《ヘタレ魔法學生の俺に、四人もが寄ってくるなんてあり得ない!》想像してたのと全然違う!
「ここですわ」
ひええ……。著いちゃったよ。何か凄そうな部屋。(俺ん家だとリビングにあたる部屋の前)
この奧に、大魔王が!……いるはず無いよね。
「お父様、りますわよ?」
『あ、ちょっと待って。一分三十秒だけ待ってくれ桜良』
………ん?今の聲は先輩のお兄さんとかかな?妙に若い聲だったけど。
『あらあらあなた。ちょっと力んでいるのでは無くて?』
『いやそうじゃなくて……痛あっ!?ねえちょっ……そこやめてってば!』
ん?んん?……何が起こってるんだ?まさか先輩に家族が増えるんじゃ……。
「雨宮さん。斷じて違いますから、勘違いなさらぬように」
なら良いや。びっくりした。
『……良いよ。桜良。っておいで』
「失禮しますわ」
先輩に続いてった俺は、んな意味で愕然とする。
まず両親がいた。しかし、どう見ても高校生の親には見えないくらい若い。三十……五?六くらいか?
で、部屋の広さ。々一般的な家のリビング二つくらいの部屋かなと思ったら、デパートの食堂並みに広い。うん。めっちゃ広い。
「おお。君が雨宮暁君だね?初めまして。僕は天條龍生。君の事は桜良から聞いてるよ」
「あ、えっと、はい。俺が雨宮暁です」
先輩のお父さんは、俺にイスを勧めて來た。めちゃくちゃフレンドリーな人だな。
「私は天條千夏。……雨宮君、気軽に千夏さんって呼んでも良いのよ?」
わーお。これまた著。先輩にそっくりだ。……雙子ですって言っても信じられるんじゃ無いかな。
「雨宮君、張してるね。リラックスリラックス。何事も楽しまないと、人生やってけないよ?」
リラックスリラックス……出來るように頑張ろう。
「……あの、いきなり失禮な事を聞くんですけど、お二人は何歳で……?」
絶対三十とかそこらだよ。若さが溢れてんもん。
「いくつかなあ……。僕はだいたい五十はいってたなあ。確か……五十三かな?」
「私は……四十八だったかしら?この歳になると、のお手れを頻繁にしなきゃいけなくて……」
年齢おかしいよこの人達!どんな生活したらそんな若く見えるようになるんだ?
「へ、へえ。凄いですね!俺もそんな風になりたいです……」
何だこのチートじみたの人達。……先輩も多分そうだろうなあ。
「雨宮君。正直に答えてくれ。君は桜良の事をどう思ってるんだい?」
うお。ドストレートな質問來た。……これほんとに正直に答えて良いよね?先輩も何か心配そうな目で見てくるし。
「正直、俺にはもったいないくらいの人です。俺よりいい人はいっぱいいるのに、何で俺を好きになってくれたのか、それが分かりませんね」
「つまり?」
「あー……。凄く……人で、それで、これセクハラって言われるかもしれませんけど、將來良い奧さんになれると思いますよ」
將來良い奧さんに~っての、場合によってはセクハラ扱いになるらしいから、皆気をつけてね。
「だ、そうだけど。どうだい?桜良」
「あの……その、ありがとうございます……」
何かすいません。言ったこっちも恥ずかしいんです。
「お、お父様、申し訳ありませんが、し席を外させてもらいますわね……」
「うん。良いよ」
ああ、どうしましょう……!
自分にはもったいないだなんて、そんな事ありませんわ!むしろ、私の方がもったいありません……!
「ちょっと落ち著きましょう」
そう言って私は鏡を見るが、顔がだらしないことになっていた。
私はだらしなくなった顔と浮かれた気を引き締めるべく、顔に冷水を浴びせた。
「桜良、今ごろ顔が真っ赤になってるだろうね」
「あれはあの子の小さい頃からの癖ですから……」
「……何かすいません……」
ほんともう……ますます恥ずかしくなってきた……。
「いや、良いのさ。桜良の君に対する本音が聞けたからね」
「あの子の事、これからもお願いね?」
そう言ってウインクする千夏さん。四十も終わりに差し掛かってるってのに、ウインクしてもしいのは素直に凄いと思う。
天條邸。正門。
「では、また明日」
「はい。それじゃ」
そう言って俺は歩き出すが、
「雨宮さん!」
「はい?」
急に呼び止められて振り向く。言い忘れた事があったのか?
「また……また、遊びに來て下さいね?」
「……機會があれば。それじゃ!」
今度こそ別れを告げ、俺は走り出した。
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