ギルドの場所は説明ですぐにわかる場所だった。

 　街並みを眺めながら歩くが、やはり店先で立っている従業員たちの聲も小さい。

 　そんな事を考えながらギルドの扉を開けると、中は閑散としていた。

「これでギルドがり立つのかな……」

 　確かにギルドの混む時間は依頼をける早朝と、報告に來る夕方だが、例え日中とはいえもうし混んでいるイメージがあった。

 　暇そうにしている付嬢に聲を掛けると、何か考え事をしていたようにで驚いた表をした。

「す、すみません。トーレス支部へようこそ。ご用件は……？」

「あぁ、帝都までいくつもりなんだが、戦爭のこともあってあちらの報がしいなと」

 　懐からギルドカードを取り出しカウンターに置くと、付嬢は容を確認し驚きの表をする。

「Ａランクっ！？　しっ、失禮しました。帝都の報ですと……あまり……」

 　付嬢の表は曇っていた。やはりそこまで報がってきてないのかもしれない。

「そうか……わかった。まぁ、明日にも向かうつもりだから――」

「今は帝都への場は審査が厳しく……、あ、そういえばっ！　帝都に向かう護衛の依頼が一件あります。向かうのでしたらおけしませんか？　他に誰もける人がいないので……」

正直、帝都への侵をするために誰かと関わるつもりはない……。

でも、場審査が厳しいのに、冒険者一人で行ったら怪しまれる可能もある。

それなら護衛として一緒に場するのもいいかもしれない。どうせ、帝都が近くなったらコクヨウを出すわけにもいかないし。

馬車の護衛で向かうのは正解かも……。

「明日出れるならけてもいい。出発が長引くようなら……」

「いえ、依頼人もなるべく早く、というご依頼だったので。おけするなら明日の朝、ギルドの前にきていただけますか？」

「わかった。そうしよう」

「ありがとうございます。正直、ける人がいなかったのでギルドとしても助かります」

依頼票をけ取り、外に出て市場へと向かう。

閑散としながらも商品は並べられているので、しいを次々と購していく。

食料についてはいくらあっても困らないしな。

「明日に備えて今日はゆっくりとするか……」

夕刻に宿に戻り、食事を済ませると早めに眠りについた。

◇◇◇

早朝、チェックアウトをし、早くにギルドにつくと馬車が一臺著けられていた。

もしかしてあれか……。

依頼票を取り出し、者臺に向かう。

「……護衛の依頼をけたんだが、あってるか？」

者臺に乗っていた人はフードを被ったままこちらに振り向くと、フードを外した。

「あー、護衛けてくれた人だね！　わたしはアリス。サランディール王國から帝都まで來たんだけど、途中で護衛が帰っちゃってね……」

「トウヤだ。同じくサランディール王國のフェンディーの街で冒険者をしていた。今は帝國にきているが……」

同じ國出と聞き、アリスは満面の笑みを浮かべる。

「王國出なんだね。フェンディーの街も良く通るよ。それなら帝都までよろしくね」

者臺から下りてきたアリスが右手を差し出してきたので、軽く握手をする。

「それじゃ、者臺に乗って。わたしが者をするけど、隣に座って監視……ううん、話し相手よろしくね」

「あぁ、監視はしておくがよろしく」

者臺に乗りこみ馬車を出発させた。

帝都までの道は兵士が巡回しているのか、魔も出ることはなかった。

二日間で到著すると聞いていたが、ジェネレート王國の十名ほどの小隊と何度がすれ違った。

あちらも商人の運搬だとわかっているようで、視線を送られるが特に止められることもなく帝都へ到著した。

「あちゃ……。やっぱり時間かかりそうかなぁ」

「これは仕方ないな……。ゆっくり並ぶか……」

帝都の門には審査に時間が掛かっているのか、場を待つ馬車が何臺も並んでいた。

占領したばかりの帝都の場が緩ければ、間者がってくるのは目に見えている。

仕方ないと思いつつ最後尾に並ぶことにした。

帝都までの道中、アリスとの會話でしだけながら帝都の報を仕れることが出來た。

宿はお勧めの場所があると言われ、そこに泊まるつもりでいる。

ガウロスからは帝都にることが出來たら、相手側から接があると聞いているから問題はないと思っている。

「ほら、次！」

やっと場審査の出番が來た。帝都のり口に到著してから約三時間の待ち……。

馬車を進めると、下りるように言われ後ろの積み荷のチェックと依頼のチェックが行われた。

「二人ともサランディール王國か……」

俺も依頼票の控えとギルドカードを提示した。

ギルドランクを確認した兵士がしだけ驚いた表をしたが、多分この若さでＢランクだからだろう。

返された依頼票とギルドカードを仕舞いこむ。

「よし、っていいぞ」

兵士の審査も終わり、アリスは馬車を進ませる。

「いやぁ、ほんと大変だったねぇ～。まさか場するのにこんなに時間かかるなんて」

し疲れながらも笑みを浮かべるアリスに軽く頷く。

「先に宿に行こうか。ギルドからも近いし、料理も味しいから楽しみにしててねっ」

「あぁ、元々宛があるわけじゃないしな。そこに泊まることにするよ」

次元収納ストレージにはまだ大量の資金もあるから多高くても問題ない。

出來れば風呂がある宿がいいが、さすがにそこまで贅沢は言えない。

しだけ馬車を走らせると、一軒の宿屋の前でアリスが馬車を停めた。

「ここが宿だよー。一回付してから部屋で依頼票のサインするね」

「あぁ、それでいい」

二人で宿にると、付にいた三〇代くらいのにアリスは手を振りながら聲を掛けた。

「きたよー。部屋空いてる？　二部屋なんだけど……」

「あら、アリスちゃん。久しぶり！　無事に帝都に來れたのね。良かった……」

「うん……。まぁね。あ、ここまでの護衛してもらったトウヤもこの宿に泊まるからよろしくね」

アリスの言葉に付嬢はしだけ警戒した視線を送るが、すぐに緩んだ。

「アリスちゃんの紹介だしね。今はこの狀態だからし値上げをしているんだけどいい？　一日銀貨一枚よ」

「あちゃー、そこまで上がっちゃったのか……」

「うん、稅金がね、倍になったの。しかも戦時稅と言われて何度も王國の兵士がね……」

二人の表はしだけ暗くなったが、アリスは再度元気よく笑みを浮かべた。

「仕方ない！　その代わり味しい料理楽しみにしているねっ！」

「それは任せてっ！　後悔させない料理にするから」

二人の會話に思わず頬が緩む。

他の宿よりは多高いが、帝都なのだから多の割高は仕方ないだろう。占領されたばかりだし」

「二階の部屋よ、隣同士だからアリスちゃん案頼める？」

「はーい！　トウヤ、ついてきて」

付に二泊分として銀貨二枚置いてアリスの後を追い階段を上る。

二階に上がり一番奧とその手前の二部屋だった。

アリスから鍵を渡される。

「まぁ部屋を見てみてよ」

笑みを浮かべたアリスに首を傾げ、扉を開けると、そこは十畳ほどのスペースでし大きめのベッド、ソファーまで設置されており、他の一般的な宿屋よりも清潔で満足がいくものだった。

「思ったより良い部屋なんだな。もっと狹いかと思っていたよ」

「ふふっ、そうでしょ？　帝都に來たときはいつもこの宿に泊まるんだ」

アリスはそのまま俺の部屋にってきた。

そして――扉を閉め、鍵を掛ける。

「それでね、トウヤ……。――ガウロス様からの指示は聞いている。今日の夜からくから」

想像してなかったアリスの言葉に思わず驚きの表をした。