《召喚された賢者は異世界を往く ~最強なのは不要在庫のアイテムでした〜》第18話 資料室
大金を支払った俺はトボトボと商業ギルドを出て冒険者ギルドへと向かう。
たしかに大金を支払ったが、フェリスと話せることを知った俺は満足している。
「ギルドで依頼をして稼げばなんとかなるか……。前回と昨日の分もらえるだろうし」
次元収納ストレージに表示された、減った金額を確認しながら扉を潛り中へとる。
前回から専任がついたことで、俺はミリアを探すと端のカウンターに座っていた。
誰も並んでいなかったので真っすぐミリアへと進み前に立つ。
「ミリアさん、こんにちは。昨日の分取りに來たんだけど……」
下を向いて仕事していたミリアは顔を上げ、俺の顔を見ると笑みを浮かべた。
「トーヤさん、こんにちは。ここでは何ですので……個室にご案いたしますね」
ミリアの案で俺は個室にっていく。ソファーに座って待つように言われ、ミリアは退出していった。
數分で戻ってきたときには、ミリアだけでなく、サブギルドマスターのエブランドも一緒にってきた。
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「おお、トーヤ來たか。早速だがこれが、前回のと、昨日の分だ。たっぷりあるぞ」
テーブルに置かれた袋はジャラジャラと貨がれる音がする。
袋を広げ、その中を覗くとっているのは金貨ばかりであった。
「全部で350萬ギルある。一気に金持ちだな……。ただ、しの間、追加納は控えてくれ。さすがに処理できないと解班から文句を言われてるからな」
そのまま金貨のった袋を次元収納ストレージに仕舞うと、自然に表示された金額が増えたことに俺は頷く。
用は済んだと席を立とうとする俺を、エブランドが手で制した。
「まぁちょっと待て。これからまた依頼をこなす訳ではないだろ? お前にやってもらいたい依頼があるんだ」
「――やってもらいたい依頼……?」
俺は席に座り直し、エブランドの話に耳を傾ける。
「実はな、護衛の仕事をしてもらいた――」
「斷る」
「……斷るの早すぎないか?」
エブランドは俺が即答で斷ったことに呆気にとられる。
數日屋敷を空けて帰ってきた時のフェリスの表を見たら、あまり數日屋敷を空けたくはなかった。
「とりあえずしの間は依頼をするつもりはないんだ。し調べたいことがあって……」
この世界の地理や、他國の事など調べたいことは多岐にわたる。異世界に飛ばされて知らないことばかりだ。
「――そうか……。調べることによっては協力することもできるはずだ。何かあったら言ってくれ」
「この國や他國の地図、歴史なんかが見れるところが知りたい」
俺の言葉に、黙って聞いていたミリアが口を開く。
「それならギルドの資料室にありますよ? 他國の地図については、詳細は書かれていませんが、國同士の位置くらいならわかるかと」
「それが見たい!!」
思っていたより近くにあった事に俺は笑みを浮かべる。
そして同じようにエブランドも笑みを浮かべた。
「資料室は本當は有料なんだよ。ない紙を利用しているし、貴重なも多いから大事に保管されている。それを護衛の仕事を一度けて貰えれば、この先ずっと無料にするとしたら……どうだ?」
「むぐ……」
これから何度行くかわからない資料室に、毎回金を払うのは確かにもったいない。
護衛の仕事もそのうちやるつもりではいた。
これからの事を俺は天秤にかけて考える。
「――わかった。護衛の仕事をけよう。その代わり、一週間後以降にしてくれ。それまでは資料を調べたい」
俺の答えにエブランドは笑みを浮かべ頷いた。
「よし、決定だ。依頼容が決まったら、ミリアから話をさせるようにしておく。今日から資料室は使っていいぞ。俺の話はそれだけだ」
エブランドは納得したのか、仕事があるからといいそのまま応接室を後にした。
「トーヤさん、ありがとうございます。職員には無料で資料室を使えるように話しておきます。まぁ……1回、銅貨1枚なんですけどね……」
「……銅貨1枚……?」
「えぇ……あまり資料を調べる冒険者はないですからねぇ。確かに貴重な書はありますが、あくまで複寫本ですし……」
「……もしかして、騙された……?」
俺の言葉にミリアは笑みを浮かべる。
「そんなことはないですよ。トーヤさん、期待しています」
◇◇◇
俺はミリアの案で資料室へと向かった。ホールから階段を登ってすぐの場所に資料室はあった。
「ここが資料室です。読む場所もありますからご自由にどうぞ。ただ、持ち出しだけは止となっております」
ミリアも仕事に戻っていき、一人殘された資料室で俺は本を探していく。
「まずは地理だよな……。この國の名前は……っと。あったあった」
羊皮紙の束の中に『地図』と書かれているものがあった。數枚あったので全てを取り出し、テーブルへと移する。
そして地図を広げて國の名前を読み上げていく。
「――――そ、そんな……」
思わず何度も確認をする。そして深くため息をついた。
その地図に書かれていた國々の名前には、俺のことを召喚した『ジェネレート王國』と記載があった。
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