一話

「私とお付き合いしてください！」

…………は？

「新転勇人さん。あなたのことが好き…なんだと思います」

…思います？未確定？

「あの……私じゃだめ…ですかね…？」

あれ…もしかして俺告白されてる？

かの、學園のアイドルである新天円香しんてんまどかさんに告白されてます？

「あ、あのぉ…」

いつもよりクラスメイトの目が痛いんですけど……。

そもそも何で俺はクラスのど真ん中で告白をけているわけ？

俺の席が真ん中だから？

「あの新転勇人しんてんはやととかいう苗字同じなやつに告白してこいよ」的な放課後のノリ？新天さんに迷すぎない？漢字は違うのに酷くない？

もしかして本當に俺のこと―一番ないな。うん。

てことは―

「罰ゲーム…ですかね？」

「え？」

的をているであろう俺の問いを聞いて目を丸くする新天さん。

図星って顔してる…ざまぁみろリア充ども！いくら學校のプリンセス的な存在の新天さんを使ったところで、俺は騙されんぞ！

だが、俺の読みは外れていたようで―

「……っ…」

新天さんの薄桃に染まる頬に一筋の涙が流れていた。

なんで！？そんなに俺に噓告すること自気悪いか！？

人、痩せ型、慎ましやかなおを持っててリアルが充実してるからってそれはないんじゃないですかねぇ！

「ば……」

「ば？」

涙ぐんだ顔を上げ、俺の目を直視する新天さん。かわいい。だがリア充の回し者だ。オタクの反応を見て楽しんでいるに違いない。

だがそんな思いも新天さんによってスグに破壊される。

だって―

「ばかぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ！！」

そう言った彼の顔は酷く悲しみの含むものであって、噓偽りのない心からの涙を流していたからだ。

―でもなんで？

「ばか！ばか！ばかぁ！」

放課後ということもあって私は勇人くんから逃げるようにして家路につきました。

「なんで逃げちゃうの！？違います！本気で好きだと思います！っていえば良かったじゃない！」

かなり大聲でびながら走っていたため、道行く人が私に不審な目を向けてきます。

ごめんなさいお母さん。明日から近所で噂になるかもしれません。

「でも何で…なんで罰ゲームなんて……」

私は心から勇人くんのことを好きだと思うのに……。

勇人くんはトイレ行く時以外クラスからでないから見かける時ないけど、私の視線にった瞬間、ギュッと視野が狹まってしまう。彼以外のものは何も目にらないっていうのに…彼を見るとの奧の方がチクチク痛くて…これがじゃ無かったらなんだって言うの……！！

「お母さんッ！」

走っていたためいつもより早めに家につきました。

「どうし―円香…？」

私が大聲で呼んだことで、玄関まで來てくれました。

私はそんなお母さんのに飛び込みます。むにゅむにゅとしたが顔を通じてじます。

だけど私はお母さんのおよりも大事なことがあるのです。

「お母さん…振られちゃった…っ…どうすれば…っっ…いいの……」

そう。

人生の先輩であり、結婚しているの先輩でもあるお母さんに助けを求めます。

案の定お母さんは私の頭を優しくでてくれました。

「大丈夫。円香はおっぱいこそないけど、顔は相當良いはずだから、ね？」

「お母さん…っ…喧嘩売ってるの…？」

「あらあら。お母さんの子なのに何でこんなに慎ましやかなのかしらね…」

言葉では私のを侮辱しているとしか思えない発言だけど、お母さんなりのめなんだと私はじました。

でもなんで私はここまで主張をしないものになってしまったんだろう。

私はお母さんのをまさぐりながら考えます。

「きゃっ…もぅ…自分に無いからって妬むのはいけませんよ！」

お母さん？めているんだよね？私が勝手にそう解釈してるわけじゃないよね？

「でもね、お母さんも何度も振られたのよ？」

「え…？」

お母さんはき通った瞳で私の目をのぞき込み、昔を思い出すようにして語り始めます。

やっぱりめてくれていたようです。

「このでか！とか言われてね」

あ、噓でした。

このでかは私のを侮辱しています。

お母さん酷いです！私だってこう……ボッキュッボン！になりたかったです！

「でもお父さんは違ったわ。」

あれ、どうしましょう。今さらっと父親の癖を聞かされてる気がするのですが。

「可くてがでかい……結婚しよう！ですって」

やっぱり癖暴されてたんですね。

お父さーん！あなたの妻は娘に夫の癖暴するような人ですよーー！

「―だから安心しなさい。あなたのそのでも、きっと…きっとどこかにあなたを貰ってくれる殿方がいるわ！ビバ貧！貧よ大使を抱け！！」

はぁ。

よくよく考えると私の親は殘念な親です。

―でも。

でもこんなくだらない會話してたらに刺さっていた小骨のような違和はなくなりました。

だから私はある決意を固めます。

「―決めた！！明日も告白する！勇人くんにウザがられても告白する！！だって…」

私は“あの時”のことを思い出します。

彼と出會ったあの放課後を――。

彼に心を抱いてしまったあの瞬間を――。