《初めての錯する心09

次の日、昨日の教訓を生かし一人で登校した僕を、拓哉がニヤニヤした面で捕まえ肩に腕を回してこう言った。

「明日のゴールデンウイーク、みんなで出かけるぞ!」

快活に話す表に何か企みが隠れていることに僕は気が付き回された腕に習い僕も拓哉の肩に腕を回し問い返す。

「何をするつもりだ?」「オレ、奈緒ちゃんに告白することにした」「は? 告白?」「おう、お先にこの気持ちぶつけてくるぜ!」

いやいや、大將。相手は難攻不落の小田原城だとこの間言ってたばっかりじゃないですか。どうした一。その考えに至ったプロセスを聞かせていただきたいものだ。

「たぶんこのままでも彼、俺に興味なしだ。これはどうしようもない事実だ。暖簾に腕押しってやつかな」「いやいや、時期尚早って言葉を知らんのかおぬしは。奈緒だって急に友達になったばかりの男に興味津々って態度は取らないだろ?」「それはそうかもしれないが、俺にはやっぱり彼を落とすことはできないって気が付いた。だからこそ、ここは果敢に挑んで男らしく散ろうと思う」

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どうした一、急すぎるぞそんなの。奈緒はそんな子じゃないぞ。しっかり相手を知ってから返答するに違いない。僕はそう思う。

「雅、奈緒ちゃんには心に決めた人がいるんだよきっと。それは俺じゃないことは確かだ。頼む、散らせてくれないか? このままじゃ俺、可笑しくなっちまう」「落ち著けよ? 分かった、僕からもし探りをれてみるかさ、それからでも遅くないだろ?」「……、分かった雅に任せる。でも、これがだと俺も學んだ。それだけでも、奈緒ちゃんとしでも青春を味わえたなら俺は満足だよ」「拓哉……、お前ってやつは」

あれほど自信をもっていたのにこの決斷である。きっと崇拝する読書に何か書いてあったに違いない。微塵の迷いもないこの表には。

それに、拓哉が自分でいままで行してきてそう結論付けたなら僕がそれにとやかく言う筋合いはないだろう。ないのだけど、友達としてここは何かしてあげない。ましてや、相手は馴染である。僕だからこそできることがあるはずだ。

「とりあえず、明日時間を作れるように渉しとく、拓哉も準備しておけよ」「合點承知の助! オレの熱い想い伝えてやるぜ」

自ら散るって言っときながら、落ち込んだ表を見せない拓哉。一何があったのであろうか。昨日までいつも通り奈緒にホの字だったくせに。一何があってこんな結論に至ったのだろうか。

自分なんてまだ告白のこの字も見えていないのに、拓哉はいつもと変わらず周りの級友たちに挨拶してちょっかいを出している。明日、決死の覚悟で“の告白”をする男とは思えない余裕の表である。ましてや、それは失敗に終わるって斷言しておきながらである。誠に拓哉が今何を考えているのか皆目見當もつかない。

「雅、お前はどうするんだ? 春香ちゃんで良いのか?」「は? 良いも何も僕が好きなのは――」「おはよう雅君、今日は大丈夫」

ヒエって聲にもならない聲を初めて出した僕は、思わず拓哉に抱き著いてしまった。

「あ、ごめんね驚かせちゃった?」「う、ううん大丈夫、おはよう」

危うく告白するところであった。こんな花もなければロマンチックの欠片もない騒がしいだけの教室で、僕は人生最大の危機に直面仕掛けた。

「なんの話してなの?」「え、え、いや、」

拓哉助けてくれ、このままじゃ心臓が暴発しちゃう。助けを請うその拓哉のでチワワの様な瞳をすると拓哉が代わりに明日の話しをしてくれた。GWに4人で出かけてもっと親睦を深めよう! って爽やかスマイルで言い放ち僕がに落ちそうであったまったく……これだからイケメンは嫌になる。

「やったー! 私たちもどこか出かけようと話してたところなの!」「だってよ雅、これで計畫を実行できるぜ」

覚悟はできている様だ。だらしなくもたれかかってきた僕を自分の脇にしっかり立たせた拓哉は、そのお目當ての奈緒が教室にってきたのをじても、余裕の笑みを消すことはなかった。

「なになに? 春香どうしたの?」「明日、みんなで出かけようよ! 二人もその話してたんだって」「そうなんだ。じゃあ、ラインでグループ作ってどこ行くか決めよう」

そう言った奈緒が早速僕らのグループ「仲良し四人組」を作りメンバーを全員招待した。

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