《ヘタレ魔法學生の俺に、四人もが寄ってくるなんてあり得ない!》汗と涙の育祭 二日目・第一種目
「華、るよ?」
華の部屋の扉を開け、中にる。
「起きないと遅刻する……おっ!?」
最後が変になったが、これには理由がある。
「んっ……すう……」
だってさあ……銀髪の天使がいたら誰だってそうなる。
ああ……いつまでも眺めていられるが、起こさないとシャレにならん。
俺は華のを揺すり、
「ほら、起きなよ。遅刻するぞ?」
「……んあ?……おはよ……」
あ、アホたってる。可いなあ……。
朝飯を食べ、手早く歯を磨いてから家を出た。
「ヤバいヤバいほぼ完全に遅刻だぞ!」
「もうちょっと寢たかった」
 アホをぴょんぴょんさせながら華が言った。
「帰ってから寢ような!?」
何とか學校にたどり著いた俺達は、第一種目の準備をしていた。
「(第一種目は綱引きか。絶対魔法使用アリだよな)」
おそらく水流魔法で足をらせるとかだろう。
競技について諸注意の後、競技が始まった。
相手は何とあの魔導學園九州高校。ああ、最悪なのと當たっちまった……。
「……俺の組んだ戦は完璧だ。東の野郎共。書書くなら今のうちだぞ?」
冗談めかした言葉に九州校の生徒が々品の無い笑い聲をあげる。
「(さりげなく死亡フラグ建たなかった?)」
「(何か小が半端ねえんだけど)」
「(たかが綱引きに戦なんてあんのか?)」
「(まあつまりだな……)」
「「「(強そうに見えて弱いんじゃね?)」」」
奇妙にも俺達の心が一致した瞬間だった。
『では、位置について……よーい、ドンッ!』
ピストルの乾いた音が響き、九州、関東両校の生徒が一斉に走り出す。
魔導大祭の綱引きは、綱を持ったものから引っ張れる先著制だ。
下手すると引っ張れずに終わる事もあるので、誰も彼もが我先にと綱へ走る。
「怪音にて世界に混を!『狂気の音』クレイジー・トーン」
剎那、脳を揺さぶる不快音が響いた。
「(ぐ……くっ。一瞬オチかけたぞ……)」
それでも俺は足を止めない。止められない。
果たすべき責務綱引きを終えるまで、俺の歩みは止まらない。
……これ何てバトルシーン?育祭だよな?俺達は綱引きやってんだよな?
「悪しき者に裁きの激流を!『裁きの聖水』ホーリー・アクア!」
隣にいたケイトが水流魔法を発する。
それを筆頭に関東側から発やら電撃やら火炎やらが飛んでいく。
縄を摑んだ俺は、力の限り綱を引っ張る。これが関西校相手だったら俺は毆られた上に至近から破魔法を喰らっているだろう。
しかし九州校の連中は小規模な発こそあれどまるで危害を加えてこない。
「何だよ。理系ヘタレ不良か?」
若干安心しつつ、それでも警戒を怠らない。
結果から言えば、関東校の勝利だった。しかし、
「所詮こんなのは學生の戯れ事。お前らは々低レベルなお遊びに興じていれば良いさ」
と、嫌味っぽく捨て臺詞を吐いていった九州校の皆さん。
「(九州校も學生だから派手にブーメラン飛ばしたことになるんだよな)」
まさか気づいてないとかはあるまい。だってあの九州校だぞ?……いや、多分あれ気づいてないな。
もしも変わってしまうなら
第二の詩集です。
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