《非リアの俺と學園アイドルが付き合った結果》私の怒りの告白と俺の去勢回避
八話
俺は昨日約束したとおり、エンドコンテンツに挑むためMMOを開いていた。
でも、相棒である銀杏さんはまだログインしてなかった。
「昨日はあんなにはりきってたのにどうしたんだろ」
何度もフレンド欄を行き來しているがオンラインになっている様子はない。
俺は一度アプリを落とし、唯一銀杏さんと繋がっているツブヤイターを開いた。
俺はダイレクトメッセージで『銀杏さんどうしたんですか?』とだけ送り、イベントを終わらせないといけないソシャゲを開く。
ピロリン♪
と子気味良い音を鳴らしツブヤイターの通知が來る。
『ごめん。今日出來ない』
と。
そんな文面が綴られていた。
「まじか…」
今までイベントやエンドコンテンツ、レアドロップに狙いを定めた時は一日たりとて欠かさずログインしていたのでこんなことは初めてだった。
何かあったのかな。
俺はそんな不安な気持ちを覚え、床についた。
「―き!…にき!兄貴!」
俺は頬の痛みで目が覚めた。
どうやら妹の結花ゆいかが起こしに來てくれたようだった。
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でもいつもなら起こしにこないし、そもそも俺と喋ろうとしないし近づいてこないし睨まれるし。
つまり俺のことを忌み嫌ってるわけだ。
そしてそんな妹が俺を起こす理由。
それはきっと大変なことが起こったに違いない。
例えば……そう。
新天さんが家に來たとか。
「おはようございます勇人くん♡」
うん知ってた。
「お、おはよう」
寢起きなためややテンション低めで挨拶をする。
するとどうやら俺の後ろでこっそり覗いてる結花に気づいたようで―
「あのぉ…勇人くん?そこの“”誰ですか?私を差し置いて同居ですか?」
と、妹に対してヤンデレじみたことを言ってくる新天さん。
目が笑ってないです。笑ってないです新天さん。
そして何故か妹もそんな闇新天さんに挑んでいくスタイルのようでガツガツと玄関へと向かってくる。
「そちらこそにぃ…兄貴の何なんですか!?えっちなことする友達ですか?人局ですか?」
「ちょ結花!」
さすがの新天さんも引いただろ……。
と、進展さんの方に顔を向ける。
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だが新天さんは引くことはせず、むしろ顔を真っ赤にして言った。
「ま、まぁ?將來的には…え、えっちなこともする予定の仲ですけど?なにか?」
極限まで恥ずかしくなっているのか、新天さんのキャラが崩壊しつつ否定になってない言葉をらす。
「に、にぃとえっちなこと……わふ」
それを聞いた結花は湯気が出るほど顔を真っ赤にして―ショートした。
「で、そこの“”は誰なんですか?」
「にぃと…えっちなこと…」と繰り返す結花を見て尋ねてくる新天さん。その微笑みには恐怖的な闇が含まれていた。
「あ、あの…」
俺はそんな新天さんの圧に押されし言いよどんでしまった。
そして、そのしのミスが新たな大きな勘違いを生んだのである。
ショートから復帰した結花の一言によって。
「ゆ、ゆいはにぃとえっちなことしたことあるもん!!(夢の中で)」
「え?」
何言ってるのこの娘。
それににぃって―
「去勢しましょうか。勇人くん♡」
あ、終わった。
俺の人生終わった。
―こうして、おれのいままでの人生で一番の恐怖をじる日が幕を開けた。
登校中、どこから俺の家を特定したか分からないが迎えに來てくれた新天さんと共に歩く。
相変わらず周りからの嫉妬や殺意の目線が刺さりに刺さる。
「し、新天さん…?」
「どうしました?勇人くん。あ!さっきの弁解がしたいのですね?」
「はい…」
あれ?なんか意外に話がわかる方だな。
し誤解してたかもしれないな。
そうだよ。俺が朝見た新天さんは寢起きかなんかでおかしかったんだ。そうだそうだ。きっと―
「去勢するのはふたりの子供が出來てからにしましょうね♡」
あら、またまた幻聴が聞こえているな。なんだろうなぁなんでだろう。俺を犬かなんかだと思ってるのかな?
「実はあいつ妹なんです…」
俺は本當のことを至って真面目に告げる。
だけどやっぱり新天さんの暴走は止まらないようで、
「そうですか!分かりました!じゃあ去勢日はいつにします?」
ち   ょ   ん   ぎ   る   気   だ   !
俺は下腹部がむような覚を得てし前かがみになってしまう。
「勇人くん!學校につきましたよ!」
どうやら怖い思いをしている間に學校に到著していたようだ。
俺は下駄箱へ靴をれ、新天さんと別れる階段のところへ差し掛かった時だった。
「勇人くんに限ってないとは思いますが、と喋ったら…分かりますよね?」
とだけ言って彼は去っていった。
“”だと教師の場合も含まれるよね。
あー。うん。新天さんきっついです。
勇人くんが妹って言ってる子すごい可かったなぁ。
「でも人は私ですよね…」
それに…え、えっちなことしたって……ッ!
勇人くんに限ってありえませんよね?
彼がいながら年下と同居してそれにえっちなことをするなんて…。
よし。
お晝ごはんの時に聞いてみましょう。
徹底的に問い詰めるのです。
そう。返答によっては去勢も考えざるを得ません。
そして遂に訪れてしまった晝休み。
新天さんからあらかじめ屋上で“ふたりきりで”と約束されている。
俺は屋上へと向かう途中、今日の生活ぶりを思い出す。
擔任がのため、ホームルームの出欠確認には返事をせず、注意されても口を閉ざしていた。
そして化學の授業。
先生に指名され口頭で答える時にも口を閉ざしたまま半ば無視しているような狀況に陥り。
最後には英語の授業。
いつものようにペア活ではの先生と組まされたが、先生の問いかけに一切返答せず、ガン無視を突き通した。
まぁ要するに、新天さんを恐れているのだ。報はどこかられるかわからない、念には念を、だ。
いつの間にか到著していた屋上の扉をゆっくりと開ける。
「新天さん。」
「あ!勇人くん!見てください見てください!」
朝とは比べにならないくらいの明るい笑顔で俺へとを寄せてくる新天さん。
そんな新天さんが手に持っていたのはスマートフォンで、そこにはいつも俺がプレイしているMMOの畫面が映し出されていた。
レベルはかなり低く始めたてのようだった。
「レベル上がりました!どうです!?」
いやどうですって……。
畫面と俺の顔を互に見て、どうやらその瞳には「褒めてしい」という気持ちが丸見えだった。
ゲーム人口が増えるのは嬉しいことなので素直にその瞳へ返す。
「すごいですね、頑張ってください!」
「はい!頑張ります!」
新天さんは頬をすりすりと肩にり付けてきている。
何この小。かわいい。
「ところで新天さん。なんでそのゲームを?」
そう。
新天さんはゲームなんて程遠い存在でいかにもリア充。
そんな新天さんがなんでゲームに興味を持ったのか知りたかったのだ。
「ふたりがやってるみたいだし、彼氏の趣味を知るのも大切だと思いまして」
そういった新天さんは優しく包み込むような笑みを浮かべる。
それは裏などない心からの笑みだと思った。
「それにいずれは勇人くんとプレイしたいですから!」
彼は幸せそのものな表で言った。
だが、俺は今、そんな幸せをこわそうとしているのかもしれない。
なぜなら俺が次に告げる言葉は一昨日の曖昧な返事についてだからだ。
こんなことは言うべきではないのだが、ひどい誤解を與えているままなのは良くないため、心を鬼にして告げる。
「この前の告白ですけど、実は聞こえてなかったんです」
幸せそうな顔を浮かべている彼の表が凍りついたようにかなくなる。
「あの日の風に流されて聞こえなかったので、曖昧な返事を返してしまったのです。ごめんなさい」
俺は最後まで自分の想いを伝えるように、言葉を紡ぐ。
「俺としてはかなり幸せな數日間でした。ですがリア充で人気者な新天さんとは釣り合わないし申し訳ないです。」
その言葉を言い終え、顔を上げる。
「…新天さん……?」
彼は涙を流していた。
表のいてない顔から、ただただ大粒の涙が流れている。
「ご、ごめんなさい!泣かせるつもりはなかったんです!」
俺は必死に謝る、彼の涙を止めるために。
「そうでしたか。別れましょう」と、彼が言ってくれると思った。
「そもそも噓告ですから」と彼が言うと思った。
だが違った。
「リア充ってなんですか…」
え?
「人気者ってなんですか…」
新天さんの言葉は冷たく、俺の心を無慈悲に穿つ。
「私は自分を卑下している人が一番嫌いです…」
「それは…」
「私がリア充なら何なんですか?そもそもリア充ってなんですか?リアルが充実してるかどうかなんてその人が決めることですよね?私のリアルが充実するにはあなたが必要なんですよ?」
彼の涙は止まらず、むしろとめどなく流れていっている。
「周りの評価なんてどうでもいいです。私はあなたといれるなら全てを捨ててもいいと思ってます。私といることで周りの視線が痛いなら私があなたを守ります。」
彼はゆっくりと涙を拭い、俺へ手を差し出す。
周りの評価ばかりを気にし、自分を卑下し、新天さんの一番嫌いな人種である俺に手を差しべてくれる。
「だから新転勇人さん。私はあなたのことが好きなんです。これで告白するのは最後にします。なので、曖昧な返事じゃなく、本心を聞かせてください。」
本心。
あの時はお斷りしたが今の本心は……。
俺は…。
―俺は…俺は……ッ!
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