《ヘタレ魔法學生の俺に、四人もが寄ってくるなんてあり得ない!》留年生は警備員

江戸川區。某所。

「すごいな。もう人がたくさんいるぞ」

まだ六時過ぎて間もないってのに、恐ろしいね。

「これだけ人がいると、さすがに酔っちゃいそうだよね」

ねー。江戸川區って何気に人多いし、この手のイベントにはめちゃくちゃ來るって分かってたはずだったんだが……。

「う、うう……」

ああ……。華が込みしてる。

「わあー!暁!あっちのわたあめしいな!あ、あと、あっちの金魚すくいもやりたい!」

「はいはい。四百円やるからやって來なよ」

すごいハイテンションだな。夏祭りが珍しいのか?

「ふふ。ケイトさんはまるで子供ですわね」

「まあ、はい。アイツはだいたいいつでもハイテンションですから……」

ん?ん?天條先輩。何故腕を組んでいるんでしょう?あ、とか當たって歩きづらいし意識しちゃうぞこれ!

「あ、あの、先輩。々當たってるんですが……」

「當てています。と言ったら、どうなさいますか?」

分かっててやってたのかこの人!確信犯?いや、故意犯か!

「あの、先輩。歩きづらいんで、離れてもらっても」

「嫌です」

即答かよ。しかも抱きつく力強くなってるぞ。

俺がどうしたもんかと悩んでいると、

「お?雨宮じゃねえか。久しぶりだな」

この野太い聲は……近藤か!

「近藤!ほんとに久しぶりだな!」

「……誰ですの?」

そうか。先輩は近藤を知らないんだった。

「俺のクラスメートの、近藤櫂。何かしらアルバイトをしてるらしいんですが……」

「え、あ……どうも。こんばんは」

あれ?たじろいでる?……先輩の目が怖いのか。

「はい。こんばんは。……近藤さん。あなたは何故ここに?祭りに來た以外の理由がありそうですが」

「あれ、バレてます?」

「當然です。顔に書いてありますわ」

……恐ろしい。この人天條先輩と結婚した人は隠し事が出來ませんな。

ん?何か背中が引っ張られるな……。

「こ、怖い……」

ああ……華、怯えちゃってるよ。まあ、一八二センチの大男が現れたら、そりゃビックリするよな。

「ん?おお。悪い悪い。別に怖がらせる気はねえんだ」

そう言っておどけてみせる近藤。

「で、何の用でここに?」

疑いの(あるいは怪訝な)目を向ける先輩。敵意……って訳でも無いが、どうも近藤を嫌いしてるらしい。

「ざっくりと言えば、警備業務ですかね。対魔法犯罪の」

「魔法犯罪の警備?あなたの様な學生が、時に兇悪犯とも対峙する魔法警備業務を?」

まあちょっと落ち著いてと近藤が取り出したのは、一枚の紙。

どうやらそれは名刺で、『日本魔法警備保障』と印字してあった。

日本魔法警備保障_______通稱『JMSG』と呼ばれる會社で、読んで字のごとく、魔法による警備を行う會社だ。

あれだ。某警備會社の魔法バージョン的なじだ。

「はい。警備ってありますけど、要請さえあれば、何でもやる會社ですよ」

「近藤。お前の著てる服って、何か変わってるな」

「これか?これは……なんつーか、々仕込めるベストだ」

黒いベストには、背中に『JMSG』と白抜きにしてあった。妙にカッコいいな。

「で、その魔法警備業務に攜わって、果はありましたの?」

「今のところは無いです。っていうか、何かあって、犯人を取り逃がしでもしたら、會社の評価に関わりますよ」

何も無いのが最善。何かあっても魔法警備員が取り押さえれば萬事解決。

「そうですか。では、これからも頑張りなさいな。雨宮さん。行きますわよ?」

「あ、ああ。はい。じゃあな。近藤」

「おう。また學校でな」

俺は先輩に腕を引っ張られながら、その場を離れた。

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