《初めての錯する心20

「あたしは今のままでも十分幸せだよ? 拓哉君が計畫してさ、みやびが張しながら春香ってさ、ついでにあたしもってくれて、みんなで出かけて高校生らしくキャッキャするの」

これが奈緒の答えであった。拓哉が好きとかそうじゃなくて、四人でいることが奈緒は好きなのだ。それ以上でもそれ以下でもない。でも、それは悲観的なものではないとも思う。拓哉が言っていた「彼は俺に興味ない」ってのは、し違う気がする。

だから、僕はしほっとした。安堵した。その安堵したついでに、ちょっぴり怒りを奈緒にぶつけた。

「奈緒がついでの訳あるか! 何言ってんだよ! 奈緒がいないと楽しくないことや、奈緒がいたからじた楽しいこともたくさんある! そんな悲しいこというんじゃないぞ! 僕怒るぞ!」

怒るぞって言うか怒っているんだけどね。

「ぷ、ごめんごめん。怒るところそこなんだね。相変わらず、みやびはあたしに甘いな~」「甘くない! 僕が怒るのは奈緒だけにだぞ! つぎ、そんな悲しいこと言ったら絶だからな!」「それは、素直に嫌だな~。分かったよ、あたしも明日はちゃんと男の子と、いや、みやびは春香とだから、拓哉君とデートするって思って一緒にいるからさ、許して? ね?」

奈緒がそこまで言うのだから、許そう。僕の沸點は低いのだ。奈緒がちゃんと拓哉とデートするって言っているのだからここは穏便に済ませるべきだろ。

「で、春香に告白するの?」「は、え?」

僕が腕を組みのを止めると次はすかさず奈緒が猛攻を仕掛けてきた。

「しないの? せっかく明日、デートするのに?」「いや、四人で行するし」「そんなの時間作るに決まってるでしょ?」

いやいや、待て待て。何をこの子は言っているのですか? 時間を作るだと? 時間を作りたいのは拓哉の方だぞ。

「いつまでももたもたしてちゃ、例の男の子が出てきちゃうわよ?」「……、確かにそれはそうだけども」「しは頑張ってみれば? 告白は無理だとしても、何かしら発展させようよ」

応援すると言った手前、奈緒も何かしたいのだと思う。グイグイと踏み込んでくる。

「そうだ、それこそ二人っきりになれば何か進展するかもよ? あんた、意外と二人だけの時とか大膽だし」

先ほどの事を言いたいのだろうか。悪いがあれば奈緒が相手だからである。

「手とか握ることできるんじゃない? まあ、そこまで行ったらもう告白出來るかもしれないけどね」「手を繋ぐか……」

妄想しただけでも手汗が半端ない。これは、いかん。予行練習が必要である。

「奈緒、手を出してくれ」「なによ?」「こうか? こうでいいのか?」「あんたバカ? これじゃ握手でしょ」

確かに。お互いの方向を向いたままでは手を繋ぐというよりは、単なる握手である。

僕のそんな行に呆れた奈緒が僕の隣に立って改めて手を差し出してきた。

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