《非リアの俺と學園アイドルが付き合った結果》私の大きな幸せと俺の聞き取れない聲

六話

そのプレイヤーさんとは仲が良く一緒にクエストをクリアしたり、でけぇ敵にフルボッコにされて床舐めたり、その人の名前は「銀杏」さん。清楚かつ妖艶な風貌で俺の一番仲良いMMO仲間だ。

新天さんが銀杏さんのように見えた。

どこか惹かれるような魅せられるような風貌をしていた。

「勇人…くん?」

そんな新天さんは、何でここにいるのと言わんばかりの表を浮かべてこちらを見ている。 

「し、新天さん……」

俺が名前を呼ぶと、何故か顔を赤らめつつまた探しを探し始めた。

俗に言う無視というものだ。

無視されるのは慣れてるけど、あれだけ好きやらしてるやら言われたに無視されるのはしくるな…。

だから俺はノミの心臓をフルにかし、たまたまだと思いたい一心でもう一度聲をかける。

「な、何探してるんですか…?」

「ハンカチ…この前落としたハンカチを探して」

は?

なにそれどういうこと?

數刻の靜寂後、信じられないようなことを言う。

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ハンカチを探してるって言ったか?

俺はポケットをまさぐり、ハンカチをだそうとする。

いや待って?俺が今ハンカチを出したら「え?何こいつなんで持ってんの?あ、もしかして私のだと知ってて拾って家であんなことやこんなことしてるしてるの…キモ」ってなるな。うんなるな。

いや、でも俺の持ってるハンカチは、ピンクで角に白い花の刺繍があるものだ。

そ、そうだ。俺の持ってるハンカチが新天さんのとは限らないじゃないか、うん。そうだそうだ。

「俺も探すの手伝うからとか教えてください。」

それを切り出した時、新天さんの表が明るく輝くようなものに変わる。かわいい。

「本當!?じゃ、じゃあ、はピンクで」

お?

「角に刺繍があって」

お?お?

「あ!それは白い花の刺繍なんです!」

や   っ   ぱ   り   か

「りょ、了解」

どうするどうする!

完全に俺が持ってるものと一致しちゃったよ!

仮にここで「俺拾っときましたよ?」と差し出すのを√Aだとして考えてみよう。

「あの、俺この前ここ出た時拾ってきましたよ?」

俺は平然とした顔で告げる。

「本當?あ、ありがとう(うわぁ絶対ティッシュ代わりにしたよこいつ…いくら何でもありえないから…新しいの買い直そ)」

新天さんは複雑な表を浮かべ、足早にその場を立ち去る。

次の日、新聞部の記事に【新転勇人がみんなのアイドル新天円香さんのハンカチを盜みあんなことやこんなことを!!】という記事が大きく張り出される。

「即詰みだな」

うん。√Aはない。絶対にない。

では次に考えられる逃避行は名付けて「あれ?屋上の端に落ちてますよ」作戦。これは√Bとし、考えてみよう。

新天さんを目に俺は屋上のドアを開け、屋上へと上がる。

それから數分ほど経ったのを確認し俺はポケットから例のハンカチを取り出す。

よし。

平常心、平常心。

俺は大きく深呼吸し、新天のいる階段へと繋がるドアを開ける。

「ハンカチって、これですか?」

「それ!どこにあったの!?」

おぉ。平常心を保ててる。

本當に見つけたみたいになってていいじだ!

「屋上の端の方です。」

「え…は、端の方…?」

あれ?あれれ?

雲行きが怪しくない?

「ふ、ふーん…ありがとうございます…(なんで端にあったのにすぐ分かったの?……もしかして匂い!?なにそれ気持ち悪い)」

あれ?どっち選んでも詰みなのは変わらなく無い?

√Aと√Bどちらにするか……。

よし!√Bで行こう!

「なんで勇人くんがここに來たんだろ…」

私はその理由が分かりません。

彼はハンカチの特徴を聞いてから、し考えると屋上へと行きました。

「でも來てくれた時嬉しかったなぁ」

私のこと探してくれたのかな?

それとも気が変わって、ここに來ればもう一回告白されるって思ったのかな?

むむむむ。

どっちにしても嬉しすぎるんですが!

でも、昨日ふったのにそんなにスグ気が変わるかな?

んー、でもここに來たってことは………うん。諦めないって決めたもん。一度や二度ふられたからって私の想いは変わらないもん!

私はある決意をに屋上のドアを開けます。

今日はお晝頃まで続いた雨の影響もあり、強い風が吹いていました。

その風のせいでドアが思ったよりも勢いよく開きました。

そのせいですごく焦っているじになってしまいました。

「勇人くんっ!」

「えっ!?」

私がドアを開けるとそのドアの前には案の定驚きのあまり目をまん丸にした勇人くんが立っていました。

「あ、あの…」

私はすぐそこに居るとは思ってなかったので、視線を落とし、焦りを悟られないようにします。なんせ彼の名前を大聲で呼んで開けたのに、そこにいたら驚いて焦ってるなんて恥ずかしすぎます!

私は焦りのあまり視線を右へ左へかしてしまいます。

すると、勇人くんの手元のあるが目に留まりました。

「そのハンカチ、見つけてくれたんですか?」

そう。

ピンクで角に白い花の刺繍が施されている私のハンカチを手にしていたのです。

「あ、うん。こ、これかな?」

勇人くんは優しい聲と共にハンカチを差し出してくれます。

「あ、ありがとうございます!」

私はふられていることなんて忘れ、そのハンカチを差し出された手のひらごと包み込むようにして摑みます。

「あ、あの…」

「…うん……?」

今しかない!

私はそう思って、何度目かわからない告白を口にします。

「私と…付き合ってくれませんか?」

その時、強い風が吹きました。ですがこの風は追い風で私の背中を押してくれるような覚を得ました。

そして彼は口を開きました。

「…あぁ…うん。」

え?

私の中で流れる時間が止まります。

今なんて……?

「付き合ってくれるのですか?」

私は自分の耳を疑ってしまい、再度問いかける。

すると彼は

「うん…うん」

二度も肯定の返事を返してくれました。

私の頭はかつてないほどに混しています。遂に大好きな彼と結ばれたのです!

影から見るだけの小さな幸せをじていた今までだけど、それがずっと橫で笑っていられる大きな幸せになるのです!

私はそんな幸せを噛み締めながら彼の顔を眺めていた。

うぅ〜ん…今なんて言ったんだろうなぁ。

都合よく吹いた風が強くて聞き取れなかった。

まぁ、聞こえなかった場合は「うん」って言っとけばなんとかなるってじいちゃん言ってたしな。

「あぁ…うん」

聞こえなくてよく分からないため曖昧なじで返事する。

新天さんは何故かきを止めて俺の瞳を真っ直ぐに覗いてくる。

「――」

ゆっくりと口を開き、何かを言ったようだったが再び都合よく吹いた風によってかき消されて俺の元には屆かない。

例のごとく俺は「うん…うん」と返事を返す。

それを聞いた新天さんは顔を真っ赤にしてニヤニヤしたり「えへへ」と呟いたり、なんだか奇妙な行を始めた。

ハンカチは渡したし、ゲームやりたいから早く帰ってもいいだろうか。

なんかもう目の前にいる俺には目もくれずいろんなこと考えてそうだから勝手に帰っても大丈夫だよね。

うん。

大丈夫。

俺は屋上を後にして、いつものようにスマホ片手に帰り道を急いだ。

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