《初めての錯する心19

「なるほどね、いいじゃん。バッチグーよ!」「ほんとに? 変じゃない?」「春香の好みそのモノよ」

拓哉と苦悩して選んだ末のコーディネートは下記になる。上から紺の七分袖のテーラードジャケット、白地に紺のラインがるボーダーカットソー、白のスキニーパンツ、黒のキャンバススニーカーで終わり、ワンポイントアイテムとしてオシャレ眼鏡を購した。

「なるほどね~、やればできるじゃないの。関心したよ素直に。かっこいいもんみやび」

好評である。それもめちゃくちゃ。あの奈緒がこんなにも僕を褒めることはないだけに、素直に僕は嬉しくなりついつい調子に乗ってしまう。

「そう。じゃあ、壁ドンしてみたり?」「なっ……」

著替えが終わり、僕と一緒に姿見を覗く奈緒を壁際に追いやり巷で話題の壁ドンを奈緒相手にしてみる。

「どうした? なんか言ってよ」「……」

半徑三十センチでお互い見つめあう。やっといてなんだが、これはめちゃくちゃ恥ずかしい。相手が奈緒であるから出來るけども、これが春香相手だったら僕は恥ずかしさのあまり蒸発してしまうかもしれない。好きな子にこれをやるのは相當な度が必要で、される側も相當なモノをじるに違いない。

現に奈緒は固まってしまった。上目使いのまま、僕だけを見つめてかなくなってしまったのだ。プルンとした奈緒のが艶めいているのも分かる。

ものすごく、その表が可くてキスしたくなってしまった。

「……」「……」「……、いい加減にしなさいよねバカ。相手はあたしじゃなくて春香でしょ」「ああ、すまん」

壁ドンの支えとなる左手はそのままに、利き手である右手を奈緒の肩へと置いた。その作はほとんど無意識であった。僕がいまの狀況で自然と思うキスをする構えってやつだったのかもしれない。

そのキスへの初が完了する寸前で奈緒は我に返り、僕を雑に押しのけるとそそくさとベッドへと逃げてしまった。あまり逃げ場所にはふさわしくないが、ベッドと言う如何にもなシチュエーションが逆に僕の理を活発にさせた。

「で、これで明日OKかな? 春香ドキドキするかな?」「するよ、あたしが保証する」「ってのは、奈緒もドキドキした?」

うつむく奈緒。まだ耳は赤い。これが奈緒の答えだった。

僕はそれを見てなんとも言えない幸福と言うか、優越と言うか生まれて初めて男らしい――もっとカッコいいって言われたい願に強く抱いた。

「ずるいよ」

そんな恍惚とした僕へ奈緒がそうらした。

「なんで春香ばっかり……、みやびばっかり良い想いして……あたしだってさ……、好きな人とドキドキしたいよ」「奈緒?」

たぶん、奈緒はいじけている。膝を揃えて育座りをして顔が隠している。

「……、ごめん。ちょっと寂しかっただけ。忘れていまの」「こんなこと言うのあれだけども、拓哉じゃダメかな?」「どうして拓哉君の名前が出るの?」

雰囲気的に今しかないと思った。だから、明日の為にも奈緒が持つ拓哉への気持ちを確かめてみる。

「僕にとって奈緒は大切な馴染であり、拓哉も大切な友達だ。もし、そんな二人がお互いを、その、なんていうか、大切に思い合う仲になれたら、僕は嬉しい」「あたし、拓哉君好きだよ? みやびの事すごく大事にしてくれてるの分かるし、あたしや春香のこともすごく気にかけてくれているもの知ってる」「それって、どういう好きなんだ?」

核心へと迫る。奈緒は依然として育座りであるが、その表は真面目である。きっと答えを出すに違いない。

固唾を呑むとはまさにこのことか。僕のがごくりと鳴った。

「……、正直分かんない。全然、どうしたらいいのかも分からない。きっと、みやびが聞きたいことはこんなことじゃないと思うけど――」

奈緒はより一層小さくまとまると続けて言った。

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