」
付嬢の言葉に俺は頷き説明をしてもらうように頼んだ。
「それでは説明しますね。依頼をけられるランクについては、先ほど説明した通りになります。FランクからSランクまであり、ランクに応じてカードの種類も変わります。最初のFランクからEランクまでは鉄のカードで駆け出しアイアンと言われています。Dランク、Cランクは銅ブロンズのカード、Bランクは銀シルバーのカード、Aランクは金ゴールドのカードになります。Sランクもカードは違いますが、極僅かの為省略させてもらいますね。冒険者同士の問題については、ギルドとしては基本的に干渉いたしませんが、法にれる場合はランクダウン、資格はく奪等の厳しい処分もすることがあります。他には――」
數分間の間付嬢の話を聞きながら、外で待っているコクヨウが気がかりで仕方なかった。
「――以上となります。何かご質問はございますか?」
俺は首を橫に振って「ありがとう。またわからなかったら聞くよ」と答えた。
「あ……、あと、従魔が泊まれる宿を紹介してしいかな。さすがに馬よりは大きいから……」
「それでしたら……」
付嬢は引き出しから一枚の紙を取り出して俺に手渡す。
「従魔が泊まれる宿になります。料金については現地でお尋ねください」
「々とありがとう、付嬢さん……えーっと……」
俺が笑顔で言うと、付嬢は忘れていたかのように顔を紅く染めた。
「失禮しました。私はこの冒険者ギルドで付をしておりますミリアと言います。よろしくお願いいたしますね、トーヤ様」
「ミリアさんね、ありがとう! またわからないことがあったら――」
その時、扉が勢いよく開き、人が飛んできた。
まさに馬に蹴られたような勢いで……。
――馬に蹴られたような勢いで……??
「まさかっ」
俺はミリアさんにお禮を言い、勢いよく扉を開けて外にでるとそこには――。
二人の冒険者らしき男が倒れていた。そしてその橫で怒っているコクヨウがいる。「ブルルゥ」と興したコクヨウを宥めるように首をでてやるとを俺にり付けて落ち著いてきた。
「コクヨウ、何があったんだ?」
コクヨウに聞いても答えられるわけもないとわかりながら聞いていると、後ろから屋臺の主人が教えてくれた。
「そのでかい馬珍しいんだろ? そこに倒れている冒険者たちがロープをかけて連れていこうとしていたんだ。そうしたら、その馬が暴れはじめて……三人はその樣だ。日頃からその三人は柄が悪いからいい気味だわ。兄ちゃん飼い主か? いいもん見れたから俺が売っている串焼きをサービスでやろう!」
屋臺で數本の串焼きを焼き始めると、タレのいい匂いが俺の鼻腔をくすぐる。
そしてギルドに蹴飛ばされた冒険者がいたことで、職員までも様子を見に外に出てきた。
「これはいったい……」
倒れている二人の冒険者と、俺と一緒にいるコクヨウ。職員の視線は自然と俺に集まった。
そして一人の男職員が俺に聲を掛けてきた。
「ちょっと狀況を教えてもらってもいいかい?」
串焼きのいい匂いをじながら、俺は屋臺の主人から聞いた話を説明することにした。
串焼きを食べたいのを我慢して――。
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