《初めての》友達04
「奈緒、ちょっといい?」「ん? どうしたの?」「あの、その、今からカラオケ行かないか?」「カラオケ? みやびと?」
いざ、放課後になり作戦通りに奈緒をカラオケにうことにした僕であったが、変に張してしまいいろいろ誤解を招く言い方をしてしまった。
「あ、その、なんていうか」「な……、なによ? みやびが張していると私まで張しちゃうじゃないの」
僕のせいで奈緒も顔を赤くし照れくさそうに黒目を右往左往させている。これはこれで得をした気にはなるが、今回の目的は春香さんをカラオケにうことである。
「カラオケ行きたいくてさ、その、なんて言うか、行く時間あればなんだけど」「私は別に時間あるわよ。……、そもそも、みやびにわれたら斷るわけないじゃない……」「そっか、よかった。じゃあさ、その、春香さんもってくれないかな?」「……。そっかそうだったね。春香と友達になりたんだもんねみやびは。いいよ呼んできてあげる」
帰り支度をしていたことを忘れていた奈緒は、機に十秒ほど視線を落としてからニッと笑うと鞄に教材を収納するのを再開し、その作業の合間に春香さんを橫目で探して日本史の教科書を最後にしまうと席を立ち上がり教室の掃除をしていた春香さんに聲をかけた。
「雅って本當に分かり易いなあ。あれじゃ、奈緒ちゃんが勘違いするのも無理ないな」「え? 何が?」「やっぱり二人の関係はただの馴染とは思えないってことだよ」
それってどういう意味か追求しようとしたが――、
「春香もいいってよ」「マジで? 奈緒ちゃんも來れるんだよね?」「もちろん、あからさまに嬉しそうな顔して鼻の下をばすバカを応援するのが私の役目だからね」「やった~雅喜べ! の子とカラオケにいけるんだぞ! しかも、この二人とだぞ!」
テンションのバロメーターを軽く突き破った拓哉に肩を組まされ大きくを揺さぶられ耳元で大聲をあげられる。うるさいって突っぱねることもできたけど、奈緒の背に隠れる様に立っている春香さんと目が合いそれどころではなくなった。微笑むなんてずるいじゃないか。
「よろしくお願いします」「こ、こちらこそ! よろしょくお願いします!」「はあ、またかんだ。先が思いやられるわねホント、そんなんで春香としっかり付き合っていけるのかしら」
奈緒の大きなため息など意に介さず、僕は拓哉と想い人と一緒に遊べることに歓喜していた。男子高校生が放課後に好きな子と一緒に時を過ごす。それはテストで全教科満點を取ることよりも喜ばしいことは明白だ。ましてや僕なんかは好きな子と何かをすることは初めてである。こんなに幸先のいい出だしが訪れるとは思ってもいなかった。
「男ってホントバカ。……、バカなんだから」「奈緒? 大丈夫? どうかした?」「ううん、ちょっと考え事してただけ。それより春香、せっかくみやびから聲かけてくれたんだから、この機會を逃しちゃだめよ」「もちろんだよ」
子高生だって男とは違うを青春に抱いていることは、し落ち著きがある大人ならだれでも知っていることだ。でも、僕らは自分のことしか目に見えておらず、奈緒や春香さんがどんな思いをこの時抱いていたかなんて考えもしなかった。同じ年で同じ場所にいても、男と言うだけで想像もつかない価値観の差があることに、まだってものを始めて一カ月しかたっていない僕が気づくことは不可能と言えば不可能であった。
「よ~し、じゃあこれからカラオケに行くぞ~!」
誰よりもにをする拓哉が能天気な聲で出発の合図を出し、各々別々の想いを抱き僕らは都市開発が進む駅前へと向かうのであった。
note+ノベルバ+アルファポリス+電子書籍でエッセイ、小説を収益化しつつ小説家を目指す日記
note+ノベルバ+アルファポリス+電子書籍でエッセイ、小説を収益化しつつ小説家を目指す日記
8 120同期の御曹司様は浮気がお嫌い
付き合っている戀人がいきなり他の女と結婚して、相手が妊娠したと告げられた。 真面目に付き合っていたはずなのに不倫扱いされて會社に居場所がなくなり、ボロボロになった私を助けてくれたのは同期入社の御曹司様。 「君が辛そうなのは見ていられない。俺が守るから、そばで笑ってほしい」 強引に同居が始まって甘やかされています。 ◇◆人生ボロボロOL × 財閥御曹司◆◇ 甘い生活に突然元カレ不倫男が現れて心が亂される生活に逆戻り。 「俺と浮気して。二番目の男でもいいから君が欲しい」
8 165君を失った世界
視覚障害をもつ少女、日香栞と、なにか裏のある少年翔との病院での出會い、そして日常。 ココロの隙間が埋められ自分と相手がきれいに重なっていく。幸せになる……はずだった。 ハッピーエンドか、バッドエンドなのかは読むあなた次第です。
8 127公爵令嬢!政略結婚なんてお斷り!!
公爵令嬢のルーナはほぼ毎日のよう婚約の話が入ってくる。そんな日々にうんざりしていた所お父様の頼みより王城が開く立食パーティヘ。 そこで出會った男性に一目惚れされてしまい……? ***** しばらく更新停止とさせていただきます、 申し訳ありません
8 180婚約破棄から1年後・・・・・・
1年前に婚約者だった當時の王太子から婚約破棄され、更に実家から勘當、追い出された『エミーナ・レオハルト』、今は王都にある小さな雑貨店を営んでいて、それなりに幸せに暮らしている。そんなある日、突然、王太子の取り巻きだった兄がやってきて・・・・・・。
8 138聖女のわたくしと婚約破棄して妹と結婚する? かまいませんが、國の命運が盡きませんか?
リリアベルは、生まれつき身體に百合の紋章を宿した聖女だった。 けれども、人の感情がオーラとして見える特殊能力があるのを、婚約者のアーサー公子からは疎ましく思われている。 「お前とは婚約破棄して、妹のララローズと結婚する!」 華やかな仮面舞踏會の夜、とうとう高らかに宣言される。 その上彼は、聖女の証まで噓だと疑ってきて……? 「今ここでドレスを脫ぎ、印を見せてみろ」 乙女の肌を大衆の目にさらすわけにはいかない。 抵抗するもむなしく、背後から捕えられ、絶體絶命のピンチに――。 「やめろ!」 そこへ、仮面をつけた見知らぬ男性が現れたのだった。 ※2022/11/17異世界戀愛日間ランキング11位・総合日間13位・総合日間完結済4位 応援ありがとうございます。 ※第一部だけでも婚約破棄がテーマの短編としてお楽しみいただけます。 ※第二部は後日談的な位置づけとなります。 ※2022/12/02カクヨム様にダイジェスト版の掲載をしました。
8 145