《初めての錯する心14

「なんでそうなるんだよ千春さん」「そうよ千春!」「だってね、うちからしてみれば大の仲良しでお互いを大切にし合う関係が、人同士にならないのがおかしいってのよ。會長、あんたはどう思うよ?」「ん、そうだな~、俺も千春の意見に賛だ。二人の関係は奇妙過ぎる。口では否定しても、その仲の良さは誤魔化せない」

思わぬ伏兵であった。

「別に他人のに口出すつもりはないぜ。でも、気になると聞かれれば気になる正直」「うちもそうだけどさ、なんか引っかかるのよね~。春香はどう思うのよ?」

千春と會長を中心に話のはどんどん広がって行き、おのずとそのに春香もることになる。一番、僕としてはその辺の問題にれてほしくない春香が、シャーペンを靜かに置くと一呼吸間をとり開口した。

「どうって聞かれても、私は何も言えないですよ。二人の関係をとやかく言う資格はないですし私には……」「資格って、そんなもの必要ないじゃない。特に、春香と奈緒は特別に仲良いんだし」「……、それでも私には――」

千春さんの追及に春香が答えようとすると終禮のチャイムが鳴り響き、クラス委員長である會長の號令が教室に響き渡った。

「私には……、特別ないんだよ……」

その號令と生徒たちの立ち上がる音で春香の聲はかき消されてしまった。そのあと、それ以上千春さんが僕と奈緒の関係を追及することはなかったものの、なんとも微妙な気持ちを僕と奈緒に植え付けたのは間違いなく。奈緒は僕とじゃれつくことをその日は拒んでいた様に見えた。

さすがに、僕も春香に特別なを持っている以上は、このままって訳にはいかないと思っている。拓哉のこともあるし、一度僕と奈緒の関係を改めなければいけないと本気で思う。

それに、何よりも明日の一大イベントを控えた手前、拓哉にこれ以上迷を掛けるわけにはいかないのだ。きっと、會話に一度もろうとしなかったことが拓哉の心境をに表わしていたに違いない。

僕と奈緒とあまり流がない千春さんが問いただすくらいだ。拓哉もきっと話さないだけでめているに違いないんだ僕と奈緒の関係について抱える疑を。もちろん、春香も何かしら持ち得ていると思う。あの言も気になるし。

だから、奈緒のことは今まで通り馴染として好きであり、もちろんできる事なら普段通り接していきたいのであるが、周りとの関係を考えるとセーブする必要があると斷定した。不本意ではあるが。

それが、一般的な男関係ってやつだとなんとなく僕は気が付き始め、次第に僕と奈緒の関係は當人たちの意志とは関係なしに音もなく崩れ出したのであった。

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